税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2026/08/03
退職金か賞与か
役員退職金は、法人税法上、役員給与の中でも例外的に損金算入が認められる性格を有する。これは、退職金が在任期間中の職務執行に対する功績や貢献に報いる「後払い」としての性質を持つためである。しかし、この取扱いが認められるのは、あくまでも役員が「退職した」という事実が存在する場合である。問題となるのは、役員が形式的には代表取締役を退任しながら、実質的には会社経営に関与し続けるケースである。このような場合、支給した金員が「退職金」や「退職慰労金」という名称であっても、法人税法上の退職給与には該当せず、役員給与として取り扱われ、損金算入が否認される可能性がある。この考え方は、法人税基本通達9-2-32にも示されている。同通達では、役員の分掌変更又は改選による再任等に際して支給した給与について、その役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合には、退職給与として取り扱うことができるとしている。具体例として、常勤役員が非常勤役員となった場合、取締役が監査役となった場合、分掌変更後の給与がおおむね50%以上減少した場合が挙げられている。しかし、これらはあくまでも例示であり、形式的な判定基準ではない。通達上も、非常勤役員や監査役となった場合であっても、実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている者は除かれている。また、給与が激減した場合についても、分掌変更後においてなお経営上主要な地位を占めている者は対象外とされている。したがって、報酬が半減したという事実だけで退職給与に該当するわけではなく、職務内容や経営への関与状況を含め、実態に即して判断する必要がある。この点が争われた裁判例が、東京地方裁判所平成29年1月12日判決(注1)である。本件では、代表取締役を退任して取締役兼相談役となった前社長に対し、退職慰労金約5,610万円が支給された。退任後、同人は毎日出社を続け、営業会議・合同会議の出席は取りやめたものの、代表者会議への出席は継続していた。また、会議の議事録や稟議書の「相談役」欄への押印を続け、必要に応じて助言を行っていたほか、取引銀行の担当者と単独で面談・交渉し、親会社との利害調整、後任社長への指導、従業員の賞与査定などにも関与していた。月額報酬は205万円から70万円へと約3分の1まで減額されていたが、裁判所は、このような実態から、会社の経営上主要な地位を占めていたと認定し、退職給与には該当しないと判断している。税務上の「退職」は、肩書や報酬額だけで判断されるものではないことをこの判決は示している。分掌変更に伴い退職慰労金を支給する場合には、経営への関与が実質的に終了していることを客観的に説明できるかを慎重に検討すべきである。退職給与として損金算入できるかを分けるのは、名称ではなく、退職の実態である。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2017/pdf/12952.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/07/27
土地とともに取得した建物の取り壊し費用は土地の取得費か
土地と建物を一括取得した後、建物を直ちに取り壊して土地を利用する場合、建物の取得価額や取り壊し費用をその年の必要経費として処理したいと考えるケースは少なくない。しかし、税務上は原則としてその処理は認められず、これらの支出は土地の取得費に算入される点に注意が必要である。所得税基本通達38-1は、建物の存する土地を建物とともに取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に建物の取り壊しに着手するなど、「当初からその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らか」であると認められるときは、建物の取得価額と取り壊し費用(取り壊しに伴い生じた資材の処分価額を控除した後の金額)は土地の取得費に算入すると定めている。これは、建物を利用する意思はなく、実質的には更地として土地を取得するために要した支出と評価されるためである。この考え方は、令和3年3月9日の山形地方裁判所判決(注1)でも確認されている。本件では、不動産賃貸業を営む納税者が土地建物を取得し、約3か月半後に建物の解体工事契約を締結し、その後建物を取り壊した上で土地を事業用地として賃貸した。納税者は建物取得価額および解体費用を不動産所得の必要経費として計上したが、税務署は取得当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であったとして、これらは土地の取得費に算入すべきものであるとして更正処分を行った。裁判所は、取得当初の借主候補との間で建物を取り壊して土地を賃貸することを前提とした交渉が行われていたこと、融資に際して建物には抵当権が設定されず、担保関係書類にも「取り壊し予定」と記載されていたこと、建物が築30年を超え、長期間空室が続くなど客観的な利用価値に乏しかったこと、取得からわずか4か月で取り壊されたことなどの事情を総合的に考慮し、取得時点において建物を利用する意思は乏しく、当初から土地利用を目的として取得したものと認定した。