実務情報
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2026/02/05 会計レポート
公益法人制度の改正(11)
はじめに「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」が、2024年(令和6年)5月に改正され、新たな公益法人制度が2025年(令和7年)4月から始まっています。この改正内容を受けて2024年(令和6年)12月に改正された「公益法人会計基準」(以下、改正会計基準)が公表されました。改正会計基準は、2025年4月1日からの適用とされていますが、経過措置として、2028年4月1日から適用することも認められています。今回は、改正会計基準のなかで、活動計算書、特にその表示を取り上げます。12.活動計算書(1)名称の変更「活動計算書」は改正前の会計基準では、「正味財産増減計算書」と呼ばれていた財務表に相当します。このことは、前回説明の貸借対照表において、「正味財産」という用語を廃して、「純資産」という用語を使用することと関連しています。この名称の変更は、2019年7月に日本公認会計士協会より公表された「非営利組織モデル会計基準」(最終改正は、2025年6月)で使用されている名称に合わせることを趣旨としています。そしてその名称の変更に伴い、法人の活動状況を明らかにするための財務表であるとされます(改正会計基準、par.33)が、それに包含される内容は、収益及び費用等の正味財産(=純資産)の変動原因であり、正味財産増減計算書と相違しません。むろん、その表示は含まれる項目に関わる会計処理の変更の影響を受けることにはなります。(2)活動計算書の表示区分等活動計算書の表示には、経常活動区分とその他活動区分を設けることとされています(改正会計基準、par.34(1))。経常活動区分では、経常的な活動から生じた収益及び費用が記載され、その他活動区分では、経常活動以外から生じる諸項目が記載され、それぞれの区分における差額(経常収益費用差額とその他収益費用差額)を合算して、法人税等の項目がある場合にはそれを調整して、当期収益費用差額を算定することになります(改正会計基準、pars.35-36)。したがって、収益と費用は、活動別により分類されることになります(改正会計基準、pars.35-47)。活動計算書における留意すべき改正点は、指定純資産変動の部と一般純資産変動の部の区分がなくなった点です。このことは、使途が特定された寄付金等を受け入れたとき、それを収益として計上することを意味しています。使途指定の寄付金は、指定された使途どおりに使用しない場合には、返金する可能性がありますが、改正会計基準では、受け入れた時点で収益認識することを求めています。改正前では、使途指定のある寄付金を受け取ったときは、原則として、収益として処理することなく、指定正味財産の増加として処理されていたものです。したがって、使途の指定の有無は、仕訳上では、その処理に影響を及ぼさないことになりました。またその内訳表で、公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計のそれぞれの情報を示すことも廃止されました。したがって、これらに関わる情報は、注記により対応がなされることとされています。上記表示方法に従った活動計算書のひな型を示すならば、次のとおりとなります(改正会計基準運用指針、par.90第2)。(3)表示に関する諸原則収益と費用について、総額表示を原則とし、両者を相殺することでその全部または一部を除去することを禁止すること(改正会計基準、par.34(2))とされており、いわゆる総額主義が採用されています。ただし、いかなる場合に相殺表示となるのかについては、具体的な規準なり要件なりが示されているわけではないので、個々の会計処理ごとに判断することになります。(4)活動計算書の注記上述のとおり、使途指定の寄付金を受け入れたときには、一括して収益認識することとなったため、指定純資産に関わる収益と一般純資産に関わる収益、さらには社団法人の場合の基金といった財源区分別の注記が求められています(改正会計基準、par.48)。そのため指定純資産に残高がある場合には、その内訳と増減額及び残高の注記が求められています(改正会計基準、par.50)。さらに公益目的事業での使用等、使途が指定されている場合の寄附や特定の資産の購入に充てることが指定されている補助金のような法令で定める指定寄附資金がある場合には、その受入年度別残高及び支出見込みについても注記が求められています(改正会計基準、par.51)。また公益目的事業会計、収益事業等会計に関わる内訳も注記が求められています(改正会計基準、par.49)。加えて、事業費、管理費の形態別科目による内訳についても注記が求められています(改正会計基準、par.52)。(5)純資産間の振替使途の指定の有無にかかわらず、寄付金等を受け入れたときに、収益計上しているため、指定純資産から一般純資産への振替は行う必要がなくなりました。ただし、「資源提供者から使途の制約を受けた資源である指定純資産について、やむを得ない事情により指定された使途に使用できなくなった場合には、指定純資産から一般純資産への振替を行う。」(改正会計基準、par.53)とされています。ただし、この振替額やその理由については、活動計算書にではなく、あくまで表示上の問題として、貸借対照表の注記とされています(改正会計基準、par.54)。提供:税経システム研究所
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2026/02/02 審査事例
税務職員に相談し、申告は来年で良いと言われた。相談者が十分な資料の提示や説明を行っていない以上、「税務職員の聴取不足」の主張は通らず、無申告加算税が課された事例(棄却)
【裁決のポイント】税務職員による税務相談は、複雑な税法の理解を助ける行政サービスの一環であり、税務職員は、相談者が提出した資料や述べた内容に依存せざるを得ず、その範囲で一応の判断を示すが、進んで判断することはなく、また相談者は回答に拘束されるものでもない。本件の審査請求人は、他の相続人とともに、叔母の不動産を相続し、売却手続きの便宜上、相続人のうち一人の名義にした上で、売却後に経費が引かれた代金の分配を受けることで合意した。不動産は平成27年中に売却されたが、審査請求人に分配金が振り込まれたのは平成28年1月だった。審査請求人は、平成28年3月に平成27年分確定申告相談会場に出向き、税務職員に「代金を今年受領した」とだけ伝えたところ、「申告は来年で良い」と言われ申告しなかった。審査請求人は期限後申告をして無申告加算税が課されたため、担当職員の聴取不足による判断誤りで、期限内申告ができなかった正当な理由があると主張した。国税不服審判所は、無申告となったのは、審査請求人が不動産の売却の時期等に関して十分な資料の提示や説明を行っていないことによるものであり、正当な理由(真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情)があったとはいえないと判断した事例である。(平成27年分所得税等に係る無申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成29年7月19日裁決(非公開))【主な争点】期限内申告書の提出がなかったことについて、無申告加算税が課されない「正当な理由」(国税通則法第66条第1項ただし書)があると認められるか。【裁決の要旨】無申告加算税は、適正に法定申告期限までに申告をした者とこれを怠った者との間に生ずる不公平を是正するとともに、無申告による納税義務違反の発生を防止する行政上の措置であり、無申告という事実に対して「正当な理由」があると認められる場合を除いて、一律に課されるものである。「申告は来年で良い」という本件担当職員の指導があったとしても、行政サービスの一環である申告相談は、その担当職員が相談者の説明や提示資料を検討して説明をするものであり、同職員が相談者の説明等を超えて事実関係の聴取等をすべきであるとは認められないところ、当審判所の質問調査に対する審査請求人の答述によれば、審査請求人は、売却事務を行った相続人が依頼した弁護士から売買契約書等の税務申告関係書類を受け取り、それらを申告相談会場に持参したにもかかわらず、本件担当職員に対して、売却代金を平成28年に受領したことを伝えたが、売却時期等について伝えず、持参した関係書類も提示していないというのである。そうすると、審査請求人の主張するような本件担当職員の指導は、審査請求人が不動産の売却の時期等に関して十分な資料の提示や説明を行っていないことによるものであるといえ、申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったとはいえない。したがって、期限内申告書の提出がなかったことについて「正当な理由」があるとは認められない。【参照条文】国税通則法第66条《無申告加算税》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/01/30 経営レポート
昨今労務事情あれこれ(218)
