アウトライン審査事例
国税不服審判所が示した審査請求事件の裁決例は、正確な税務処理を行っていくうえで見落とせません。アウトライン審査事例では実務家の皆様にとって実用性の高い裁決事例を簡潔に紹介。併せて、参照条文も記載しておりますので、実務上の判断の一助としてお役立てください。
1196 件の結果のうち、 1 から 10 までを表示
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2026/01/19
常に足りない現金。税理士法人の担当者は架空外注費を計上した。現金を私的に費消し、経理事務を行う代表者は仮装行為を容易に認識できたとして、重加算税が課される(棄却)
【裁決のポイント】重加算税制度の趣旨から、納税者以外の者が隠蔽仮装行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができる場合には、納税者本人に対して重加算税を賦課することができると解される(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決)。とび、土工工事業の審査請求人は、5事業年度で計288,261,595円の架空外注費計上を税務調査で指摘され、修正申告をすると重加算税が課されたため、この仮装行為は代表者に対する恐怖心から税理士法人の担当者Aが行ったことで、審査請求人の行為と同視することはできないと主張した。審査請求人の経理事務は、会計ソフトへの入力も全て代表者が行っている。Aは、定期的に訪問して原価や粗利の説明をし、また、代表者が審査請求人の現金を生活費等で費消し、多額の現金が常に帳簿残高と合わないことから未払外注費を計上して、現金支払いをした仕訳を追加入力していた。Aは税務調査で指摘されてから代表者に仮装行為を打ち明けた。国税不服審判所は、代表者はAの仮装行為について認識していなかったとは認め難いにもかかわらず、審査請求人は是正措置を講ずることなく確定申告しており、Aの仮装行為は審査請求人の行為と同一視することができると判断した事例である。(平成28年5月期から令和3年5月期までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、他・棄却・令和6年1月12日裁決(非公開))【主な争点】税理士法人の担当者による仮装行為は、審査請求人の隠蔽仮装行為と同視することができるか、具体的には、代表者は仮装行為に全く気付けなかったと言えるか。【裁決の要旨】原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。(1)代表者の答述等についてAによる巡回監査の際は、Aのパソコンを見ながら、今期の売上げや原価の増減、利益予想などの説明を受け、自分の認識する利益が合致しているか確認していた。個人的な生活費等に充てるため審査請求人の現金を使い込んでいたことから、審査請求人の現金勘定の残高が正しくなくなるという認識はあった。(2)Aの答述等について巡回監査の際に売上げや原価、粗利益の説明や、最終的な決算内容や確定申告による法人税などの税額について代表者に説明していた。本件架空外注費等は、代表者に相談をしたことはない。審査請求人が保有する現金と帳簿上の現金勘定は、常に一致していなかったために、審査請求人の仮払金や役員借入金などの勘定科目を用いて架空の仕訳を入力し調整していた。代表者及びAの答述等については、反する証拠はなく、かつ、その内容に特段不合理な点も見受けられないことから、これを信用することができる。一般的な会計知識を有し、経理事務も担当している代表者が多額の現金等を費消しながら、審査請求人の帳簿上、これらがどのように反映されているのかについて認識していなかったということは認め難い。以上のことから、審査請求人は、Aによる本件仮装行為を認識していたか、あるいは容易に認識することができたと認められるところ、法定申告期限までに是正や過少申告防止の措置を講ずることなく、審査請求人は本件各確定申告をし、本件仮装行為に基づいた過少申告がされたものである。したがって、本件仮装行為は、審査請求人の行為と同視することができると認められる。【参照条文】国税通則法第65条《過少申告加算税》、第68条《重加算税》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/01/19
台湾で土地売却して土地増値税を課された。外国税額控除を適用できる?土地増値税の課税標準は個人の所得ではなく、日本の所得税と本質的に違うため、適用できない(棄却)