そして、建物取得価額及び解体費用を土地の取得費に算入するという所得税基本通達38-1の取扱いは所得税法第38条の趣旨に沿う合理的なものであるとして、更正処分を適法と判断した。実務では、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合、当初から土地利用目的で取得したものではないかという観点から税務調査で確認されることが多い。重要なのは解体時期ではなく、取得時点の利用目的である。相当期間にわたり賃貸や自社利用を行った後の経営判断による取り壊しであれば、除却損や取り壊し費用を必要経費として処理できる余地がある。一方、取得後短期間で取り壊した場合には、取得時の事業計画、融資資料、賃貸募集の状況などを踏まえ、当初から土地利用目的であったかが総合的に判断されるため、取得目的を裏付ける資料を保存しておくことが重要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2021/pdf/13536.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/07/27
株式投資の税務リスクと、迫る社会保険への波及
日経平均株価が7万円を超え、中東情勢の安定化や半導体関連銘柄の上昇を背景に、株式市場への関心が高まっている。個人投資家の間でも利益確定の動きが活発になっているが、利益そのものだけでなく、その後の税務処理についても十分な注意が必要である。株式投資の税務上の取扱いは、利用する口座によって大きく異なる。現在は特定口座(源泉徴収あり)を利用する投資家が多数を占めるが、一般口座やNISA口座を併用するケースも少なくない。それぞれの特徴を理解しておかなければ、思わぬ不利益を被ることがある。まずNISA口座である。NISAは譲渡益や配当金が非課税となる制度であるが、損失が生じても税務上の救済措置はない。特定口座や一般口座で生じた利益との損益通算は認められず、損失の繰越控除も適用されない。非課税というメリットの裏側で、損失は税務上「なかったもの」として取り扱われる点に注意が必要である。次に、特定口座(源泉徴収あり)である。証券会社が所得税および住民税を源泉徴収するため、原則として確定申告は不要である。しかし、複数の証券会社を利用している場合には、どの口座を申告対象とするかの判断が求められる。この点については、釧路地裁平成30年8月7日判決(注1)が参考になる。同判決は、申告後に「記載を失念した」として別の特定口座の配当等を追加する趣旨の請求を認めなかった事案である。どの証券会社の口座を申告対象とするかは、申告時点で十分に検討しておく必要がある。また、一般口座では納税者自身が取得価額の把握や譲渡損益の計算を行い、確定申告をしなければならない。近年は証券会社等から税務当局へ提出される法定調書の整備も進み、当局が個人の取引情報を把握しやすくなっている。申告漏れが発覚すれば、修正申告や税務調査につながりかねない。さらに今後は、金融所得と社会保険制度との関係も重要となる。2025年12月25日に公表された社会保障審議会医療保険部会の「議論の整理」(注2)では、上場株式等の配当所得や譲渡所得について、確定申告の有無にかかわらず、まず後期高齢者医療制度の保険料等に反映させる方向性が示された。さらに2026年3月13日には「健康保険法等の一部を改正する法律案」も閣議決定されている。株価上昇局面では利益確定のタイミングに目が向きがちであるが、市場の熱気に流されず、税務と社会保険の両面から金融所得を管理する姿勢が求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2018/pdf/13175.pdfhttps://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621843.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/07/13
フードデリバリー配達員の所得区分と近年の法整備
近年、個人事業主を活用した運送形態が広がっており、特に参入障壁の低いフードデリバリー配達員は急速に増加している。今回は、フードデリバリー配達員の所得区分と、近年の法整備が及ぼす影響について検討する。まず、税務上の取扱いを確認する。プラットフォーム型のフードデリバリー配達員は、一般に業務委託契約に基づいて業務を行う個人事業主として扱われ、報酬の支払時に源泉徴収が行われないことが通常である。その所得については、事業として継続的に営まれている場合には事業所得に該当し得る一方、副業的または一時的なものに留まる場合には雑所得となることが多い。もっとも、所得区分や給与該当性の判断は契約名称のみによるものではなく、①空間的・時間的な拘束の有無、②継続的・断続的な役務の提供の状況、③指揮命令への服従の程度、④業務遂行に必要な用具の提供関係、⑤危険負担や費用負担の状況などを総合的に考慮して判断される。この点、フードデリバリー配達員は、稼働時間帯や配達依頼の受諾の可否を自ら判断し、配達に用いる自転車やバイク等を自己負担で用意するとともに、交通事故や修理費等のリスクも負っている。