*本稿は2026年1月15日時点の情報に基づいて作成しています。1.はじめに2026年を迎えて早1カ月。今年の干支は「午(うま)」。力強く駆け抜ける馬の姿から、活力・前進・情熱の象徴とされ、新たな挑戦や大きな成長・発展に最適な年とされています。皆様のビジネスが飛躍・躍進を遂げる年となるよう祈念しております。2025年秋に高市政権が発足しました。自民党総裁に選出された直後に高市氏が発した「働いて働いて……」は高市氏の「国民のために懸命に働いていく」覚悟を示す言葉として、2025年の新語・流行語大賞にも選ばれるほどの象徴的な言葉となりましたが、「過労死を助長する」「働き方改革に逆行する」といった批判や抗議の声も上がっていました。「働き方改革」に代表されるように、多様な働き方、テレワークや副業の拡大、少子高齢化に伴う労働力不足など近年、我が国の労働環境は急速に変化しています。そうした状況の中、労務管理の基本とも言える労働基準法が対応しきれていないとして改正に向けた議論が行われています。この後は、2026年の通常国会への提出による法制化を念頭に置いていた模様ですが、高市早苗首相が指示を出した「労働時間規制の緩和検討」などの議論を踏まえる必要があるとの判断から、厚生労働省は2026年の改正案提出は先送りする方針を示しました。このように、一旦立ち止まった格好にはなりましたが、この大きな改正案の内容について、どういった項目の変更が議論されているのかを知り、改正後の自社対応をシュミレーションしておくことには大いに意味があります。今回は、改正議論のポイントとしてあげられていた項目について、その内容の紹介と対処法を考えていきます。2.議論されている項目は?労働基準法の改正案は、本稿執筆時点ではまだ国会提出はされていませんが、厚生労働省の労働政策審議会(以下「審議会」)で具体的な議論が進められている主な項目は以下の内容です。副業・兼業時の労働時間通算制度の見直しフレックスタイム制の部分活用とテレワークの際の新たな「みなし労働時間制」の創設連続勤務の上限見直し法定労働時間週44時間特例の廃止法定休日の特定義務勤務間インターバル制度の義務化年次有給休暇取得時の賃金算定方法変更「つながらない権利」の明確化管理監督者・裁量労働対象者の適用見直しこれらの項目のうち、重要度が高いとされているのが1.~5.の項目です。具体的に各項目の内容を見ていきます。1.副業・兼業時の労働時間通算制度の見直し(38条)現行では、一人の労働者が複数の企業で働く場合、複数の雇用先の労働時間を通算し、法定労働時間を超えた場合、後から雇用した会社が割増賃金を支払うとされていますが、例えば、副業先が本業先の労働時間を正確に把握することは極めて難しく、また、変形労働時間制やフレックスタイム制などが関係してくると、事実上、通算は困難となるなど企業側の負担があまりにも大きな制度となっています。この点に関し、審議会は「健康確保のため労働時間の通算は維持するも、割増賃金の支払いについては通算不要」とする方向性を示しています。これにより、複数企業間での割増賃金算定は不要となり、企業も副業を認めやすくなるものと見込まれています。2.フレックスタイム制の部分活用とテレワークの際の新たな「みなし労働時間制」の創設(38条)現行では、フレックスタイム制を部分的に適用することは認められておらず、テレワークする日と通常通り職場に出勤する日が混在する場合は、フレックスタイム制が活用しにくくなっています。この点について審議会は、「テレワークに限らず、特定の日については、あらかじめ就業規則で定められた始業・終業時刻に出退勤することを可能にすることにより、部分的にフレックスタイム制を活用できる制度の導入を進めることが考えられる」と提言しています。また、「みなし労働時間制」については、具体的に対象業務が定められており、テレワーク等についてもみなし労働時間制を適用することが可能ですが、適用条件や制度的制約が多く、「多様な働き方」への対応が課題とされています(注1)。この点に関し、テレワークや在宅勤務に限定した、「新たなみなし労働時間制」を創設するなどの方向性が検討されています。3.連続勤務の上限見直し(35条)現行では4週間で4日以上の休日を確保していれば、最大で48日間の連続勤務が可能です。しかし、長期にわたる連続勤務は過労やメンタル不調に直結する要因であり、労災保険における精神障害の認定基準でも、「2週間以上の連続勤務が心理的負荷となる」と例示されています。この点に関し、審議会は「13日を超える連続勤務の禁止」を提言しています。4.法定労働時間週44時間特例の廃止(40条)現行では、原則的な法定労働時間は「1日8時間週40時間」ですが、卸売・小売などの商業・病院などの保険衛生業・旅館、ゴルフ場などの接客娯楽業など特定の業種で従業員数が常時10人未満の事業所については、特例として法定労働時間を「1日8時間週44時間」まで延長できることになっています。しかし、対象となる事業場の約87%がこの特例措置を利用していないことから、審議会は「特例の撤廃に向けた検討に取り組むべき」と提言しています。5.法定休日の特定義務(35条)現行では「法定休日」(使用者が少なくとも週に1回与える義務のある休日)について、どの日を法定休日とするのか、明示する義務はありません。週休二日制やシフト制、変形労働時間制など勤務形態が多様化する中で、「法定休日」と「所定休日」(法定休日以外の休日)が混在することにより、休日労働の割増賃金や代休について労使間でトラブルが散見されています。この点に関し審議会は「法定休日をあらかじめ就業規則などで特定することを義務付けるべき」と提言しています。上記の5項目以外の項目も順次改正の対象とされることから、議論の推移が注目されるところです。3.改正が議論されている段階での備えとは労働基準法の改正は、本稿執筆時点では、厚生労働省・審議会内で議論中の段階ですが、先々改正が決まった場合は、就業規則をはじめとした社内規定を、早々に改正後の内容に対応するよう改めなければなりません。これに備えるために、企業側としてどのように備えておくべきなのでしょうか。○現行制度の見直しと再確認改正が議論されている内容は「労働時間」や「休日」に関連した項目が多くなっています。就業規則で定めている労働時間・休日について再確認し、どのような内容となっているのかを把握しておくことは必須の対応です。また「36協定」(時間外・休日に関する労使協定)の内容にも関係してきますので、こちらも内容を確認しておきましょう。○自社の労務実態の確認残業時間や年次有給休暇の取得状況、シフトの組み方など労務の実態を再確認してみましょう。労働時間や休日に関する条項が改正されることにより、休日・時間外の割増賃金など労務コストに直接跳ね返ってくる可能性があります。また、現状で長期の連勤が恒常的になっている場合などは、人員増やシフトの再編などにより対応が可能かどうかを検証しておきましょう。40年ぶりの改正が現実のものとなった場合、その対応はかなりの負担となることが予想されます。その一方で、先述の通り「労働時間」や「休日」に関連する項目が多い=労働者の健康や休息時間の確保、働きやすさの向上が主眼とされていると考えられることから、自社の魅力を訴求し、採用や定着率の向上に繋げていくチャンスでもあります。早期に準備を進め、自社に最適な対応策を打ち出せるようにしていきましょう。<注釈>「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために(東京労働局)https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyoroudoukyoku/jikanka/jigyougairoudou.pdf提供:税経システム研究所
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関連項目 経営レポート,人事労務管理 -
2026/01/30 経営レポート
昨今の経済情勢を背景に地域企業経営はどう対処するのか
【サマリー】研究開発支援のGo-Tech補助金をご紹介します。歴史が長くメリットも大きい反面、申請が難解で採択率が50%という補助金です。申請にあたっての必要情報が開示されていないので動いて問い合わせを重ね、指導を受けながらかなりの工数を割いて申請書を作成することになります。その申請初動や審査のポイントなどをご紹介します。助成金補助金の請負業者が以前に比べてたくさん登場しています。経産省、中企庁の補助金の中には請負業者に外注することが難しいものがあります。その代表的なものがGO-TECH補助金です。現在筆者が旧来からのクライアントの依頼でGO-TECHの申請を代行している状況をふまえて、GO-TECH補助金と申請についてご紹介します。(1)GO-TECH補助金の特徴(メリットと注意点)GO-TECHとは:中小企業が、大学・公設試験研究機関等と連携して行うものづくり基盤技術の高度化につながる研究開発やその事業化にかかる費用を補助する経済産業省の事業です。研究開発にかかる費用(一方的キャッシュアウト)を補助してくれる補助金額が大きい人件費も補助対象2~3年に渡るプロジェクト開発最終段階の技術課題にのみ対応外部機関(大学や想定顧客など)との連携(共同体)で申請申請に関する情報がわかりにくく調べにくい(筆者作成)上記は研究開発や新事業に適応する補助金で、3つ全部を申請できます。採択が決まったらどれか1つを選んで他は辞退することになります。対象技術分野は、「特定ものづくり基盤技術12分野」として指定されています。デザイン、情報処理、精密加工、製造環境、接合・実装、立体造形、表面処理、機械制御、複合・新機能材料、材料製造プロセス、バイオ、測定計測の12分野ですが、実際の申請にあたっては12分野にシンプルに当てはまらない場合でも申請可能です。中小企業者の付加価値額及び給与支給総額等の向上、最低賃金保証に関する目標値の設定が必要です。採択後も、技術ノウハウ(機密事項)の公表の義務はありません。(2)GO-TECH補助金における共同体とは(中小機構の資料もとに筆者作成)自社単独では申請できない。大学等研究機関と指定の「事業管理機関」と共同体を形成して申請する形事業管理機関は経産省に指定されている。本補助金は歴史が15年ほどになるが、GO-TECHの前身制度では、事業管理機関が申請までの計画作成等と申請実務を請け負っていたが、関西では中小機構が計画作成等を指導し、事業支援機関は申請のみを行う分業化になっている。地域で異なっているため該当地区の経産局担当部署にどこに相談に行けばよいか問い合わせることが必要です。以前は、アドバイザーとして製品が完成したら購買しますと意思表示している企業団体が参画することが必要だったが、GO-TECHでは条件から外されている。(3)申請書の概要と審査について審査は自社事業や技術の専門家が当たるわけではないため、論理整合を見られます。「これ」(技術や機能)があれば○○の業界が購買します。なぜなら□□だからです。→なるほど!というところが結論になっている必要があります。また業界の専門用語を使わず申請書を作成しなければなりません。「わかっている人が見る」のではなく「わからない人が見る」前提がないと、簡単に不採択になります。図表を多用し、文章主体の申請書にしないように気を付けます。特に技術内容は図表を使って見せるようにします。論文調に技術内容を文書で記述すると審査員が理解できないリスクがあるからです。25年度の全国採択率は49%です。3年平均で52%となっており、半数は不採択になる補助金です。門外漢(高卒の新入社員)が読んでも、80%は理解でき、なおかつ該当分野の世界的権威が読んでも素晴らしいと思うようにと意識して書く必要があります。ライティング能力を問われるということです。(4)申請スケジュール(令和7年度参照)GO-TECHを調べて一番困るのはいつ申請すればよいのかオープンにされていないことです。スケジュールは公募開始と提出期限のみ決まっています。(5)まとめGO-TECH補助金申請にあたって申請書を作成するのであれば、新事業進出促進補助金、ものづくり補助金もほぼ同じ内容で申請できるので、すべて申請することをお薦めします。どの地域の企業でも申請の相談に乗ってくれて計画策定の指導をしてくる機関はありますので、まずは最寄りの経産局にお電話していただいて「GO-TECHを申請したのだがどうすればよいか教えてほしい」とお尋ねください。親切に連絡先を教えてくれます。ただし、共同体が形成できる状況が整っていないとGO-TECH補助金は申請できませんのでご注意ください。自社だけでクローズに研究開発されている場合は、相談先機関から大学や研究機関を紹介していただける可能性がありますが、自社だけで単独申請はできません。1億円から3億円程度の高額な補助金で、人件費も補助対象で、補助率も2/3と高いので新事業、新製品開発の製品化フェーズではチャレンジの価値があります。提供:税経システム研究所