【裁決のポイント】所得税法上、居住者は、国外所得についても所得税を課されるから、国外でその所得に課税される場合には、国際的二重課税の問題を生じる。外国税額控除の制度は、税が国際競争の阻害要因となることを回避する見地から、立法政策として、限度額の範囲で所得税額から直接控除することを認めるものであるが、対象となるのは、外国の法令により課される所得税に相当する税のうち、個人の所得を課税標準として課される税に限られる(所得税法第95条《外国税額控除》、所得税法施行令第221条《外国所得税の範囲》)。審査請求人は、台湾に保有していた土地を売却し、土地増値税(中華民国憲法143条)を支払い、平成30年分所得税の確定申告で外国税額控除を適用したところ、税務署は、土地増値税は個人が実際に獲得した利得に関わりなく課税されるため、外国税額控除の適用はないとして更正処分を行った。審査請求人は値上がり益課税であるから、譲渡所得に対する課税と基本的に同じであるなどと主張した。国税不服審判所は、土地増値税は台湾当局により課された税ではあるが、その課税標準は、土地移転時の評価額(台湾当局が評定)から前回評価額を控除した金額に物価調整等をした後の額であり、およそ個人の所得を課税標準としていないから、外国税額控除の対象となる外国所得税には当たらないと判断した事例である。(平成30年分所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却、延滞税に対する審査請求・却下・令和3年1月15日裁決(非公開))【主な争点】本件土地増値税は、外国税額控除の対象(所得税法第95条第1項)となる外国所得税に該当するか。【裁決の要旨】本件土地増値税の課税標準は、①土地移転現値総額から、②物価指数調整後原地価総額及び③改良土地費用を控除した額であり、個人が実際に獲得した利得に関わりなく、台湾当局が評定した譲渡時の本件土地の地価(評価額)から台湾当局が前回(1964年)評定した本件土地の地価(評価額)に物価指数により調整を加えたものを控除し、更に支出した改良土地費用を控除した金額を課税標準とするものと認められることから、本件土地増値税は、我が国の譲渡所得に係る所得税と本質的に同一の税とは認められない。本件土地増値税の課税標準は、本件譲渡に係る実際の譲渡収入金額を課税標準の基礎にしていないこと、譲渡人が当該譲渡をした際に支出した仲介料等の諸経費を控除しないことからも、その課税標準は我が国の所得税法における譲渡所得に係る所得税の課税標準とは異なるものであることが明らかである。そうすると、本件土地増値税は、台湾当局により課された税ではあるが、およそ個人の所得を課税標準としていない税であり、(所得税法第95条第1項を受けた)所得税法施行令第221条第1項に規定する外国所得税には当たらないものと認められる。【参照条文】所得税法第33条《譲渡所得》、第95条《外国税額控除》所得税法施行令第221条《外国所得税の範囲》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/01/05
納税者「誤操作が生じてしまうe-Taxにはシステム上の問題があるといわざるを得ない」。無申告は、誤認識という主観的な事情によるもので、無申告加算税は適法である(棄却)
【裁決のポイント】情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第6条《電子情報処理組織による申請等》第3項は、同条第1項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた申請等は、当該申請等を受ける行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(受付ファイル)への記録がされた時に当該行政機関等に到達したものとみなすと規定している。この規定から、納税者が、e-Taxシステムを利用して送信した申告等データは、受付ファイルへの記録がされた時に提出があったものとみなされ、e-Taxシステムは、申告等データが正常に受信された場合にはその受信後に受信通知を利用者のメッセージボックスに格納する。審査請求人は令和5年3月1日に国税庁HPからe-Taxを利用し、令和4年分所得税確定申告の申告データと財産債務調書等データ(調書データ)の両方を送信するつもりであったが、調書データのみ送信した。翌日に納付書で所得税を納付した。6月29日になって自ら気が付き、申告データを送信したところ、無申告加算税を課されたため、間違いやすいシステムに問題があるから、無申告加算税が課されない正当な理由があると主張した。国税不服審判所は、無申告は、申告データも送信されたと誤って認識した審査請求人自身の主観的な事情によるものであり、納税者に無申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるとはいえないと判断した事例である。(令和4年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分・棄却・令和6年10月15日裁決)【主な争点】期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当するか。