税務デイリーニュース
税務に関する最新のニュースを毎日お届けします。
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2025/06/20
米国関税措置の影響に関する企業ヒアリングの結果の公表
財務省は令和7年6月13日「政府系金融機関による企業ヒアリング(米国関税措置の影響)の結果」を公表した。財務省では令和7年4月22日に「米国関税措置の影響に関する企業ヒアリングの結果」と併せて「政府系金融機関による企業ヒアリング(米国関税措置の影響)の結果」を公表しており、今回の調査は事業者を取り巻く環境が変化する中、改めて5月末時点で融資先等にヒアリングを実施したものである。令和7年4月22日に行われた「米国関税措置の影響に関する企業ヒアリング」は今年4月9日~15日の期間に、全国518社(製造業317社、非製造業176社、業界団体等25社)を対象に実施したもので、ヒアリングの結果概要は、「すでに影響が出ているとの声は1割弱であり、現時点で影響がないとの声が多数」、「ただし、現時点で影響はないものの、今後の影響を懸念する声も多く聞かれた」というものであった。ヒアリング対象の政府系金融機関は、日本政策投資銀行(DBJ)【大企業・中堅企業】、日本公庫【中小企業・小規模事業者】、国際協力銀行(JBIC)【主として大企業(海外拠点を含む)】で、令和7年4月22日には、DBJは輸送用機械・はん用機械を中心に227先のヒアリングを実施し、日本公庫は、中小事業部で、製造業を中心に705先のヒアリングを実施し、国民事業部で、全国の商工会・商工会議所277先のヒアリングを実施し、農林事業部で、農業・畜産業・林業・漁業に30先のヒアリングを実施した。また、JBICでは、自動車・半導体・重工・電力・資源等165先のヒアリングを実施した。令和7年6月13日には、DBJは輸送用機械・はん用機械を中心に230先のヒアリングを実施し、日本公庫は、4月22日と同数のヒアリングを行い、JBICでは、4月22日に行った事業者を継続フォロー、アップデートを実施した。令和7年6月13日の各政府系金融機関の調査結果概要は以下のとおりである。DBJ【大企業・中堅企業】・融資先(230先)にヒアリングを実施した結果、販売量の減少や生産コストの増加など、事業全体で影響が発生しうるとの回答は全体の2割、資金繰りで影響が発生しうるとの回答は全体の1割弱と、前回(4月22日)調査から大きな変化はなかった。・輸送用機械(自動車業界)に対象を絞ると、事業全体で影響が発生しうるとの回答が5割と前回(4月22日)調査から拡大、資金繰りで影響が発生しうるとの回答が2割と前回から大きな変化はなかった。日本公庫【中小企業•小規模事業者】・中小事業部の融資先(705先)、全国の商工会・商工会議所(277先)にヒアリングを実施した結果、「現時点で影響あり」「今後影響が、発生する可能性がある」の割合が、前回(4月22日)調査から若干増加しているものの、引き続き、影響なしとの声が多数であった。JBIC【主として大企業(海外拠点を含む)】・自動車・重工・鉄鋼・資源等を継続フォローし、アップデート(海外拠点についても聴取)を行った。・不透明な状況が続き、影響は様子見であるも、関税措置による景気悪化、コスト増加、クレジットスプレッド拡大等に伴う懸念があり、具体的には、自動車における設備投資資金、販売を下支えする資金の潜在的なニーズに加え、米国・第三国間の関税による影響や、インフレの影響が懸念される分野(LNG)がある。米国向け直接輸出は代替困難な製品が多いため、影響が限定的な分野(鉄鋼)も存在するが、間接的な影響には留意が必要である。・地域別にみると、地産地消型のビジネスであり影響は軽微という声がある一方、中国など一部製造拠点を米国・東南アジアに移管する動きがある。米国への輸出減に伴い、他地域での価格競争等を懸念する声がある。(参考)政府系金融機関による企業ヒアリング(米国関税措置の影響)の結果https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/20250613_kekka.pdf(参考)米国関税措置の影響に関する企業ヒアリングの結果https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/20250422.html
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2025/06/19
中小企業の賃金改定に関する調査