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2026/01/29 経営レポート
中小企業のM&Aと企業価値評価(第21回)
【サマリー】前回まで中小企業におけるM&Aと企業価値評価の実務について解説しました。本稿より今までの投稿のまとめとして、最近の中小企業のM&Aについての国(中小企業庁)の働きかけ、具体的には中小企業のM&Aガイドラインについて解説していきます。1.中小企業庁が公表している中小企業のM&Aガイドラインについて中小企業庁は、近年の中小企業のM&Aに対する関心の高まりや事業承継のツールとしてのM&Aに対する留意点の啓蒙を目的として、2015年3月にM&Aの手続きや手続毎の利用者の役割・留意点、トラブル発生時の対応等を記載した「事業引継ぎガイドライン」を策定しました。その後、2020年3月には、後継者不在の中小企業のM&Aを通じた第三者への事業の引継ぎを促進するために、同ガイドラインを全面改訂した「中小M&Aガイドライン-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「初版」という。)を策定しました。初版の趣旨は以下のとおりです。「M&A業者の数は年々増加しているが、中小企業にとって適切なM&A支援の判別が困難でありM&Aを躊躇する原因の1つとなっているため、中小M&Aガイドラインにより、M&Aの基本的な事項や手数料の目安を示すとともに、M&A業者等に対して適切なM&Aのための行動指針を提示した」続いて2023年9月に初版を改訂し、「中小M&Aガイドライン(第2版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「第2版」という。)を策定しました。第2版の趣旨は以下のとおりです。「初版策定から約3年が経過し中小M&Aに関する行政・民間の取組にも一定の進展がみられ中小企業のM&Aは定着してきたが、仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)に関して、契約のわかりにくさや担当者による支援の質のばらつき、手数料体系のわかりにくさ(最低手数料の適用)等の課題が見受けられるようになったため、当該課題に対応するため、第2版においては、特にM&A専門業者向けの基本事項を拡充するとともに、中小企業向けの手引きとして仲介者・FAへの依頼における留意点等を拡充した」近年では2024年8月に第2版を改訂し、「中小M&Aガイドライン(第3版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「第3版」という。)を策定しました。第3版の趣旨は以下のとおりです。「M&A支援機関の支援の質を確保する観点から、仲介業者・FAが実施する営業・広告に係る規律や仲介業者において禁止されている利益相反取引の具体化、当事者間におけるトラブルに発展するリスクやその対応策について解説した」以上、中小企業庁がここ5年で矢継ぎ早にガイドライン及びその改訂版を公表したことは、中小企業のM&Aに対する社会の関心が高まっている一方で、高度な知識や倫理観、十分な経験を有していない仲介業者の増加に対する危機感の表れと見てよいでしょう。このような仲介業者を排除しないと中小企業の社長のM&Aに対する不信感、ひいては日本の中小企業の円滑な事業承継の停滞につながることになりますので、中小企業庁の一連のガイドラインの公表と改訂は評価に値するものと考えます。2.中小M&Aガイドライン(第3版)の解説上記の通り第3版ではM&A支援機関の支援の質を確保する観点からの記述となっておりますが、中小企業の社長向けの留意事項も述べております。本稿では「M&Aに向けた事前準備」を解説します。①支援機関への相談支援機関への相談について、ガイドラインは以下のようにアドバイスします。「譲り渡し側経営者(以下、売り手サイドの社長)が中小M&Aの意思決定を行うに当たっては、様々なポイントを検討することになる。しかしながら、売り手サイドの社長が単独で検討していても日々の業務への対処等が優先してしまい、なかなか検討が進まないことが多い。また、専門的な知見を有しない中で検討を続けることで誤った判断を行うおそれもある。そのため、売り手サイドの社長がまず行うべきことは、身近な支援機関への相談である。具体的には、商工団体、士業等専門家(公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士等)、金融機関、M&A専門業者のほか、事業承継・引継ぎ支援センターといった公的機関があり、まずはこういった支援機関に相談することが望まれる。実際には、まず顧問の士業等専門家(特に顧問税理士)に相談することも多いと思われるが、自身が相談しやすいと考えられれば、所属する商工団体、取引金融機関等に相談してもよい。公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターや、政府系金融機関である日本政策金融公庫でも相談を受けている。その際には、まず、直近3年分の税務申告書・決算書(損益計算書・貸借対照表を含む。)・勘定科目内訳明細書の写しを用意すれば十分である。可能であれば会社案内や自社ホームページの写し等といった売り手サイドの事業の概要が分かる資料も用意できるとよい。これら以外の詳細な資料は、支援機関からの指示を受けてから準備すれば足りる。中小M&Aの意思決定がまだ済んでいないから相談を控えるのではなく、むしろ、意思決定がまだ済んでいないからこそ相談することが必要である。なお、支援機関への相談の際には、自分にとってマイナスな情報や後ろめたい情報ほど先に伝えておく真摯な姿勢が望まれる。これにより支援機関も課題への対応策や解決方法等を早期に検討しやすくなり、円滑な中小M&Aに資することになる。」売り手サイドの社長は、周辺から見ると意外と孤独な環境に身を置いています。そのため、事業承継等の重要な意思決定事項については身近に相談相手がいないのが現状と思われます。ガイドラインでは社長の意思決定が未了の段階での、専門家への相談を勧めておりますが筆者も同感です。②後継者不在であることの確認後継者不在であることについて、ガイドラインは以下のようにアドバイスします。「売り手サイドの社長は、親族内・社内に後継者候補がいないこと(つまり後継者が不在であること)を確認しておく必要がある。具体的には、親族内承継を実施しないことにつき身近な親族(特に子や兄弟)から了解を得ておくこと、社内に後継者候補がいないこと(従業員承継が不可であること)を確認しておくことが必要である」売り手サイドの社長の子供に事業を円滑に継承できれば、売り手サイドの社長は恵まれた環境にいることになります。しかし、現実ではスムースに事は運びません。売り手サイドの社長に後継者が不在の場合、身近な親族(売り手サイドの社長の兄弟やその周辺)や会社の従業員に早めに相談することが望ましいと考えます。③引退後のビジョンや希望条件の検討引退後のビジョンや希望条件の検討について、ガイドラインは以下のようにアドバイスします。「売り手サイドの社長は、引退後のビジョンを含む希望条件を事前によく考えておく必要がある。例えば、当面は売り手サイド側もしくは買い手サイド側の事業に関わり続けたいのか、別の事業に進出したいのか、それとも社会貢献活動や余暇を楽しむといった全く別のことを行いたいのか等、引退後にどのような過ごし方を選択するかといった点は、本人のその後の人生にとって重要な要素である。また、希望条件についても、代金(譲渡対価)の金額や従業員の雇用継続は売り手サイドの社長として懸念することの多い重要な要素の1つではあるが、希望条件として検討すべき要素はこれに限定されるものではない。売り手サイドの社長は、中小M&Aにおける希望条件を明確化し、可能な限りで優先順位を付しておくことが望ましい。中小M&Aは相手があることであり、売り手サイドの希望が確実に受け入れられるわけではないが、そのような場合に譲歩できない点を固めておくことは、買い手サイドとどのような点を交渉すべきかを明確化することになり、円滑な交渉の実現にも資するものである。」売り手サイドの社長は引退後に何をしたいのかを明確化して、買い手サイドとの交渉に臨むべきと考えます。苦労して築き上げた事業をM&Aにより他社へ譲渡することは、感情的に複雑なことであることは筆者も理解できます。しかし、売り手サイドの社長の残りの人生に加えて既存の従業員の今後の処遇などを考えると、引退後のビジョンや希望条件については早めに自分なりの結論を出しておくのが望ましいと考えます。④中小M&Aに先立つ株式・事業用資産等の整理・集約中小M&Aに先立つ株式・事業用資産等の整理・集約について、ガイドラインは以下のようにアドバイスします。「中小M&Aに先立つ株式・事業用資産等の整理・集約は一般的に、事業承継においては、経営状況・経営課題等の現状把握と、事業承継に向けた経営改善等が必要とされる。中小M&Aの実行のためには、その中でも最低限、株式・事業用資産等の整理・集約が必要である。