【裁決の要旨】国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」とは、期限内申告書が提出されなかったことについて、例えば、災害、交通や通信の途絶等、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、無申告加算税の趣旨に照らしても、なお、納税者に無申告加算税を課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である。審査請求人のメッセージボックスには、審査請求人が令和5年3月1日に送信した調書データ及び同年6月29日に送信した申告データに係る受信通知は格納されていた。そうすると、審査請求人が、令和4年分の所得税等に係る確定申告の法定申告期限までに、令和4年分確定申告書を提出したとは認められない。e-Taxシステムにおいては、利用者が財産債務調書のみを提出する場合も想定し、「送信内容選択」画面において、「財産債務調書を送信する」という項目が用意されていることからすれば、審査請求人が操作を誤って「財産債務調書を送信する」を選択して送信したからといって、そのことをもってe-Taxシステムに、システム上の問題があるとはいえない。結局のところ、審査請求人が期限内申告書を提出しなかったのは、調書データの即時通知を見て、申告データも送信されたと誤って認識したという審査請求人自身の主観的な事情によるものにほかならないというべきであり、「正当な理由」があるとは認められない。【参照条文】国税通則法第66条《無申告加算税》情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第6条《電子情報処理組織による申請等》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/12/22
税務調査時に帳簿を提示できたが、総勘定元帳が作られたのは、税務調査の事前通知を受けてから。これは「保存しない場合」に該当し、仕入税額控除は適用されないと判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】仕入税額控除の適用を受けようとする事業者は、法定帳簿等を整理し、法定帳簿についてはその閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間(財務省令で定める法定帳簿等については5年間)、これを納税地等に保存しなければならない(消費税法施行令第50条《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等》)。本件の審査請求人は、建設業を営む個人事業者であって、税務署から調査の事前通知を受けた後に、税理士事務所に依頼して、記載要件を満たす各課税期間の各総勘定元帳(本件各帳簿)を作成した。他の法定帳簿はない。調査後、仕入税額控除を適用して消費税等の修正申告をしたところ、税務署から、本件各帳簿については確定申告書の提出期限の翌日から保存されていないから仕入税額控除を適用できないとして更正処分等を受けた。審査請求人は、税務職員の求めに応じ帳簿等を提示した場合には仕入税額控除の適用が認められるべきであると主張した。国税不服審判所は、本件各帳簿は、所定の期間において保存していないことは明らかであるから、消費税法第30条第7項に規定する「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当すると判断した事例である。(平成28年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・令和5年4月24日裁決)(非公開)【主な争点】各課税期間の消費税について、仕入税額控除は適用されるか。【裁決の要旨】本件各帳簿は、令和3年7月16日の事前通知後に作成されたものであり、また、審査請求人は、各事前通知時において、各課税期間の審査請求人の事業に係る法定帳簿を保存していなかったのであるから、審査請求人は、各課税期間に係る各確定申告書の提出期限の翌日から、令和3年7月16日までの間は、法定帳簿を保存していなかったこととなる。そうすると、審査請求人が所定の期間において法定帳簿を保存していないことは明らかであり、このことは、消費税法第30条第7項に規定する「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当する。したがって、審査請求人の各課税期間の消費税について、仕入税額控除は適用されない。