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は6月4日、「中小企業の賃金改定に関する調査」の結果を公表した。本調査は、昨年度に引き続き、雇用の7割を支える中小企業における賃上げの実態を詳細に把握し、今後の要望活動に活かすことを目的として、本年4月から5月にかけて全国47都道府県の会員企業3,042社を対象に実施されたものである。回答の集計・分析に当たっては、以下のように分類して行われた。・従業員規模別:全体(3,042社)、小規模企業(従業員20人以下、1,612社)・地域別:都市部(東京23区・政令指定都市490社)、地方(2,552社、うち小規模企業1,363社)・雇用形態別:正社員、パート・アルバイト等1従業員規模別の賃上げ実施状況2025年度の賃上げについて、「賃上げを実施する(予定を含む。)」企業は、全体で69.6%(前年比▲4.7ポイント)、小規模企業では57.7%(同▲5.6ポイント)となった。「現時点で未定」とする企業は、全体で23.5%(同+3.1ポイント)、小規模企業では31.9%(同+2.9ポイント)であり、価格転嫁の遅れや米国の関税措置などによる先行きの不透明感から、慎重な姿勢を取る企業が増加している。なお、「賃上げを実施する(予定を含む。)」と回答した企業のうち、「業績の改善が見られないが賃上げを実施する(予定を含む。)」とする防衛的な賃上げを行う企業は、全体で60.1%(同+1.0ポイント)、小規模企業では62.8%(同▲1.3ポイント)となっている。主な理由としては、「人材の確保・採用」が71.5%、「物価上昇への対応」が69.4%となっている。2地域別の賃上げ実施状況「賃上げを実施する(予定を含む。)」企業の割合は、都市部で71.4%、地方で69.3%となっている。一方で、地方・小規模企業では57.1%と全体より12.5ポイント低く、「現時点で未定」との回答も33.5%に達しており、賃上げに対してより慎重な姿勢が見られるとしている。3雇用形態別の賃上げ実施状況正社員(月給)の賃上げについて、全体では賃上げ額11,074円、賃上げ率4.03%(同+0.41ポイント)、小規模企業では賃上げ額9,568円、賃上げ率3.54%(同+0.20ポイント)となっている。地域別では、都市部は賃上げ額12,857円、賃上げ率4.37%(同+0.48ポイント)、地方は賃上げ額10,627円、賃上げ率3.94%(同+0.41ポイント)、地方・小規模企業では賃上げ額9,269円、賃上げ率3.55%(同+0.34ポイント)となっており、都市部・地方ともに前年を上回る賃上げが実施されているが、地方の小規模企業においては賃上げ幅が相対的に小さい傾向にあるとしている。(参考)「中小企業の賃金改定に関する調査」https://www.jcci.or.jp/news/research/2025/0604153019.html
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2025/06/18
令和7年度税制改正(基礎控除の見直し関係)Q&Aを公表
国税庁は、令和7年度税制改正により行われた所得税の「基礎控除」、「給与所得控除」に関する見直しや「特定親族特別控除」の創設などに伴う、源泉徴収事務の変更点をまとめたQ&Aを特設サイトにおいて5月30日に公表した。今回のQ&Aは、改正後の令和7年分年末調整事務および令和8年1月以後の源泉徴収事務を中心に、以下の7項目で構成されている。・改正の概要・令和7年分年末調整関係書類の記載事項・特定親族特別申告書・令和7年分年末調整における年税額の計算・令和8年分以後の給与の源泉徴収事務・公的年金等に係る令和7年度税制改正・令和7年分の所得税に係る準確定申告書等なかでも注意すべき点は、令和7年分の給与に関する源泉徴収事務の手続きである。税制改正による基礎控除の見直し等は令和7年12月1日から適用されるため、それ以前の令和7年11月末までに支払われる給与については、従来通りの源泉徴収事務を行うこととなる。そして、12月以後に支払う給与および年末調整から改正後の取扱いが適用される(「1-1改正の概要」参照)。このため、令和7年12月に実施する年末調整では、改正後の基礎控除額や給与所得控除に基づいて年間の所得税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行うことになる(「1-1改正の概要」参照)。もし、年の最後の給与が11月30日以前に支払われた場合は、年末調整では改正後の控除等は適用されず、確定申告で適用されることとなる(「1-12令和7年12月1日以後居住者として給与の支払を受けていない人」参照)。特に注意が必要なのは、令和7年11月30日以前に令和7年分の準確定申告の提出を行う場合、一旦、改正前の税額計算による準確定申告書を提出し、12月1日以後に、改めて更正の請求を行うことで改正後の制度の適用を受けることとなる(「7-1令和7年11月30日以前に準確定申告書を提出する場合の基礎控除等」参照)。