まず重要なことはまず支援機関に相談することである。売り手サイドの社長だけでは株式・事業用資産等の整理・集約が困難な場合もあるため、顧問税理士等の身近な支援機関に相談することが望ましい。なお、株式や事業用資産等の整理・集約については、法的な論点等についての検討や交渉を要することもあるので、この場合には法務の専門家である弁護士の助言を得ることが望まれる。◆株式の整理・集約普段は意識する機会が少ないものの、会社にとって株式は非常に重要なものである。仮に、株式が分散していたり、一部株主の所在が不明であったりする場合、中小M&Aを実行する際に重大な障害となるおそれもある。基本的に、総議決権の過半数の株式があれば株主総会決議は確実に可決することができるが、特に重要な事項(例えば、全事業の譲渡)については特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要な決議)が必要となることがあるため、これを確実に可決できるように総議決権の3分の2以上の株式を保有しておくことが望ましい。仮に売り手サイドの社長が買い手サイド側に対して会社の全株式を譲渡する場合(株式譲渡)には、基本的に、売り手サイドの社長が全株式を保有しておく必要がある。そのためには、他の株主からの株式の買取り(及びそのための買取り資金の調達)が必要なケースもある。また、株主名簿が正しく整備されているか、実際に出資していない親族・知人等の名義になっている株式(いわゆる名義株)がないか、(株券発行会社の場合)株券が適切に管理されているかといった点も確認が必要である。◆事業用資産等の整理・集約重要な事業用資産等(不動産や機械設備等)について、第三者の名義である、担保が設定されている、遺産分割の対象として争われている、第三者との間で係争中の物件である等の状況の場合、譲り渡し後の事業継続に支障が生じ得るため、これらについても確認が必要である。また、中小M&Aにおいては、家族経営の企業が多いことから、売り手サイドの会社財産と売り手サイドの社長個人の財産が明確に分離されていないケースも多い。そのようなケースでは、譲渡する事業用資産等を譲り受け側にスムースに譲り渡せないこともあるため、この点も明確に区別して整理・集約しておく必要がある。」売り手サイドの社長は、M&Aの実行に当たって株式の整理・集約と事業用資産等の整理・集約が必要となります。株式の保有状況が分散化している場合、M&Aの意思決定に際して障壁となるケースを筆者は見てきました。従って、売り手サイドの社長はM&Aの意思決定の前に株主の状況を把握して、必要であれば少数株主の株式を買い取って総議決権の3分の2以上の株式を確保する必要があります。また事業用資産等の整理・集約については当該資産の所有権(会社なのか社長なのか)や処分に対する制限条項などを整理する必要性を説明しております。事業用資産等は買い手サイド側にとって今後のキャッシュ生成の源泉なので、ネガティブな情報があれば、それらを誠実に買い手サイド側に伝えることが重要と考えます。提供:税経システム研究所
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2026/01/29 経営レポート
戦略的医療機関経営 その168
【サマリー】本レポート執筆現在(2025年12月)、来年度の診療報酬改定に向けての議論が佳境を迎えている。次回のレポート執筆するころには改定の内容が明らかになっているだろう。このタイミングで前回までのレポート内容だと、若干タイムラグが起きる懸念があるため、今回のレポートは、現在の医療機関が置かれている状況をまとめた。この内容は厚生労働省の資料をまとめたものであるため、今回の改定の前提条件として認識されているものである。1.2023年度・2024年度病院類型別の経営状況/収支構造の比較上記表は、一般病院、療養型病院、精神科病院の2023年度と2024年度の経営状況を比較したものです。一般病院は最も多い形の病院で我々が受診する可能性が高い病院の形式です。療養型病院は、特に(合併症や併存症などがある)高齢者など長期の入院期間が予想される患者や最期を迎えるために入院する形式の病院です。最後の精神科病院は、精神科の患者が入院する病院です。最初に注目していただきたいのは、医業収益です。一般病院は2023年度に比べ、2024年度の医業収益は増加しています。しかし、療養型病院と精神科病院では、いずれも減少しているのが分かります。2023年5月に新型コロナウイルスが2類感染症から5類感染症に移行しました。したがって、コロナ感染症のパンデミックも終息し始めた2023年度であり、コロナ後の2024年度といった見方ができると考えられますが、当研究会でも再三ご報告していますが、コロナ後とはいえ、コロナ前のように患者が医療機関に戻ってこないという状況です。そのような状況の中でも一般病院は何とか収益を伸ばし、療養型病院と精神科病院はコロナ前のような収益に至らなかったと言えます。一方で、費用を確認すると、いずれの形式の病院でも、材料費と給与費が増加しています。医療機関の性質上、この二つの費用科目で、60%から75%程度占めてしまいますので、非常に影響の大きい科目の費用が増加していたことになります。さらに材料費と給与費は2025年度に入ってからも(収益以上に)上昇し続けているのは、下グラフの通りです。一般病院は、2023年度に比べて、2024年度は、1.8%伸びましたが、医業費用は収益の伸びを上回る2.1%のびました。中でも、前述した材料費と給与費の伸びの影響が大きいです。機能別にみても、回復期を除き、すべての分類でマイナスとなっています。特に急性期機能については、経常利益率でも平均値がマイナスとなっているのが分かります。医業利益率の平均値は回復期を除き全ての機能でマイナスとなっており、特に高度急性期・急性期B・精神・慢性期においては△5~0%が最頻階級となっています。■急性期機能の収支構造他の機能と比較して、急性期機能が高いほど相対的に入院診療収益比率が高く、材料費比率が高い傾向にあります。この理由は急性期機能が高いほど、重症度の高い救急患者が集まります。さらに急性期疾患の中でも手術を行う患者が多く、どちらも医療材料をたくさん使用します。■地域分類別経営状況いわゆる大都市と地方都市にある医療機関の経営状況を見てみると、下グラフのようになります。2024年度の病院の利益率については、いずれの地域でも医業利益率は平均値・中央値ともにマイナスとなっています。特に人口少数地域型は62.1%と医業利益の赤字割合が大きいですが、大都市型や地方都市型においても医業利益の赤字割合は過半数を超えており、地域に限らず経営状況が厳しいことがうかがえます。しかし、人口少数地域型の地域の病院の利益率が低く、赤字割合も大きいとの報告もあり、そもそも患者である地域住民の人口を考えると、やはり大都市に比べて、地方都市の医療機関のほうが経営的な環境は厳しいと考えられます。今後(現在でも)特に地方都市の医療機関の規模縮小、合併、廃止などが進むと思われます。■病院のみ経営の医療法人における現預金回転期間病院のみ経営の医療法人において、現預金回転期間が2023年度から2024年度にかけて平均値・中央値ともに低下し、平均値は3.6か月・中央値は2.5か月となっています。特に0.0~1.0か月、1.0~2.0か月の法人が増加しており、資金繰りが悪化している可能性がうかがえます。■2024年度の医科診療所の経営状況医業利益率、経常利益率について、いずれの区分でも平均値・中央値ともにプラスです。また入院収益ありの診療所は医科診療所全体、入院収益なしの診療所と比較して利益率が相対的に低い傾向にあります。医業利益が赤字の診療所の割合を見ると、医科診療所全体と入院収益なしの診療所は約40%、入院収益ありの診療所は約50%が赤字です。診療所は相対的に病院より、黒字である傾向が高いことが分かります。これらのデータを用いて財務省は診療報酬改定において、診療所領域の診療点数を引き下げて、病院領域の診療点数を引き上げるという発言に繋がります。診療所においても入院ベッドを有している有床診療所は、無床診療所に比べて赤字になる確率が高いです。やはり、入院患者を受け入れるための費用の負担が重いと考えられます。実際に全国の有床診療所は現在減少を続けています。有床診療所は特に地方においては、非常に重要なポジションにある医療機能です。特に地方都市の病院が減少している現在、ますますその機能は重要になるのですが、地方の有床診療所の減少によって助かる命が助からないなどとならないように願うばかりです。■2024年度の医科診療所の経営状況/診療科分類別おおむねどの診療科でも、令和5年度以降の受診延日数の水準は高く、一方で1日当たり医療費の伸びはマイナスとなっています。2.まとめ病院の2024年度の医業利益率は、平均値△1.1%、中央値△1.2%といずれもマイナスとなっており、医業利益の赤字割合は58.9%と過半数を超えています。機能別の2024年度の医業利益率(平均値)では、急性期に分類される病院が他の分類と比較して低い傾向にあり、高度急性期は△1.0%、急性期Aは△2.4%、急性期Bは△2.3%となっています。地域分類別の2024年度の医業利益について、特に人口少数地域型の赤字割合が62.1%と高いものの、大都市型は56.3%、地方都市型は59.3%といずれも赤字割合が過半数を超えており、地域に限らず病院の経営状況が厳しいことがうかがえますが、今後のことを考えるとやはり都市部より地方部のほうが経営環境は一層厳しいと思われます。2023年度と2024年度両年度のデータがある病院について、病院類型別では全ての類型で、機能大分類別では回復期以外で、地域分類別では全ての地域分類で、医業利益の赤字割合が上昇しています。また、2023年度と2024年度両年度のデータがある病院のみ経営する医療法人において、現預金回転期間が中央値・平均値ともに低下しています。特に、0.0~1.0か月・1.0~2.0か月の法人が増加しており、資金繰りが悪化している可能性がうかがえます。診療所においては、2024年度の医業利益率、経常利益率について、全体、入院収益ありの診療所、入院収益なしの診療所いずれも平均値・中央値ともにプラスである。一方で入院収益ありの診療所は他の診療所と比較して利益率が相対的に低く、約半数で医業利益が赤字です。2カ年でデータがある診療所に絞って経年で見ると、全体、入院収益ありの診療所、入院収益なしの診療所いずれも医業利益率、経常利益率の平均値・中央値ともに2023年度から2024年度にかけて低下しており、医業利益が赤字の診療所の割合も拡大しています。その要因として、2023年度から2024年度にかけて医業収益が減少する一方で、医業費用は増加していることが見て取れます。診療科別に見ると、多くの診療科で2023年度から2024年度にかけて利益率が低下しており、医業利益が赤字の診療所の割合も拡大しています。その要因として、医業収益が減少し、医業費用が増加している場合や医業収益・医業費用ともに増加しているが、医業費用の増加の方が上回っている場合等が存在します。地域分類別に見ると、いずれの地域分類においても2024年度の医業利益率・経常利益率は平均値・中央値ともにプラスです。2カ年でデータがある診療所に絞って経年で見ると、いずれの地域分類の医科診療所においても医業利益率・経常利益率の平均値・中央値が、2023年度から2024年度にかけて低下しており、医業利益が赤字の診療所の割合も拡大しています。その要因として、2023年度から2024年度にかけて医業収益が減少する一方で、医業費用は増加していることが見て取れます。本レポートの出典は、中医協に提出された資料に基づいています。したがって、厚生労働省は現在の医療機関の経営状況について、本レポートのような状況であると認識しているということになります。この認識を踏まえての来年度の診療報酬改定ということになります。次回レポート執筆時に診療報酬改定の内容も明らかになっていると思われます。提供:税経システム研究所