審査請求人は、最高裁平成16年12月16日判決が示した消費税法第30条第7項の趣旨からすると、同項に規定する「保存」の意義は、課税庁が申告された仕入税額を確認するための保存であり、課税庁が行う調査において、その時点で課税仕入れの事実の証拠である帳簿等を確認できない場合に、同項に規定する「保存しない場合」に該当するのであって、本件においては、法定帳簿等を調査担当職員の求めに応じて提示しているから、仕入税額控除は適用される旨主張する。しかしながら、本件最高裁判決は、所定の期間及び場所において、税務署の職員等による調査に当たって適時に法定帳簿を提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合に、消費税法第30条第7項の「保存しない場合」に当たると判断したものである。本件各帳簿は、本件各課税期間の消費税等の確定申告書の提出期限の翌日から保存されていたとは認められないことからすれば、調査担当職員の求めに応じて法定帳簿としての記載要件を満たす本件各帳簿を提示したとしても、当該事実は、判断を左右するものではない。【参照条文】国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》消費税法施行令第50条《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等》租税特別措置法第86条の4《個人事業者に係る消費税の課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告期限の特例》租税特別措置法施行令第46条の2(平成29年改正前は第46条の4)《個人事業者に係る中間申告等の特例》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/12/15
和解内容を確認せよ。元勤務先が取引先から得るべきリベート等を、個人事業収入にし、支払った解決金の性格は、事業収入の返金でないから、更正の請求はできないとした事例(棄却)
【裁決のポイント】納税申告書を提出した者は、その課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えの判決(判決と同一の効力を有する和解を含む。)により、その事実が先の計算の基礎としたところと異なることが確定した場合には、後発的理由による更正の請求を行うことができる(国税通則法第23条第2項)。本件の審査請求人は、個人事業を営みながら、A社にも勤務をして取引先との交渉を任せられていたが、本来はA社が取引先から受け取るリベート等を自身の事業収入に含めて確定申告及び修正申告も行った。A社は審査請求人に対して損害賠償請求の訴訟を起こし、裁判上の和解が成立した。審査請求人は750万円の本件解決金をA社に支払ったのちに、事業収入を返金したことを理由として自身の所得税について更正の請求をした。税務署は更正すべき理由がない旨の通知処分をした。国税不服審判所は、和解の内容が、審査請求人が本件解決金を支払うことにより、A社は、今後、本件訴訟に係る損害賠償請求権を放棄するという内容にすぎず、審査請求人が取引先からリベートを得た取引に係る権利関係等に何ら変動を及ぼすものではないとして、税務署の処分は適法であると判断した事例である。(平成27年分所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対して更正すべき理由がない旨の通知処分・棄却・令和2年7月28日裁決(非公開))【主な争点】本件解決金は、平成27年分の事業所得の金額の計算上総収入金額から差し引くことができるか。【裁決の要旨】本件訴訟におけるA社の請求内容は、平成22年度から平成27年度までにおいて、本来A社が本件取引先から得るべき利益(売上金及び仕入割戻金)を、審査請求人がA社で交渉に当たっていた地位を利用して不法に取得し、A社に上記得るべき利益及び同利益に係る消費税や加算税等の額に相当する損害を与えたとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めるというものであるところ、本件訴訟は、飽くまでも審査請求人とA社との間の損害賠償請求権の存否を争うものである。本件和解の内容は、審査請求人が、A社に対し、解決金として本件解決金の支払義務があることを認め、A社がその余の請求を放棄するという内容であるから、本件解決金の支払は、審査請求人と本件取引先との取引に係る権利関係等に何ら変動を及ぼすものではないものと認められる。以上によれば、審査請求人の平成27年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額から本件解決金を差し引くことはできない。審査請求人は、本件解決金は、本件訴訟において、審査請求人が本件取引先から受け取って審査請求人の収入としていた金員の一部がA社の収入と認められるとされたため、本件和解により、平成27年分の収入の返金として支払ったものであることから、平成27年分の事業所得の金額の計算上総収入金額から差し引くべきである旨主張する。しかしながら、本件和解は、審査請求人が収入として申告していた本件取引先から受け取った金員の一部をA社の収入と認める内容のものではないことから、審査請求人の主張は理由がない。【参照条文】国税通則法第23条《更正の請求》所得税法第27条《事業所得》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/12/08