なお、令和8年1月1日以降は、改正後の「源泉徴収税額表」に基づき源泉徴収事務を行うことになる(「5-1令和8年分以後の給与の源泉徴収事務の改正」参照)。改正後の源泉徴収事務に必要な用紙等について、「特定親族特別控除申告書」、「給与所得の源泉徴収票」、「令和8年分給与所得に対する源泉徴収簿」は令和7年6月末頃、「令和7年分年末調整のしかた」、「令和8年分源泉徴収税額表」は令和7年8月末頃に国税庁ホームページに掲載予定である。(参考)令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&Ahttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025005-051.pdf(参考)令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等についてhttps://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
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2025/06/17
「令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」
国税庁は5月30日、「令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」を公表した。1申告所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の申告状況申告人員は2,339万人(対前年比+0.6%)と、平成27年分以降ほぼ横ばいで推移しており、申告納税額がある納税人員は517万人(同▲22.6%)、その所得金額は51兆1,604億円(同+3.2%)、申告納税額は4兆3,989億円(同+8.6%)となっている。(1)土地等の譲渡所得(総合譲渡を含む。)の申告状況申告人員は58万人(同+4.3%)であり、所得金額がある有所得人員は39万人(同+3.4%)、その所得金額は6兆4,993億円(同+6.8%)となっている。(2)株式等の譲渡所得の申告状況申告人員は118万人(同+2.3%)であり、所得金額がある有所得人員は74万人(同+13.4%)、その所得金額は8兆854億円(同+42.7%)となっている。(3)e-Taxの利用状況等(トピックス1)e-Taxの利用による所得税等の申告人員は1,732万人(同+7.9%)、前年分から127万人増加し、申告人員全体2,339万人のうち、74.0%がe-Taxで申告している。(4)自宅からのe-Taxの利用状況等(トピックス2)自宅からe-Taxで申告した人員は824万人(同+19.4%)、前年分から134万人増加し、申告人員全体のうち35.2%となっている。また、自宅からスマホを利用してe-Taxで申告した人員は408万人(同+29.0%)、前年分から92万人増加し、自宅からe-Taxで申告した人員の約半数を占めている。他方、確定申告会場において申告した人員は、前年分から19万人減少し、251万人と申告人員全体の約1割となっている。(5)書かない確定申告の推進(トピックス3)同庁では、マイナポータル連携を利用した「日本版記入済み申告書(書かない確定申告)」を推進しているが、マイナポータル連携の利用者は310万人(同+62.4%)、前年分から119万人増加している。2個人事業者の消費税の申告状況申告件数は212万件(同+7.5%)、申告納税額については8,004億円(同+16.8%)となっている。3贈与税の申告状況申告人員は47万人(同▲7.0%)、申告納税額がある納税人員は33万人(同▲11.4%)、その申告納税額は3,935億円(同+10.9%)となっている。なお、同庁では、平成15年分の確定申告以降、休日の相談対応(「閉庁日対応」)を行ってきたが、e-Tax利用者の増加と閉庁日の来場者数の減少を踏まえ、閉庁日対応のあり方について見直しを行っており、段階的な縮小・廃止の検討を進めていくとしている。(参考)「令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」https://www.nta.go.jp/topics/pdf/0025005-063.pdf
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2025/06/16
「国税スマートフォン決済専用サイト」のメンテナンス