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2026/01/26 審査事例
賃借人に負担させた商業ビルの共用部分の共同管理費。ビル所有者は「経済的な利益」を受けたとして課税売上げに、しかし仕入税額控除は適用できない事態に陥る(棄却)
【裁決のポイント】課税資産の譲渡等の対価の額となる「金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益」(消費税法第28条第1項)とは、実質的に資産の譲渡等の対価を収受するのと同様の経済的効果をもたらすものをいう。自分が負うべき債務を、他人が肩代わりした場合、負担を免れるという経済的な利益を受けることになる。また、消費税法第30条第1項の課税仕入れに係る支払対価に該当するためには、単にその地位に基づいて支払義務が発生する性質のものでなく、資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に対する反対給付として支払われたものであることが必要である。審査請求人は商業ビルの共同所有者で、所有する専有部分をA社へ賃貸した。ビル所有者は全員で管理組合を構成し、管理規約で、共用部分のための共同管理費は所有者に支払義務があると定められているが、審査請求人はA社との賃貸借契約で、A社が賃借する専有部分に係る共同管理費はA社が負担し、管理組合へ直接支払うこととしていた。その後、管理規約が変更され、専有部分と一体利用される共用部分の共同管理費については賃借人の負担となり、管理組合とA社は覚書を作成するが、税務署は、審査請求人の支払義務は消滅していないから経済的な利益がある(課税取引)、当該共同管理費は管理組合の役務の対価と無関係だから課税仕入れに該当しない(不課税取引)とする処分を行った。国税不服審判所は、覚書は管理組合とA社の間で作成されたもので、管理規約の変更後も審査請求人の支払義務が消滅したとは認められない、管理組合の納税義務を否定すべき事情もないところ、管理組合へ支払う共同管理費は坪単価×専有部分面積で算定され、所有者の地位に基づくもので、警備等の役務の対価と関係ないと判断した事例である。(平26.3.1~平30.2.28の各課税期間の消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・令和3年7月8日裁決(非公開))【主な争点】(争点1)本件各金員は、審査請求人の「課税資産の譲渡等の対価の額(経済的な利益の額)」に該当するか、(争点2)本件共同管理費は、審査請求人の「課税仕入れに係る支払対価の額」)に該当するか。【裁決の要旨】(争点1)本件管理規約や本件覚書の内容はもとより、本件建物の区分所有関係を前提とした本件共同管理費の実質的な負担関係に照らしても、本件管理規約の変更に伴って審査請求人の区分所有者としての本件共同管理費の支払義務が消滅・移転したとは認められない。したがって、審査請求人は、本件管理規約の変更後も区分所有者としての本件共同管理費の支払義務を負うことから、実質的にその負担を免れるという経済的利益を受けることとなる。そして、当該経済的利益は、資産の貸付けの対価に該当する。よって、A社が本件共同管理費を負担したものである本件各金員は、審査請求人の「課税資産の譲渡等の対価の額(経済的な利益の額)」であると認められる。(争点2)共同管理費の算定方法をみると、本件建物の各区分所有者が負担する共同管理費の額は、本件管理組合の全体集会において定められた本件坪単価にその区分所有する専有部分の面積を乗じて算定されており、本件管理組合から実際に受けた役務の提供の回数や時間等に基づいて算定されているわけではない。これに加えて、共同管理費の使途をみても、共同管理費は様々な管理業務のために使用されているものの、本件管理組合の個々の管理業務との対応は明らかでない。本件共同管理費は、一般的な共用部分の管理費と同様に、審査請求人が本件管理組合の具体的な管理業務からどの程度受益したかということとは無関係に、単に区分所有者たる地位に基づいて支払義務が発生する性質のものにとどまるというべきであり、本件管理組合の管理業務という具体的な役務の提供の対価として収受された関係にあるとは認められないから、「課税仕入れに係る支払対価の額」には該当しない。【参照条文】消費税法第2条《定義》、第4条《課税の対象》、第6条《非課税》、第28条《課税標準》、第30条《仕入れに係る消費税額の控除》建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/01/23 商事法レポート
マンションの管理・再生の円滑化等のための区分所有法改正の概要
1.はじめにマンションの大きな問題は、「2つの老い」です。1つはマンションの老い、もう1つはその居住者の老いです(注1)。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によれば、国民の1割超が居住していると推計されています(注2)。2024年時点で、築40年以上のマンションは148万戸あり(注3)、今後増えてゆくことは確実です。これが「マンションの老い」です。また、世帯主が70歳以上のマンション住戸の割合は25.9%である一方、若手(30歳以下)の世帯主比率は下がっています(「居住者の老い」)(注4)。これに伴い、マンションの外壁剥落等の危険性が高まることや、マンション管理組合の役員の担い手不足や集会の決議を得ることが困難になるといった課題が深刻化しています。そこで、2025(令和7)年5月23日に、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)が成立しました(同月30日公布。以下「改正法」といいます)(注5)。この法律は、法務省が所管する、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」や「改正区分所有法」といいます)等を一括して改正するものです。本稿では、区分所有法を取り扱います。2.区分所有法の概要ここではまず、区分所有法とはどのような法律であるか、その概要を説明しておきます。(1)区分所有権とは一個の物の全体を何人かで共同で所有することを、共有といいます。各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるため(民法249条1項)、例えば、一台の自動車をAとBが共有した場合に、AもBも自動車の全体をそれぞれの権利の割合(持分)に応じて使用できます。これに対して、一個の物の一部分だけを所有することを、区分所有といいます。上の例を当てはめると一台の自動車の前半分をAが、後半分をBが所有し、A・Bは自分の所有部分しか権利をもたない所有形態です。しかし、Aは車の前半分しか権利行使できないのでは自動車として用をなしませんし、A・B以外の第三者には権利者がどの部分の権利をもつのかわかりません。そこで、民法では所有の一形態として、共有は認めるものの、区分所有は原則として認めません。そこで特別の法規制(民法の特別法)として、区分所有法が制定されています。区分所有法は、分譲マンション等に適用されます。(2)区分所有建物マンションのように、一棟の建物を構造上数個の部分(◯号室、△号室、等)に区分し、各部分を独立して住居・店舗・事務所等として利用することができます。このような各部分には、独立した所有権(区分所有権)が成立し、区分所有権が成立する建物は区分所有建物といわれます(注6)。区分所有建物は、専有部分と共用部分に分けられます。区分所有者は、自分の専有部分に対する個人所有者としての権利と、共用部分に対する共有者としての権利の双方をもつことになります。(一)専有部分とは、区分所有権の目的となる建物の部分です(区分所有法2条3項)。区分所有者は、原則として自分の専有部分を自由に使用・収益・処分できます。ただし、1棟の建物の一部分にすぎませんから、他の区分所有者を害する権利行使に対してはさまざまな規制があります。(二)共用部分とは、専有部分以外の建物部分(廊下・階段・建物の玄関・外壁・貯水槽・エレベーター室等)と、専有部分に属しない建物付属物(ガス・水道管、電気配線等)、区分所有者の全員または一部の者の共用に供される部分(建物内の一室を集会室とした場合や共用の物置場・車庫)等です(区分所有法2条4項)。共用部分は原則として共有者全員の共有となります(区分所有法11条1項本文)。共有者のもつ権利の割合(持分)は、各共有者の専有部分の床面積の割合で決定されます(同法14条1項)。雨漏りの修理等、共用部分を保存(現状維持)するために必要な行為は、各共有者が単独で行うことができます(同法18条1項ただし書)。これに対し、集会室をどう使うかといった利用の方法の決定や、外壁の塗装といった簡単な改良行為のような共用部分の管理行為は、規約に別段の規定がない限り、区分所有者の集会の決議が必要になります。