関連会社への架空外注費で重加算税が課され、交際費等だったと更正の請求。そもそも経営者が実質的に同じであるから、親睦の度を密にする必要はないと判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】税法上の交際費等該当性については、過去の判例から「三要件」-「支出の相手方」が事業関係者等、「支出の目的」がそれらの者との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ること、「行為の形態」が接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であること-を満たす必要があると解されている。そして、更正の請求については、納税者の側で、税額が過大となった過誤の存在を明らかにすることが求められる。土木建築請負業の審査請求人は、外注先A社(審査請求人代表者Pの100%所有、妻が代表者)へ支払ったとされる外注費の一部(本件各支出)は架空であるとして、A社への未収金とする修正申告を行ったが、仮装隠ぺい行為に重加算税を課されたため、本件各支出は返金を求めない贈答で交際費等になるとして更正の請求をした。税務署は、事実を証明する書類が提出されなかったなどとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。国税不服審判所は、「支出の相手方」が事業関係者等であると認められるものの、「支出の目的」、「行為の形態」が認められないことから、本件各支出は交際費等に該当するとは認められないと判断した事例である。(平成28年10月1日から令和3年9月30日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、他・棄却・令和6年2月29日裁決(非公開)【主な争点】本件各支出は、交際費等(租税特別措置法第61条の4第4項)に該当するか。【裁決の要旨】支出の目的について、Pは、審査請求人の代表取締役であるとともに関係法人A社の実質的な経営者であったことを踏まえると、審査請求人がA社に発注する工事や工事代金等は、Pの意思に基づき決定できると認められることから、そもそも、審査請求人とA社との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るために、工事の発注者である審査請求人が金銭を支出してまでA社及びその従業員等の歓心を得る必要はなかったと認められる。本件各支出の動機は、A社及びその従業員等の歓心を得ることではなく、審査請求人からA社に対して事業資金を工面することであったこと、本件各支出の態様は、交際費や接待費としてA社の従業員等の接待等のために個別に支出されたものではなく、架空の工事に係る外注費として法人であるA社に直接支出されたものであること、そもそも審査請求人が金銭を支出してA社との間の親睦の度を密にする必要がない以上、本件各支出によりA社及びその従業員等の歓心を得るなどの効果が生じたとは認め難いことがそれぞれ認められる。本件各支出を「交際費等」の三要件に即して検討すると、①「支出の相手方」が事業関係者等であると認められるものの、②「支出の目的」が事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることであるとは認められないこと、③「行為の形態」も相手方の快楽追求欲等を満足させる行為とは認められないことから、本件各支出は、租税特別措置法第61条の4第4項に規定する交際費等に該当するとは認められない。また、審査請求人は、本件各支出がA社に対する未収金に該当する旨の各修正申告をしていること、A社も審査請求人から受領した本件各支出相当額が審査請求人に対する未払金に該当することを前提とし、同額を益金の額に算入しない旨の更正の請求をしていることからすると、本件各支出が未収金に該当しない旨の審査請求人の主張は、審査請求人及びA社がした客観的な修正申告等の状況と整合しない。【参照条文】国税通則法第23条《更正の請求》租税特別措置法第61条の4《交際費等の損金不算入》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/12/01
滞納者「全部の土地でなくても100坪分で足りるはず!」、ところが、二重差押えである参加差押えには、超過差押え禁止の規定の適用がありません(棄却)