国税庁は、令和7年6月6日「「国税スマートフォン決済専用サイト」のメンテナンス(令和7年6月16日)のお知らせ」を公表した。メンテナンス中は、スマホアプリ納付の手続が利用できないため、注意が必要である。メンテナンス日時:2025年6月16日(月)午前2時00分~午前6時00分スマホアプリ納付とは、e-Taxで申告等データを送信した後などに、国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営するスマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、「○○Pay」といったスマホ決済アプリを使用して納付する方法で、申告税額等が30万円以下の場合に利用できる方法である。納付可能な税目は、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、法人税(グループ通算、連結納税を含む)等であり、本税に加えて、附帯税(加算税、延滞税等)の納付も可能となっている(附帯税のみの納付も可能)。また、所得税徴収高計算書の提出が必要となる「源泉所得税及び復興特別所得税」の納付についても、e-Tax(国税電子申告・納税システム)において、所得税徴収高計算書データを送信した後、メッセージボックスに格納される受信通知から「国税スマートフォン決済専用サイト」へアクセスする方法により、納付することができる。※1「国税スマートフォン決済専用サイト」は、これまで複数あったアクセス方法を令和7年2月1日からe-Taxを経由する方法に集約したもので、スマホアプリ納付を行う場合には、スマートフォンまたはパソコンからe-Taxにより申告等の手続を行った上で、e-Taxを経由して「国税スマートフォン決済専用サイト」を利用することになる。令和7年1月6日から確定申告書等作成コーナーで申告書を書面で作成した際に出力されるQRコードについては、上記の集約化に伴い、出力されなくなっている。国税庁では、スマホアプリ納付について下記の注意を行っている。・アカウント残高を利用した支払方法のみ利用可能なため、事前に利用するPay払いへのアカウント登録及び残高へのチャージが必要。・全ての税目が納付可能だが、印紙を貼り付けて納付する場合等、利用ができない税目がある。・納付しようとする金額が30万円以下の場合に利用することができるが、利用するPay払いで設定された上限金額により、利用可能な金額が制限される場合がある。・30万円を超える納付税額について、複数回に分けて納付することは控えてほしい。・領収書は発行されない。・決済手数料は発生しない。スマホアプリ納付利用の詳細については、「スマホアプリ納付Q&A」を参考にするとよい。※2(参考)スマホアプリ納付の手続https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/smartphone_nofu/index.htm※1https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/smartphone_nofu/smartphone_qa.htm#a2-13※2https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/smartphone_nofu/smartphone.htm
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2025/06/13
「公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の特例のあらまし」を公表
令和7年度税制改正に伴い、公益法人等に対する財産の寄附に係る譲渡所得等の非課税制度が一部改正された。国税庁は、パンフレット「公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし」を公表した。個人が土地や建物、株式などの財産を法人に寄附した場合、通常は寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ、取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される。ただし、これらの財産を公益法人等に寄附し、一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、非課税となる特例がある。この特例には、「一般特例」と「承認特例」の2種類がある。「一般特例」は、公益の増進に著しく寄与する寄附について承認を受けた場合に非課税となるものである。「承認特例」は、承認特例対象法人に寄附した場合で、寄附者が寄附を受けた法人の役員等に該当しないことなどの要件を満たせば、非課税となるものである。なお、「一般特例」は、非課税承認された場合、承認の通知が行われるが、「承認特例」については承認があったとみなされる「自動承認」の仕組みが設けられている。いずれも非課税承認を受けるためには、財産が寄附から2年以内に公益目的の事業に直接使われるなどの要件を満たす必要があり、所轄の税務署を経由して国税庁長官に承認申請書を提出する。