共用部分の維持・管理に必要な費用は、各区分所有者がその専有部分の面積に応じて負担し、また、共用部分から生じる利益(賃貸駐車場による収益金等)は各区分所有者がその専有部分の面積に応じて分配を受けます。ただし、この負担・分配については規約で別の方法を決めることもできます(区分所有法19条)。(3)敷地利用権区分所有者は、専有部分を所有するために建物の敷地に関する権利(敷地利用権)を有します(区分所有法2条6項)。建物の敷地とは、建物所在地(これを法定敷地といいます)と、建物所在地と一体として管理・使用される土地(庭、通路、駐車場等)で、規約によって建物の敷地とされたものを指します(区分所有法5条1項)。建物を所有するためにはその建物の敷地を使用する権利が必要です。そのため、区分所有者は、規約に別の定めがない限り、専有部分と専有部分についての敷地利用権とを分離して処分することはできません(同法22条1項)。(4)管理組合区分所有建物には、(2)・(3)で述べた共用部分と敷地利用権があり、区分所有者がそれらを共同で管理するほか、専用部分も隣接しているため、それを利用するには区分所有者相互の調整を行うための管理のルールが必要になります。そこで、区分所有者は、全員で、建物、その敷地および附属施設の管理を行う団体(管理組合)を構成します。区分所有者となった者は、自動的にこの団体(管理組合)の構成員となります。団体(管理組合)は、区分所有法の規定に従い、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができます(区分所有法3条前段)。区分所有者は集会の決議によって管理者を選任し(同法25条1項)、共用部分等の保存、集会の決議の実行、規約で定めた行為を行わせることができます(同法26条1項)。また、管理組合は、集会における4分の3以上の賛成決議を行い、その主たる事務所の所在地で登記することによって法人となることができます(同法47条1項。管理組合法人)。3.マンションの管理と区分所有法の改正マンションの老いに対応するには、外壁の修繕等の管理を適切に行うことが必要です。そのために、改正法は、管理を円滑に行うことができるように、区分所有法についてさまざまな改正を行っています。ここでは、マンションの管理に絞って3つの改正事項を取り上げます。(1)集会における決議の円滑化まず、集会の決議に関する改正です。(一)欠席者を除く出席者の多数決建物の管理に関する重要事項(規約の設定・変更、管理者の選任、共用部分や敷地の管理・変更など)は、原則として区分所有者の集会によって定められます。集会の招集は原則として管理者が行ない(区分所有法34条1項)。管理者は少なくとも年に一回は集会(通常集会)を招集しなければなりません(同条2項)。区分所有者は一定の場合に臨時集会の招集を請求することができます(同条3項)。マンションに居住する区分所有者の中には、決議に参加しない無関心な者も多く見受けられます。そこで改正法は、建替決議等の区分所有権の処分に伴う決議を除いて、出席者の多数決に基づくものとします。すなわち、集会の議事は、区分所有法または規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各過半数で決することになります(改正区分所有法38条の2)。(二)所在等不明区分所有者の除外所在等不明区分所有者とは、その者を知ることができずまたはその所在を知ることができない区分所有者、つまり必要な調査を尽くしても氏名等や所在が不明な区分所有者のことです(改正区分所有法38条の2第1項)(注7)。所在等不明区分所有者がいると区分所有者による決議を円滑に行うことができません。そこで、所在等不明区分所有者以外の区分所有者(一般区分所有者)または管理者が、裁判所に対して、一般区分所有者の請求により集会の決議を行うことができる旨の制度を設けます(同条1項)。これが裁判所で認められれば、所在等不明区分所有者を決議の定足数から除外できます。これらの改正によれば、出席者の多数決によって集会の決議を行うことができるようになります。(2)共用部分に係る損害賠償請求権等の行使の円滑化2(4)で述べたように、区分所有法は、集会によって管理者を置き、共用部分等の保存、集会の決議の実行等を行うことができます。もっとも、現行法では、管理者が、区分所有者を代理して共用部分について損害賠償請求権等を行使する場合に、区分所有権が転売されたときの取扱いが明確ではなく、訴訟追行を認めない例があることが問題となっています(注8)。すなわち、マンションの分譲業者が、瑕疵のあるマンションを販売した場合に、一部でも区分所有権の転売があったマンションでは、管理者が一括して損害賠償請求を行うことができないとされています。しかし、マンションの管理を適切に行うという観点からすれば、管理者は、元区分所有者も含めて、一括して損害賠償請求できるのが便宜です。そこで、管理者は、その職務(損害保険契約に基づく保険金、共用部分等について生じた損害賠償金および不当利得による返還金の請求及び受領を含む)に関し、区分所有者を代理すると規定を明確化しました(改正区分所有法26条2項)。この改正により、損害賠償請求をすることが認められ、受け取った損害金は、各々が修繕以外の用途に使用することもできると解されています。(3)共有部分の変更決議の多数決要件の緩和共有部分の変更について、共有部分の形状や効用の著しい変更がある場合には、原則として、集会において、区分所有者((1)で述べたように議決権を有しないものを除く)の過半数のものであって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有権者およびその議決権の各4分の3以上の多数による決議で決することになります(改正区分所有法17条1項)。もっとも、①共用部分の設置・保存の瑕疵により権利侵害のおそれがある場合や、②バリアフリー化の場合には、工事を行う必要性があります(注9)が、集会の多数決要件が高いため、工事を迅速に行うことができないという問題があります。そこで改正法は、高齢者、障害者等の移動若しくは施設の利用にかかる身体の負担を軽減することにより、その移動上若しくは施設の利用上の利便性および安全性を向上させるために必要となる共用部分の変更について、多数決要件を、3分の2に引き下げています(改正区分所有法17条5項)(注10)。1で述べたように、マンションの居住者の高齢化が進展していることを考えれば必要な改正ということができます。4.改正法の施行日本稿では、改正区分所有法のうちマンションの管理に関連する改正点を取り上げました。改正区分所有法は、2026(令和8)年4月1日から施行されます。マンションの老朽化対策は待ったなしであり、改正法が施行される前から計画を立てておくことが望まれます。本稿の記述がその一助になれば幸いです。<注釈>国土交通省住宅局=法務省民事局「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法(令和7年7月)」4頁(https://www.moj.go.jp/content/001443230.pdf[最終アクセス2025年11月29日])。2024(令和6)年末時点現在のマンションストック総数は約704.3万戸、これに2020(令和2)年国勢調査による1世帯当たり平均人員2.2人をかけると、約1,600万人となり、それによる算定(「分譲マンションストック数の推移(2024(令和6)年末現在)」(2025(令和7)年8月5日更新)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001903886.pdf)。「築40年以上の分譲マンション数の推移(2024(令和6)年末現在)」(2025(令和7)年8月5日更新)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001903887.pdf)。マンションの世帯主は、「60歳代」が27.8%と最も多く、5年前(前回調査平成30年)と比較すると、30歳以下は7.1%から6.2%へと減少する一方で、70歳以上は22.2%から25.9%へと増加しているとのことです(「令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕」22頁(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750161.pdf)、「令和5年度マンション総合調査結果〔データ編〕」360頁(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750165.pdf)。老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律は、区分所有法のほか、法務省の保管する被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43号)、国土交通省が所管する、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)やマンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)等を一括して改正するものです(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00375.html)。この改正法については、曽根圭竹「(商事法研究レポート:topics)区分所有法制の改正要綱案から見るマンション管理における課題」を参照。石田剛ほか『民法Ⅱ物権(第4版)』(有斐閣、2022年)187頁〔秋山靖浩〕。住民票等通常アクセスできる公簿上の住所等を調査しても所在が明らかでない場合、区分所有者が死亡しているが、調査をしてもその相続人の安否が不明である場合等がその具体例として挙げられます(国土交通省住宅局=法務省民事局・前掲(注1)11頁)。国土交通省住宅局=法務省民事局・前掲(注1)14頁。倒壊等のおそれのある立体駐車場を取り壊して平置きの駐車場とする場合や、階段しかない5階建てのマンションにエレベーターを設置すること等がその例として挙げられます(国土交通省住宅局=法務省民事局・前掲(注1)15頁)。改正区分所有法17条5項は、大要、次のように定めています。この場合の多数決要件を、3分の2に引き下げることとしています。すなわち、共有部分の設置もしくは保存に瑕疵があることによって他人の権利若しくは法律上保護される利益が侵害され、若しくは侵害されるおそれがある場合におけるその瑕疵の除去に関して必要となる共有部分の変更または高齢者、障害者等の移動若しくは施設の利用にかかる身体の負担を軽減することにより、その移動上若しくは施設の利用上の利便性および安全性を向上させるために必要となる共用部分の変更についての第1項および第3項の規定の適用については、これらの規定中「4分の3」とあるのは、「3分の2」とする。提供:税経システム研究所