【裁決のポイント】滞納処分のために既に差押えがされている不動産に対しては、官公署に限って、二重差押えとなる参加差押えを実施できるが、その効力は、先行する差押え処分が解除されてから生じることとされている。一方、差押え処分は、国税を徴収するために必要な財産以外の財産は差し押さえることができないとされている(国税徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項)。本件の審査請求人の所轄税務署長は、滞納国税を徴収するために、審査請求人が所有する各土地(本件各土地)について、既に差押えをしていたB税務署長に参加差押書を交付して、参加差押処分を行い、審査請求人に通知のうえ、登記したところ、審査請求人が、滞納金額に充てるには100坪分で足りるから違法であるとして、処分の一部の取消しを求めた。国税不服審判所は、参加差押えは、先行する差押えが進行している限り滞納者に新たな負担を課すものではなく、参加差押えに超過差押え禁止の規定が準用されるとした規定もないから、違法であるということはできないと判断した事例である。(不動産の参加差押処分・棄却・令和6年10月28日裁決)【主な争点】本件参加差押処分は本件滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分か。【裁決の要旨】参加差押えは、滞納者の財産について、既に強制換価手続である滞納処分による差押えがされている場合に、その差押えをした行政機関等に対して交付要求をするものであり、その先行する差押えが解除されたときは、参加差押通知書が滞納者に送達された時に遡って差押えの効力が生ずるものであるから、先行する差押えが解除されない限り、その先行する差押えをした行政機関等に対して配当を求める交付要求としての効力を有するにすぎないというべきである。このような参加差押えの効力からすると、参加差押えは、強制換価手続である滞納処分による差押えが先行し、これが進行している限り、滞納者に処分制限等の新たな負担を課すものではないし、国税徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないから、同項の規定は、参加差押えには適用又は準用されない。したがって、本件参加差押処分には、超過差押えに係る規定は適用又は準用されないから、本件参加差押処分が滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分ということはできない。審査請求人の主張には理由がない。【参照条文】国税徴収法第47条《差押の要件》、第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》、第82条《交付要求の手続》、第86条《参加差押えの手続》、第87条《参加差押えの効力》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/11/17
預金残高の原資は借入金、毎月の収支はマイナスでも、生活の維持が困難となるおそれはなく、一時に納付可能と判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】国税の猶予制度は、期限内納付が難しい場合に、申請より税務署長の許可を受けて、原則として担保を提供し、1年以内の期間に限り、分割して納付することができるようになる制度で、主に、(1)災害や病気、休廃業等により一時に納付できない場合の「納税の猶予」と、(2)一時に納付することにより、事業の継続・生活維持が困難となるおそれがある場合の差押財産に対する「換価の猶予」がある。一時に納付できない場合とは、納付可能金額(当座の手元資金-当面の資金繰りに必要な額(つなぎ資金))が納付すべき国税の額に満たないケースが該当する。本件の審査請求人は老人介護施設の訪問美容を主な業とする自営業者で、売上減少を理由に差押財産の換価の猶予の申請を行ったが、税務署は、生活の維持を困難にするおそれがある場合に該当しないとして不許可処分を行った。審査請求人は、手元の現預金には借入金が含まれている、納付可能金額の算定は、「納税の猶予等の取扱要領」(猶予取扱要領)によらず、相続税の延納の要件のように債務を控除して判定すべきと主張した。国税不服審判所は、猶予取扱要領の定めは合理性を有し、審査請求人について、つなぎ資金の額を最大1年分で計算しても納付困難な額が算定されないことから、不許可とした処分は適法であるとした事例である。(換価の猶予不許可処分・棄却・令和6年10月28日裁決)【主な争点】審査請求人に、本件猶予申請において、納付すべき国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあったと認められるか。