もし、寄附日から2年以内に公益目的の事業に使用されなかった場合や、使用を途中でやめた場合は承認が取り消され、譲渡所得として所得税が課されることになる。今回の改正では、「承認特例」の対象範囲に公益信託の受託者に対するその信託財産とするための贈与等で一定のもののうち、その贈与等に係る財産が一定の基金に組み入れられるものが加えられた(※)。新しい公益信託制度は、今夏をめどに新公益信託法施行に必要な法令等が作成されることとなっており、当該改正の施行は令和8年4月1日となる見込みである。※https://www.nta.go.jp/publication/pamph/joto-sanrin/r07aramashi.pdf(参考)公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらましhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020006-125.pdf
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2025/06/12
「『Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会』報告書」を公表
経済産業省では、今後のデジタル人材育成の在り方を議論するため、「Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会」及び「デジタル人材のスキル・学習の在り方ワーキンググループ」を開催し、有識者とともに議論を重ねてきた。今回、その内容を「『Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会』報告書:スキルベースの人材育成を目指して」(以下「本報告書」という。)として、5月23日に公表した。背景として、現在の労働市場では、スキルを身につけた人が必ずしも評価されず、また、企業における処遇の予見可能性も低く、結果として個人の学習やスキル習得のモチベーションが高まらない状況があり、一方、AI時代に向けては、変化をいとわず学び続ける必要があることから、スキル習得の努力が報われ、キャリア設計を個人に取り戻すため、スキルベースの人材育成に向けた環境整備が必要である。具体的には、デジタル人材育成を支えるスキル情報基盤を通じて、諸外国と同様にスキルベースの人材育成を実現することが期待されており、こうしたことから、同省ではスキルベースのデジタル人材育成の在り方について議論を重ね、本報告書を取りまとめたものである。本報告書では、全体の背景として、企業は人材投資せず、個人も学ぼうとしない日本において、足下でスキルギャップが顕在化しており、生成AIがもたらす技術革新の加速、構造的な人手不足といった課題に向き合いながら、いかにデジタル人材育成を加速させるかとの問題提起を行っている。まず、第1章「デジタル人材育成をとりまく現状とこれまでの取組」では、デジタル人材育成を取り巻く現状など課題を示し、次に第2章「スキルベースの人材育成に向けた取組の現状と方向性」では、スキル可視化、スキルベース組織などについて概観し、人材育成に向けた方向性について論点整理を行っている。これを受けて、第3章「デジタル人材育成を支えるスキル情報基盤の在り方」では、スキル情報を広く労働市場で活用するためのスキル情報基盤の在り方などについて検討している。最後に第4章「デジタル人材のスキル・学習の在り方」では、デジタル人材のスキルなどを概観した上で、Society5.0時代に向けたデジタル人材育成の体系として、「ビジネス」、「エンジニアリング」、「デジタルリテラシー」の3領域を設定して、最新のデジタルスキル標準に基づき官民で人材育成体系を形成することを示し、その上で変革のマインドセットを具現化する6分野の人材スキルの可視化や育成の方法などについて、デジタルスキル標準の改訂や試験区分の新設も含めて検討を深めることを示している。今後、本報告書を起点として、各専門スキルやデジタルリテラシー別に各論点をより詳細に議論する場としてタスクフォースを順次立ち上げた上で、議論を重ねていく予定としている。(参考)「『Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会』報告書」を公表https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250523005/20250523005.html
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2025/06/11
日商、「知的財産政策に関する意見」を手交