自己の計算と危険において業務を遂行している点で、一般には事業者としての性格が強いと考えられる。他方、特定運営会社の勤務シフトに組み込まれ、配達依頼の拒否が実質的に困難で、服装、待機場所、配達方法等について細かな指揮監督を受け、必要な車両や備品も会社側が提供し、報酬も時間給に近い形で支払われているような場合には、給与所得に該当する可能性が高まる。札幌地裁令和元年11月29日判決(注1)は、フードデリバリーを直接扱った事例ではないが、上記①ないし⑤を総合勘案した上で、運転手に対する支払を給与等に該当すると判断した事例である。同判決では、集荷先や到着時間に関する具体的指示、乗務日報による管理、車両の実質的提供及び事故リスクの会社負担などが重視されている。ここで留意すべきは、「労働者」概念が法律ごとに異なる点である。東京都労働委員会はウーバーイーツの配達員について労働組合法上の労働者に当たると判断している(注2)。また、フリーランス・事業者間取引適正化等法や中小受託取引適正化法は、いずれも独立した事業者として保護することを目的とする制度である。これらはそれ自体が税務上の所得区分を決定するものではないが、法整備により、取引条件の明示や契約内容の文書化が一層求められることとなり、税務上も契約内容と実態との整合性が従来以上に重要となる。以上のとおり、フードデリバリー配達員の所得区分は、契約名称ではなく業務実態に基づく個別具体的な総合判断によって決定される。また、「事業者」と「労働者」の定義は各法令によって異なるため、税務上の判断に当たっては、それぞれの制度趣旨を踏まえて慎重に検討する必要がある。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2019/pdf/13348.pdfhttps://www.spt.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/11/25/14.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/07/06
設備はいつ「取得」したことになるのか
法人税法上、減価償却費を損金算入できるのは、各事業年度終了の時において法人有する減価償却資産に限られる(法人税法31条1項)。また、減価償却の計算や各種特別償却・税額控除の摘要においては、「取得」が重要な要件とされている。しかし実務上は、「取得日」をいつと捉えるかが問題となる場面が少なくない。とりわけ大型設備や生産ラインのような機械装置では、納入後に設置、据付け、試運転を経て初めて稼働可能となるため、いつ「取得」したと評価できるのかが争われることがある。この点について参考になるのが、東京地裁平成30年3月6日判決(注1)である。同判決は、減価償却資産の「取得」とは、所有権移転の原因となる私法上の法律行為またはこれと同視し得る行為をいうとした上で、その時期は所有権が移転した時点であると解すべきであると判示した。すなわち、機械装置のように設置・調整を伴う契約においては、単なる物理的な設置や占有では足りず、請負人による設置・調整作業が完了した上で、注文者が当該機械装置の性能を確認し、検収を完了することで引渡しがあったと評価するための前提となる。本件では、契約上、検収をもって引渡しとし、さらに代金全額の支払時に所有権が移転する旨の所有権留保条項が定められていた。本件機械装置は、設置・立会試験自体は事業年度末以前に完了していたものの、その後に発見された不具合への対応に時間を要し、検収が完了したのは事業年度終了後であった。裁判所は、検収による引渡しの完了時期および代金完済による所有権移転時期のいずれもが事業年度末より後であったことを踏まえ、当該事業年度終了の時点では本件機械装置を取得したとはいえないと判断した。実務上は、納品書の日付や請求書の日付のみで取得時期を判断するのではなく、契約書における検収条件、試運転記録、検収報告書、性能確認資料などを確認し、いつ所有権が移転し、いつ事業の用に供し得る状態となったのかを整理しておく必要がある。検収や代金決済が翌期にずれ込むことで取得時期が翌事業年度となる可能性があり、減価償却費や特別償却・税額控除の適用年度の判定に直接影響するため、十分な注意が必要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2018/pdf/13126.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/06/22
人的役務か成果物提供か