【裁決の要旨】申請による換価の猶予が納税者救済のための例外的な制度であることからすると、同制度の適用に当たっては、納税者間において不公平が生じることを回避し、税務行政の適正妥当な執行を確保する必要があり、猶予取扱要領の定めが合理性を有し、特段の事情がない限り、当該定めに従った判断は相当であるというべきである。猶予取扱要領65の定めに基づき、換価の猶予の申請に係る国税の額から、現在納付可能資金額(「当座資金の額」-「つなぎ資金の額」)を控除した納付困難な額が算定されるか否かを検討すると、審査請求人の「納付困難な額」は0円になる。(※「当座資金の額」は、猶予申請を行った日の前日における現金及び預貯金の額、「つなぎ資金の額」は、調査日から計算期間1月における生活維持費等の額であるが個別事情により加算可能とされている)。本件猶予申請において、つなぎ資金として相当と認められる金額は1月分であるが、審査請求人の月々の収支がマイナスであることをもって、2月をつなぎ資金の計算期間に加えた場合であっても、更に猶予申請が認められ得る最大の期間である1年分で計算した場合でも、納付困難な額は算定されない。したがって、国税を一時に納付することによりその事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあったとは認められない。【参照条文】国税徴収法第151条の2(第1節換価の猶予)、第152条《換価の猶予に係る分割納付、通知等》国税徴収法施行令第53条《換価の猶予の申請手続等》納税の猶予等の取扱要領「納税の猶予等の取扱要領の制定について」(事務運営指針)本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/11/17
営業担当者が翌期の収益になるよう虚偽記載した実績管理表を上司は決裁した。これは法人による事実の仮装として重加算税が課された事例(棄却)
【裁決のポイント】営業収益の計上時期の特例として、法人税法第64条(令和7年改正後は第63条)は、工事の請負に係る収益及び費用の計上方法を規定している。長期大規模工事に該当する工事は工事進行基準が強制適用され(第1項)、長期大規模工事以外の工事で2事業年度以上にわたる工事は工事進行基準と工事完成基準で選択可とされている(第2項)。審査請求人の経理規定は、工事の請負による施工売上高は工事進行基準により計上すると定めている。その経理処理手順は、外注先業者が自ら作成する施工後自主検査記録と工事月報の提出を受けとった営業担当者が管理実績表に施工日、進捗率等を記入して進捗率に応じた売上高と外注費ならびに材料費を算定し、上司の決裁を得ると、事務担当者がその額を会計システムに入力するという流れになっている。審査請求人は税務調査を受けて修正申告したところ、税務署が、営業担当者は事実と異なる令和3年3月の進捗率0.00%、4月の進捗率100%の管理実績表を作成し、上司が決裁したことは、審査請求人による事実の仮装であるとして重加算税を課した。審査請求人は、経理処理手順は経理規定で規定されていない、修正申告は間違いだった、営業担当者は故意に虚偽の進捗率を算出していない等と主張した。国税不服審判所は、審査請求人には第2項の工事進行基準が適用される、営業担当者は3月に施工完了を認識していた、上司は決裁をしているから、虚偽記載は審査請求人による事実の仮装に該当するとして、重加算税賦課決定処分を適法と判断した事例である。【主な争点】審査請求人に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の「仮装」があるか。【裁決の要旨】本件工事は、法人税法第64条(令和7年改正前、現在は第63条)第1項に規定する長期大規模工事に該当しないことから、同条第2項に規定する「工事」に該当する。そして、審査請求人は、本件経理規程において、工事の請負による施工売上高は工事進行基準により計上する旨定め、その具体的な経理処理手順として、施工月日や工事全体の進捗率等を入力した実績管理表を作成し、当該進捗率に応じた施工売上高及び外注加工費の額を計上しているところ、本件工事について、令和3年3月分実績管理表の「施工月日」欄を空欄にした上で進捗率を「0.00%」と入力することにより、本件工事に係る本件事業年度(令和3年3月期)の収益の額及び費用の額を「0円」と算定しているものと認められる。したがって、本件工事については、審査請求人が、本件事業年度の確定した決算において、本件3月分実績管理表に記載された進捗率を本件工事の進行割合として、法人税法施行令第129条第3項に規定する工事進行基準の方法により収益の額及び費用の額を経理していたと認められるから、法人税法第64条第2項が適用される。本件工事の進捗率及び施工月日は、国税通則法第68条第1項に規定する「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実」に該当する。