日本商工会議所等は、4月に知的財産政策について、中小企業のニーズや実態を踏まえ意見を取りまとめ公表した。今回、本意見・要望が反映されるよう実現を働きかけるため、関係機関等に対して意見書を手交し、要望事項を伝えるとともに、意見交換では引き続き官民が連携して取り組んでいくという認識を共有したとしている。意見書の要旨については、以下のとおりである。政府が掲げる「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向けては、国内経済を支える中小企業のイノベーション創出・付加価値拡大による原資の持続的確保が不可欠である。その源泉となる「稼ぐ力の種」こそ知財であり、中小企業等において、知財の重要性の認識が定着することが重要、そのうえで、知財を活用した経営(知財経営)に関する知識や能力、すなわち「知財経営リテラシー」の向上を軸に、知財の活用と保護を車の両輪として取り組むことが、「稼ぐ力」の原動力となる。このような考えのもと、5つの要望項目を掲げ、これらに沿った施策の展開により、知財経営を推進するよう提言している。1知財経営リテラシーの向上・中小企業、支援機関、国・地方自治体における、知財の重要性に関する普及啓発・知財取引適正化に向けた、秘密保持契約締結・不当な契約見直し等の法務支援強化・自社の技術・ノウハウ・データ等を安易に開示しないための周知・指導体制強化2中小企業における知財の創造・活用促進・中小企業における「知的財産の活用・保護推進アクションプラン(仮称)」の策定・知財活用の普及・促進に向けた各種支援施策の拡充(クリアランス調査の実施の働きかけ等)・知財の価値評価に基づく資金調達の円滑化・税財政面の支援拡充3取引適正化・侵害抑止に向けた知財保護の強化・知財保護の強化に向けた実態調査・指針策定・制度策定の検討・企業の共存共栄に向けた知財の取引適正化の推進・技術・ノウハウ等の情報流出防止に向けた支援強化4日本のコンテンツ関連産業の拡大および加速するデジタル市場への対応・コンテンツ関連産業の保護・育成に向けた環境整備・生成AIの活用に向けた環境整備・拡大するデジタル市場に対応するための環境整備5地方創生に資する地域および中小・中堅企業の知財活用に向けた体制整備・地域経済の持続的成長に向けた地方自治体の支援体制強化・知財の積極活用による観光・地域振興・地域の持続的なイノベーション創出を支える人材育成・産学連携(参考)「知的財産政策に関する意見」を手交https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0516170007.html
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2025/06/10
第六世代税理士用電子証明書への対応等
国税庁は、令和7年5月26日「税理士用電子証明書をご利用の税理士の方へ」として、日本税理士会連合会が令和7年8月以降に発行予定の第六世代税理士用電子証明書の運用開始に先立ち、令和7年5月26日(月)から、国税庁が提供する各種ソフト等において、第六世代税理士用電子証明書に対応したことを公表した。この対応に伴い、認証局選択画面に「日税連税理士用電子証明書(第六世代)」を追加するとともに、今まで「日税連税理士用電子証明書」と表示していたところ、「日税連税理士用電子証明書(第五世代)」に変更が行われた。認証局選択画面に「日税連税理士用電子証明書(第六世代)」はされているが、この証明書は、第六世代税理士用電子証明書の運用が開始される令和7年8月1日(金)までは利用できないため、同日までは、選択を行わないように注意することが必要となる。令和7年7月31日(木)までの間に「日税連税理士用電子証明書(第六世代)」を選択した場合、「ICカードが認識できませんでした・・・」という、エラーメッセージが表示される。エラーメッセージが表示された場合、第五世代税理士用電子証明書を利用している場合には、認証局選択画面で「日税連税理士用電子証明書(第六世代)」ではなく、「日税連税理士用電子証明書(第五世代)」を選択することで対応することができる。対象となる国税庁のソフトは、e-Taxソフト、e-Taxソフト(WEB版)、電子的控除証明書等作成ソフト、NISAコーナー、FATCAコーナー、多国籍企業情報の報告コーナー、CRS報告コーナーである。なお、令和7年8月1日(金)以降に現在利用している電子証明書を第六世代税理士用電子証明書に変更する場合、e-Taxに再度電子証明書を登録することが必要となるのでこの点にも注意が必要である。電子証明書の登録変更方法は、国税庁よくある質問の「更新した電子証明書を、e-Taxソフト(WEB版)を利用して再登録するには、どうすればいいですか。」(※1)を確認するとよい。