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2026/01/23 経営レポート
デジタル時代の新しい「身分証明」
1.はじめにマイナンバーカードの普及により、私たちの「身元」を証明する手段のデジタル化は大きく進展している一方で、世の中で多くやり取りされているのは、卒業証明書や在籍証明、納税証明書といった、個人の「資格や属性」を証明する書類であり、これらのデジタル化こそが、社会全体の効率と安全性を引き上げる鍵となる。ここで、この課題を解決する技術として、今注目を集めているのが「VerifiableCredential(VC:検証可能な資格情報)」と「DigitalIdentityWallet(DIW:デジタルアイデンティティウォレット)」である。これらは、個人の資格や属性に関する情報を、デジタル署名によって「本物であること」を保証し、個人の管理下に置くことを可能にするものである。2025年10月23日にデジタル庁が開催した「属性証明の課題整理に関する有識者会議」(注1)の第1回会合では、このVCおよびDIWを活用したデジタル属性証明の社会実装に向けた課題と方向性が議論された。デジタル技術を用いて安全な属性証明の仕組みを構築することは、今後の社会基盤にとって極めて重要であることから、引き続き同会議ではVC・DIWという技術を用いて各種証明書の電子化・高度化を推進するために必要なガイドライン等の整備について、行政手続のデジタル完結やデータ利活用の将来像を踏まえた議論が行われる予定である。本稿では、VC・DIWについて、その詳細と、どのように使われるかを解説するとともに、この新しい社会インフラを築く上での課題や論点について触れていく。2.VerifiableCredential(VC)とDigitalIdentityWallet(DIW)1)VCとDIWとは何かデジタルで発行される証明書として、現在多くの機関でPDFが利用されているが、これには2つの大きな問題があるとされる。1つは、なりすましの危険性であり、PDFファイルは専門的な知識がなくても比較的簡単に編集できてしまうため、悪意のある第三者が内容を書き換えて偽造の証明書を作成し、ローン審査や銀行口座の開設に悪用するという「なりすまし」のリスクが存在する。これについては、デジタル署名を付与する対策も進められているが、広く普及しているとは言い難い状況にある。2つ目は、PDFはあくまで紙の見た目をデジタルで再現したものであり、証明書の規格が定まっているわけでないために、書かれている文字や数字をシステムがデータとして自動で読み取ることが困難な点である。このため、証明書を受け取った担当者は、内容をシステムに反映するためにPDFを見て内容を手入力することになり、業務効率化やAI活用の大きな妨げになっている。こうした偽造と非効率という問題を解決するために開発された仕組みが、VC・DIWという新しいアーキテクチャである。現実社会で例えると、VCは、財布の中に入っている免許証や保険証といった「個々の証明書」に、DIWは、それらの証明書をまとめて安全に保管しておくための財布にあたるが、これらについて詳しく見ていくことにする。・VerifiableCredential(VC)-検証可能な資格情報VCとは、「本物であることが保証されたデジタル証明書」のことであり、氏名や住所、資格情報といった属性情報を記載した、デジタル署名によって真正性と非改ざん性が確保された機械可読なデータ形式のことをさす。署名により、その情報がたしかにその組織から発行されたものであること(真正性)と、発行後に改ざんされていないこと(非改ざん性)が保証される。また、VCを発行する機関や組織のことをIssuer(発行者)と呼び、例えば、「卒業証明書VC」であれば大学が、「住民票の写しVC」であれば自治体がIssuerとなる。Issuerは、デジタル証明書の内容に対して責任を持つ、信頼の基点となる存在である。・DigitalIdentityWallet(DIW)-デジタルアイデンティティウォレットデジタルアイデンティティウォレット(DIW)は、発行されたVCを安全に保管し、管理するための「スマートフォンのアプリ」や「デジタル上の入れ物」のことを指している。物理的な財布に免許証や保険証を入れて持ち歩くように、DIWを使えば、住民票の写しVCや卒業証明書VCなどをスマートフォン上で一元管理し、必要な時に必要な相手にだけ、安全に提示することができる。この時、発行されたVCを自身のDIWで管理し、利用する「本人」のことを、Holder(保有者)と呼び、VCは、IssuerやDIW提供者ではなく、常にこのHolderの管理下に置かれる。また、Holderから提示されたVCが本物であるか、内容が正しいかを確認する相手のことをVerifier(検証者)と呼ぶ。就職活動のシナリオであれば、卒業見込証明書VCを受け取る採用企業がVerifierにあたる。Verifierは、VCに付与されたデジタル署名を検証することで、その証明書が改ざんされておらず、信頼できるIssuerから発行されたものであることを即座に確認できる。次にVCとDIWがどのように使われるのかを、「大学が発行する卒業見込証明書VCを、就職活動で企業に提出する」というシナリオを例に見ていくことにする。発行(VCの入手)まず、Holderである学生が、Issuerである大学のウェブサイトなどから「卒業証明書VC」の発行を申請する。大学側は、ID・パスワードや学生証ICカードを用いて申請者が本人であることを確認した上で、学生の卒業見込情報を記録したVCを作成し、大学のデジタル署名を付与して発行する。これにより、このVCが「確かにこの大学が発行した、改ざんされていない卒業見込証明書である」ことが保証される。保管(VCをウォレットに格納)発行された卒業見込証明書VCは、学生のスマートフォンにインストールされたDIWに安全に送信され、保管される。一度DIWに保管されれば、学生はいつでも自分の証明書を自身の管理下で確認・利用できるため、物理的な証明書のように紛失の心配は無い。提示(VCの提示)学生は就職活動で応募先の企業(Verifier)に、自身のDIWを通じて卒業見込証明書VCを提示する。これは、オンラインの応募フォームから提出することも、対面での面接時にQRコードなどを介して見せることも可能である。企業側は受け取ったVCのデジタル署名を検証することで、その証明書が本物であり、内容が正しいことを自動で確認できるため、採用プロセスの効率化と信頼性の向上が両立される。図1VC/DIWを用いた新型コロナワクチン接種証明書の運用(参考文献(注2)より引用)また、VCとDIWの技術を活用した身近な実例の一つに、多くの人が利用した「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」がある(図1)。ここでは、自治体がIssuerとして、利用者(Holder)に「この人はワクチンを接種済みです」というVCを発行し、そのVCをスマホの接種証明書アプリ(DIW)に保存していた。利用者は、海外渡航時やイベント会場で、VCをアプリ上でQRコードとして提示し、Verifierである航空会社やイベント開催者は、これを読み取ることで接種の事実を確認した。ここでのVCは、SMARTHealthCards等の国際規格を用いて発行されたため国内だけではなく海外での利用も可能であったが、VCのコピーが可能であったため、接種証明書単体では提示した本人がVCの所有者であることが確認できず、パスポート等の身元を証明する証明書との併用が必要であった。また、本年6月にiPhoneで開始された「マイナンバーカードのスマートフォン搭載」も、実例の一つである。ここでは、氏名、住所、生年月日、性別、顔写真、マイナンバーを含む身分証明情報VCを国際規格(ISO/IEC18013-5、通称mdoc)に準拠した非常にセキュアな形式で発行し、Appleが提供するDIWであるAppleWalletに格納する。AppleWalletは、利用者本人のiPhoneを用いてVCが提示されたことを証明する仕組みが搭載されているため、VCをコピーして利用することは不可能であり、確実に本人と結びついた利用が可能となっている。このように、VCとDIWは「発行」「保管」「提示」という3ステップを通じて、安全で効率的な証明書のやり取りを実現できるが、それを実現するためのいくつかの技術的方策が存在しているため、特に民間分野での活用を想定した安価で利便性の高いエコシステムをどのように構築していくかが重要な課題となっている。2)VC・DIWがもたらすメリットと課題このVC・DIWの仕組みが社会に広がると、私たちの生活に大きく3つのメリットをもたらすと期待されている。利便性の向上スマートフォン1台あれば運転免許証や保険証、社員証、資格証明書など、たくさんの物理的なカードを持ち歩いたり、紙の書類を印刷したりする必要がなくなる。全ての証明がスマートフォン一つで完結するため、手続きもスムーズになると想定される。プライバシーの保護VC・DIWは、必要な情報だけを見せる「選択的情報開示」に対応しており、不必要な情報を開示しなくてよいためプライバシーの保護につながる。例えば、コンビニでお酒を買う際の年齢確認では、今までは運転免許証を提示し、生年月日だけではなく、名前や住所、顔写真などを店員に見せる必要があった。VCを使えば、「20歳以上である」という事実だけを証明でき、他の個人情報を一切見せる必要がない。手続きのデジタル完結VCは機械が読み取れるデータなので、これまで人の目で確認し、手入力していた作業が不要になる。これにより、行政や企業は事務処理コストを大幅に削減でき、利用者も待ち時間が減り、手続きが迅速に進むようになる。