非居住者や外国法人に対して業務委託料を支払う場合、源泉徴収が必要か否かは対価の性質によって決まる。「海外への支払いだから源泉徴収は不要」という理解は誤りであり、国内で人的役務が提供されているか否かが重要な判断ポイントとなる。所得税法第161条第1項第6号は、「国内において人的役務の提供を主たる内容とする政令で定める事業」から生じる対価を国内源泉所得としている。これを受けた所得税法施行令第282条第3号は、科学技術、経営管理その他の分野に関する専門的知識又は特別の技能を活用して行う役務の提供を主たる内容とする事業を対象としている。したがって、国内でこのような役務が提供される場合には、租税条約の適用関係を確認した上で、源泉徴収の要否を検討する必要がある。実務での判断軸は、「何に対して対価が支払われているか」である。受託者が自己の責任と裁量で業務を完結し、完成した成果物の引渡しに対して報酬が支払われる場合には、成果物提供型の取引として評価される余地がある。一方、専門的知識を有する技術者が国内で継続的に役務を提供し、その工数や稼働時間に応じて報酬が算定される場合には、人的役務提供事業対価に該当する可能性が高くなる。報酬体系、作業場所、業務遂行の態様、成果物の有無などを総合的に検討する必要がある。この判断枠組みを示したのが東京地裁令和2年6月19日判決(税務訴訟資料第270号-56)(注1)である。本件では、内国法人(原告)が米国ニューヨーク州法人(被告)の東京支店に業務を委託し、同支店を通じてシステムエンジニアが原告の事務所に常駐してプログラム開発支援業務を行っていた。報酬は技術者ごとの単価に工数を乗じて算定されていた。裁判所は、所得区分の判定は契約名称や登記上の事業目的ではなく、実際の業務内容に基づいて行うべきとした上で、本件を所得税法施行令第282条第3号に定める人的役務提供事業の対価に該当すると認定した。実務上注意すべき点は、契約書に「システム開発委託」「技術支援」「ノウハウ提供」などと記載されていても、その文言だけで税務上の取扱いが決まるわけではないことである。実態が常駐技術者による工数課金型の役務提供であれば、人的役務提供事業対価として源泉徴収義務が生じ得る。源泉徴収漏れが発覚した場合には、本税に加え不納付加算税や延滞税の負担が生じる。国際取引においては、契約名称にとらわれることなく、業務内容、作業場所、報酬体系等を実態に即して確認し、人的役務か成果物提供かを適切に判定することが求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13416.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/06/15
土地の貸付けと消費税
土地の譲渡および貸付けは、消費税法6条1項及び同法別表第二第1号により、原則として非課税取引とされている。土地は、使用や時間の経過によって通常消耗するものではなく、消費税が予定する「消費」になじみにくい資産であるためである。もっとも、土地の貸付けが常に非課税となるわけではない。消費税法別表第二第1号は、「一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合」を非課税の範囲から除外している。これを受け、消費税法施行令8条は、貸付期間が1月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合を非課税となる土地の貸し付けから除外している。したがって、駐車場、野球場、プール、テニスコートなど、施設の利用に伴って土地を使用させる取引は、単なる土地の貸付けではなく、施設の貸付け又は役務提供として課税取引となる。実務上、特に問題となりやすいのが月極駐車場である。国税庁の取扱い(注1)によれば、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備、フェンス、区画、建物の設置などを行い駐車場として利用させる場合には、消費税が課される。一方、単に更地を貸し付け、駐車場又は駐輪場としての用途に応じた整備や区画等を行っておらず、車両等の管理もしていない場合には、土地の貸付けとして非課税となる余地がある。ここでいう「施設」は、立体駐車場や屋根付き車庫のような大規模な建物設備に限られない。平成28年2月25日大阪地裁判決(注2)も、砂利敷き、整地、ロープ又は白線による区画、番号札、看板等により駐車場として利用できる状態に整備されていた事案について、駐車場という施設の利用に伴って土地が使用される場合に当たると判断している。裁判例は個別事案の判断であるが、消費税法基本通達6-1-5の考え方と整合するものといえよう。実務上の課否判定は、契約書の名目ではなく、土地の現況、利用目的、整備の実態に基づいて行う必要がある。確認すべき事実関係としては、整地、舗装、砂利敷きの有無、白線、ロープ、フェンス、車止め、番号表示等による区画設備の有無、看板の設置状況、車両管理の有無、さらに貸付期間が1月以上であるかどうかが挙げられる。土地の貸付けは原則として非課税であるが、駐車場等については例外的に課税取引となる場面が少なくない。「土地だから非課税」と即断するのではなく、施設の利用に伴って土地が使用されているかどうかを、具体的な事実関係に即して慎重に判定する必要がある。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6213.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2016/pdf/12808.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/06/08
役員貸付金の債務免除と税務処理