国税庁は、令和7年5月26日「税理士の方が関与先納税者のマイページ情報を参照できるようになりました」として、令和7年5月26日(月)から、e-Tax上で納税者と「委任関係の登録」を行った税理士については、納税者のマイページで確認できる「各税目に関する情報」をはじめとする情報が参照可能になったことも公表した。(※2)具体的には、e-Tax(WEB版)の関与先一覧→該当関与先名を選択→追加認証を行うという手順となる。この参照を行う際には、税理士用電子証明書やマイナンバーカード等の電子証明書による認証が必要となる点には注意が必要である。また、令和7年5月時点では、電子通知を希望した通知書等など、参照できない情報がある点にも留意しておきたい。なお、既に「委任関係の登録」を行っている税理士は、改めて「委任関係の登録」を行うことなく参照することができる。(参考)税理士用電子証明書をご利用の税理士の方へhttps://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2025/topics_20250526_zeirishicard.htm※1https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/e-taxweb/38.htm※2https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2025/topics_20250526_mypage.htm
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2025/06/09
国税庁「令和5年度分会社標本調査結果」を公表
国税庁はこのほど、令和5年度分会社標本調査結果について発表した。この調査は、日本の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正や税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的としたものである。今回の結果は、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に終了した各事業年度について、令和6年7月31日までに申告のあった事績を対象として、令和6年8月末現在で取りまとめたもので、同調査におけるサンプルは約231万社(母集団サイズ約296万社)となっている。同調査によると、法人数全体は295万6,717社で、前年度より4万6,870社増加(前年度比1.6%増)し、平成24年度以降11年連続の増加となった。法人数全体のうち、利益計上法人は115万3,514社(前年度比1.9%増)で3年連続増加し、過去最大となり、欠損法人は180万3,203社(前年度比1.5%増)で、こちらも4年連続の増加となった。全法人に占める欠損法人の割合は前年度より0.1ポイント減少の61.0%だった。営業収入金額は前年度より37兆8,971億円増加の1,760兆1,788億円。3年連続の増加で、過去最高となった。所得金額は前年度より11兆7,337億円増加の91兆7,696億円で4年連続増加し、こちらも過去最高となった。所得金額の増加額・増加率を業種別にみると、前年度と比べて増加額が最も大きいのは、「機械工業」(7,024億円)、次いで「小売業」(6,973億円)、「建設業」(6,311億円)となっており、増加率が最も高いのは「食料品製造業」(30.1%)、次いで「農林水産業」(18.8%)、「出版印刷業」(18.2%)となっている。一方、所得金額が減少したのは「運輸通信公益事業」(▲4,329億円)、「鉱業」(3,441億円)、「化学工業」(▲523億円)、「繊維工業」(▲230億円)「料理飲食旅館業」(▲92億円)の5業種。減少率が最も高いのは「鉱業」(▲52.1%)、次いで「繊維工業」(▲18.9%)、「運輸通信公益事業」(▲10.5%)となっている。法人税額は16兆3,976億円で、前年度より2兆1,533億円増加(+15.1%)。所得税額控除は前年度より8,745億円減少の3兆8,819億円(▲18.4%)。外国税額控除は3,852億円増加の1兆2,047億円(+47.0%)だった。繰越欠損金の当期控除額は、前年度より1兆6,297億円増加の10兆9,697億円で、翌期繰越額は1兆9,988億円増加の77兆5,219億円で、ともに増加した。交際費等の支出額は、前年度より6,020億円増加の4兆1,841億円。また、寄附金の支出額は、前年度より3,433億円増加の1兆3,702億円。交際費等は2年連続、寄付金の支出額は4年連続で増加した。(参考)令和5年度分会社標本調査結果についてhttps://www.nta.go.jp/information/release/pdf/kaishahyohon2023.pdf
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