将来的には、AIエージェントがVCを使って様々な手続きを自動で行うといったことも可能になると想定される。一方で、VC・DIWエコシステムの社会実装を達成するためには、利便性だけでなく、潜在的な脅威とリスクを事前に特定し、分析することが不可欠である。有識者会議では、VCのライフサイクル(発行・保持・提示・保存)に沿って脅威を整理し、それらが引き起こす主要なリスクを以下の4類型に集約した(表1)。正規VCの盗用や再利用による詐称・なりすまし偽造VCや派生VCの受け入れ被害VCに起因するプライバシーの侵害VCの可用性や利便性の低下また、VC・DIWのリスクを考えるにあたっては紙とデジタルの間では脅威モデルが根本的に変化する点を認識する必要がある。紙の証明書では、社会的に問題となるのは「本人自身による偽造」が主な脅威であった。一方で、デジタル環境では、脅威は「悪意ある第三者によるVCの窃取」や「事業者間の結託による大規模な名寄せ」など、より多様化するため、この脅威モデルの変化を前提とした対策設計が不可欠となる。表1VCのライフサイクルにおける主要リスクと対策案3.ガイドライン策定によるエコシステム構築の推進VC・DIWの普及においては、「安価・簡便・迅速に実施できること」を最重要視し、規制を最低限に留めることが基本的な考え方とされており、原則として、国のルールや制度が存在しなくても、エコシステムが円滑に機能することが理想とされている。一方で、有識者会議では、エコシステムが自律的に機能することを理想としながらも、制度的な枠組みが必要となる要因や懸念点が複数指摘されている。例えば、制度やルールが不在の状態では、悪用や消費者被害、プライバシー侵害が発生する恐れがあり、これが社会的不信を広げ、結果的に普及を妨げる可能性がある。また、「安価・簡便・迅速」の追求は重要であるが、ユーザー中心のデジタルID管理というDIWの目指す姿を達成するためには、利用者の権利や利益の保護、すなわち「安全」性の確保も重要であり、これを軽視すべきではないという意見もある。さらに、ルールがない状態では、大手IT企業などのWalletに利用が集中し、寡占化が進むリスクがあるとされる。このため、デジタル庁からは、これらのバランスを取るため、現時点では、直ちに法の縛りを設けるのではなく、ガイドラインを整備することで、VC・DIWの普及を促すことを優先する方針が示されている。まずは、技術面・運用面の対策について推奨要件を示すガイドラインを策定し、証明書の発行機関などが適切な標準や仕様に従ってシステムを構築・運用する環境を整えることで、早期の社会実装を進め、利用者を増やしていく。その上で、複数のユースケースで活用できる共通的なガバナンスを検討しつつ、リスクの高いユースケース(例えば、公的かつリスクの高い個人向けのサービスなど)を念頭に適切な制度面の対策を議論していく方針である。このように、VC・DIWの普及においては、「安価・簡便・迅速」というエコシステム機能の実現を追求しつつ、その機能を安全に維持するために、法制度に頼る前に技術的・運用的な対策をガイドラインで明確化し、真に法律が必要な領域(例えば、利用者の権利保護、データポータビリティ、独禁法上の課題)を特定していくことで、将来の法整備に繋げるという段階的なアプローチが取られようとしている。これは、e-Japan時代の電子署名法の策定など、法律の施行によって普及が停滞した過去の教訓を踏まえ、まずは住民票の写しのような重要書類のVC化だけではなく、図書館の利用カードのような私たちの身近なリスクの低いユースケースの社会実装を進めて成功事例を積み重ねていくことで、多様なユースケースの創出につなげ、社会全体のデジタル変革の加速を目指すものと言える。4.終わりにVCとDIWは、単なる証明書のデジタル化技術ではなく、プラットフォームに集約されがちであった個人データのコントロールを個人の手に取り戻し、社会全体のデジタル取引における信頼性と効率性を向上させるための、重要社会インフラとなるべきものである。その実現には本稿で述べたような様々なリスクや課題を乗り越えなければならないが、この新しいインフラが社会に根付いたとき、私たちはより安全で、個人の権利が尊重される便利なデジタル社会を手にすることができるだろう。有識者会議の中で、デジタル庁の担当者は、2025年をAIがユーザーの代わりにウェブを操作する「エージェンティックブラウザ元年」になると指摘している。AIが私たちの代理人として安全に活動するためには、そのAIが「誰から、何を許可されているのか」を確実かつデジタル的に証明する仕組みが不可欠である。VC・DIWに関する現在の取り組みは、まさに今後10年、20年と我々がAIを安全に活用していくための基盤整備になると言えるだろう。官民一体となってこの取り組みを推進することで、誰もが信頼し、安心して参加できるデジタル社会の実現が加速することを期待したい。<注釈>属性証明の課題整理に関する有識者会議(デジタル庁)https://www.digital.go.jp/councils/vc-diw-governance属性証明の課題整理に関する有識者会議(第1回)事務局説明資料(デジタル庁),https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c9c78e4-4cb5-4ef0-a3e5-6fd461d0ef84/1e25a76b/20251023_meeting_vc-diw-governance_outline_02.pdf提供:税経システム研究所
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2026/01/22 会計レポート
中小企業が身につけておきたい原価管理の知識(28)
1.はじめに本シリーズでは、経営・会計において欠かせない原価管理の考え方を紹介します。これまで見てきたように、原価管理は、製造業を例にあげれば、製品の製造や提供にかかる原価を可視化して、無駄な部分を削減することを目的として行われます。他社との競争が激しくなる状況で、原価を低減することは企業の利益獲得にも大きな影響を与えています。特に、原材料や部品の購買活動にかかる原価は製造原価の多くの割合を占めており、その管理を効率的に行うことは企業にとっての課題になっています。以下では、購買活動における原価管理の意義を確認します。2.購買活動における原価管理の意義購買活動の中で不要な原価を削減することは、企業にとって無駄なコスト負担を減らすとともに、安定した利益の獲得にも役立ちます。主に以下のような観点から、購買活動の原価管理が重要です。第一に、購買活動の原価管理を通じて、企業はコスト競争力を高めることができます。仕入先との交渉時に価格や数量等の仕入条件を自社の実態に適した内容へと見直すことによって、無駄な購買原価の削減につながります。また、発注時の方法や配送を改善することで、物流コストを低減することも可能です。購買活動の原価低減を進めることで、価格を抑えつつ、製品を提供することができます。さらに、海外の仕入先との取引を行う際の為替変動、原材料価格の高騰等の外的要因によって原価が当初の予定を超えて増大する可能性が考えられます。企業としてこのようなリスクを予測し、購買活動の計画と実行において考慮することで、コスト変動に対する柔軟な対処が可能になります。第二に、購買活動の原価管理において、企業はコストに加えて、品質や納期の改善も並行して進めることができます。コストを低減することは企業の競争力を高めるために重要ではありますが、原価の削減にこだわるあまり、価格が安い原材料へと安易に変更してしまうと、製品の品質水準が低下したり、納品までの時間が予想以上にかかったりすることがあります。そうすると、顧客のニーズを満たすような製品を適切なタイミングで提供できなくなり、企業の収益性にも悪い影響が生じる可能性があります。原価管理では、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)のバランスに注意します(注1)。購買活動において、例えば、品質や納期を現状の水準に維持しながら、より低コストで調達できる仕入先が無いかを探ることが考えられます。第三に、購買活動の原価管理を通じて効率的な在庫の運用が可能になります。購買活動は在庫の運用とも深く関係しています。例えば、原材料を必要以上に仕入れることで余分な在庫を保有してしまうと、保管等の管理コストの増大、資金の滞留が起きる可能性があります。実際の生産活動に見合わないような無駄な仕入れが行われることを防ぎ、余剰在庫のリスクを低減することは、原価の低減だけでなく、資金の適正な運用にとっても重要です。また、在庫が不足する場合には、製造活動の遅延、さらには将来的な製品の欠品にもつながり、企業にとって本来実現できたはずの販売機会を失うことにもなります。この対策として、需要予測を徹底的に行って発注量を見直すことや、在庫水準を継続的にチェックすることが考えられます。これらの取り組みを通じて必要なタイミングで必要な量の仕入れができるようにすることで、企業として販売機会の逸失を避けることが重要です。3.おわりに2で見たように、購買活動の原価管理は、企業のコスト競争力を高めるため重要です。また、品質や納期とのバランスにも注意して無駄なコスト負担を低減することは、企業にとって利益獲得の機会を増やすことにもつながります。原価管理の取り組みの中には、需要予測の徹底とそれに基づいた在庫水準の適正化など、日々の活動から始められることもあります。次回の記事では、原価管理において購買部門が果たす役割を考えます。参考文献谷武幸.2022.『エッセンシャル管理会計第4版』中央経済社.吉田栄介・伊藤治文.2021.『実践Q&Aコストダウンのはなし』中央経済社.<注釈>製品の機能と原価をバランスよく改善して、製品の価値を高めるための方策を探る手法としてVE(価値工学)があります。VEの考え方や実施手順については第9回の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。提供:税経システム研究所
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関連項目 会計レポート,管理会計
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