営業担当者は3月中の施工完了を認識していたが、一連の行為は、その態様に照らし、飽くまで審査請求人の経理事務の一環においてなされたものである。そして、3月分実績管理表及び4月分実績管理表は上司の決裁を受けている。以上のことからすれば、審査請求人は事実の仮装があったと認められる。【参照条文】国税則法第68条《重加算税》法人税法第64条《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》(令和7年改正後は第63条(第7款工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例))法人税法施行令第129条《工事の請負》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/11/10
最終的に第三者に居住用として再転貸することを前提にした契約と判断され、建物の取得に仕入税額控除の適用が認められなかった事例(棄却)
【裁決のポイント】令和2年度税制改正により、令和2年10月1日以後、居住用賃貸建物には仕入税額控除制度の適用が認められない。改正前は、住宅の貸付に該当するか否かは貸付けに係る契約書で判断されていたが、改正で、住宅の貸付けに係る契約において用途が明らかにされていない場合に貸付け等の状況から見て人の居住の用に供されていることが明らかなときは、当該住宅の貸付けについて非課税とすることが明示された。本件は、改正前の令和元年課税期間についての裁決であるが、改正の趣旨にも整合する判断がなされている。不動産賃貸業を営む審査請求人(個人)は、建築管理会社に工事を発注し、建物・附属駐車場を取得すると、妻が代表を務めるA社と賃貸借契約(本件賃貸借契約)を締結した。契約条項には、審査請求人の確固として完全な意思表示に基づき建物の使用用途は問わない、ただし転貸用途は制限しない旨記載されている。1か月後に当該建築管理会社はA社から一括借上げした。審査請求人は建物等の取得を課税仕入れとして消費税等の確定申告をしたが、税務署はA社への建物の貸付けは「住宅の貸付け」であるとして更正処分等を行った。審査請求人は、契約では使用用途は問わないとしている、改正法の遡及適用で違法と主張した。国税不服審判所は、建物の名称に当該建築管理会社が商標登録している賃貸「住宅」ブランドが使用されている、審査請求人、A社及び建築管理会社の3者は、本件賃貸借契約締結以前より、建物等を建築管理会社に対し一括賃貸の上、これを居住用として任意の第三者に転貸する予定であったことを認識しているから、本件賃貸借契約は「住宅の貸付け」に該当すると判断した事例である。(平31.4.1~令元.6.30課税期間の消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・令和6年3月15日裁決(非公開))【主な争点】本件賃貸借契約は、非課税取引となる「住宅の貸付け」に該当するか。【裁決の要旨】賃貸借の内容である本件建物の名称は、本件建築管理会社が商標登録している賃貸「住宅」ブランドが使用されていることからすれば、本件賃貸借契約は、A社が本件建築管理会社に対し本件建物を住宅として転貸することが前提とされていたといえる。本件賃貸借契約の締結に至る経緯の点でみても、本件建物は、住宅として賃貸されることを予定して建築され、その後も、本件建築管理会社が本件建物を住宅として転貸借の目的とすることが一貫して予定されており、審査請求人もそのことを認識した上で、本件建物を本件建築管理会社に注文し、A社との本件賃貸借契約が締結されるに至ったといえる。審査請求人、A社及び本件建築管理会社の3者は、本件賃貸借契約締結以前より、本件建物等を本件建築管理会社に対し一括賃貸の上、これを居住用として任意の第三者に転貸する予定であったことを認識していたといえる。これらによれば、本件賃貸借契約書において、本件建物の使用用途を問わない旨明記されていたとしても、審査請求人は、本件賃貸借契約の締結時点で、最終的に本件建物を借り受ける者により、本件建物が居住用以外の用途に利用されることを想定していなかったといえる。以上によれば、本件賃貸借契約は、A社が本件建物を本件建築管理会社に転貸し、本件建物を居住用として再転貸することを前提にしたものであり、本件貸付けは、本件賃貸借契約において、最終的に本件建物を賃借する者により本件建物が居住の用に供されることが明らかにされているものであると認められるから、別表第一第13号(令和2年改正前のもの)に規定する「住宅の貸付け」に該当し、非課税取引となる。改正法の遡及適用ではない。【参照条文】消費税法第6条《非課税》、第30条《仕入れに係る消費税額の控除》、別表第一本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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