法人の役員に対する貸付金が長年滞留し、返済不能となったため、債務免除を検討するケースがある。しかし、このような場合において、実務上は「貸倒損失として処理すれば終わり」という単純な問題ではない。特に役員に対する債務免除は、「役員賞与」と認定される税務リスクが高く、会計処理、法人税、所得税、源泉徴収まで一体で検討する必要がある。法人が役員に対して行った貸付金を免除した場合、その経済的利益は所得税法28条1項に規定する「賞与又は賞与の性質を有する給与」に該当する可能性がある。この点は、これまで複数の裁判例において繰り返し争われてきた。役員が法人から長年にわたり多額の借入れを行い、その後、返済困難を理由として債務免除を受けた事案においては、当該債務免除による経済的利益が給与所得に該当するとして課税処分が維持された例が存在する。通常の金銭債権であれば、「(借方)貸倒損失/(貸方)貸付金」と処理する場面でも、役員に対する貸付金については、税務上は貸倒損失ではなく役員賞与とされる可能性が高い。その場合の仕訳は「(借方)役員賞与/(貸方)貸付金」となる。また、債務免除は経済的利益の供与として、現物給与と同様に源泉徴収の対象となる。賞与に係る源泉徴収税額は所得税法186条に基づき計算されるため、法人は役員本人から源泉所得税相当額を別途預かり、納付する必要がある。受領時の仕訳は、「(借方)現金預金/(貸方)預り金」、納付時は「(借方)預り金/(貸方)現金預金」と処理する。なお、役員本人に納税資金がなく、法人が本人負担すべき源泉所得税を負担した場合、その負担額自体が追加の経済的利益となるため、いわゆるグロスアップ計算が必要となる点に注意が必要である。一方、法人税申告においては、役員賞与は原則として損金不算入である。会計上「役員賞与」として費用処理していたとしても、税務申告上は別表四において「役員賞与認定額」等として加算し、社外流出として処理することになる。このように、役員に対する貸付金を単純に貸倒損失として処理することには大きなリスクがある。また、そもそも役員貸付金自体が税務調査において問題視されやすい論点であり、安易な実行は避けるべきである。特に、返済可能性が乏しいことを認識しながら行われた貸付については、貸付時点に遡って役員給与と認定されるリスクも否定できない。役員貸付金の整理に当たっては、債務免除時の会計処理にとどまらず、源泉徴収、法人税申告、別表四調整まで含めて慎重に検討する必要がある。提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/06/01
税務署職員の誤指導と加算税の賦課
国税通則法66条1項ただし書は、申告義務の不履行について「正当な理由」がある場合には加算税を賦課しない旨を規定している。税務署職員の誤指導により申告期限を徒過した場合や過少申告となった場合には、この「正当な理由」が問題となり得るが、実務上、誤指導の存在を納税者側で立証することは容易ではない。ここでいう「正当な理由」とは、納税者の責めに帰することのできない客観的な事情が存在し、無申告加算税制度の趣旨に照らしてもなお納税者に加算税を賦課することが不当または酷となる場合と解されている。申告納税制度の建前からすれば、仮に誤指導があったとしても、納税者側に資料提出の不備や説明不足といった帰責事由がある場合には、「正当な理由」は認められないとするのが国の立場である。大阪地裁平成28年10月19日判決(税務訴訟資料第266号-142、順号12920)(注1)は、この問題を正面から扱った事案である。本件では、不動産持分の売却による譲渡所得について無申告加算税の賦課を受けた原告が、「税務署職員から申告不要と説明された」と主張したが、裁判所はこれを退けた。事案の具体的な状況を見ると、原告は確定申告期の申告会場において、順番を待つ中、待合スペースに立ったまま短時間のやりとりを行ったにすぎず、その時間は1分にも満たなかったとされている。また、売買契約書等の客観的資料も持参しておらず、持参した申告書にも不動産売却の記載はなかった。本判決が示すのは、確定申告期の「流れ作業的」な簡易相談は、誤指導の立証という観点から極めて不利に働くという点である。予約に基づく個別相談であれば相談記録が作成され、統括官等の決裁を経て保管されることが多い。しかし、申告会場での簡易な対応では記録が人数確認程度にとどまることも多く、客観証拠が乏しくなりやすい。その結果、納税者が「申告不要と言われた」などと口頭説明のみに依拠する主張は採用されにくく、立証上の不利益は納税者が負うことになる。実務対応としては、加算税の賦課決定処分を受けた場合、処分があったことを知った日の翌日から原則3か月以内に再調査の請求または審査請求を行う必要がある。誤指導の有無を検討するに当たっては、税務署の応接記録の存否確認が重要であり、保有個人情報の開示請求により取得を試みることが考えられる。ただし、開示請求の結果を待つ間に不服申立期間を徒過しないよう、期限管理には留意すべきである。以上のとおり、誤指導を理由とする加算税の免除は理論上認められるものの、その立証ハードルは高い。相談時には資料を十分に提示し、可能であれば記録が残る形での対応を選択することが、後日の紛争予防の観点から重要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2016/pdf/12920.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/05/25
少額減価償却資産の特例の拡充と実務対応
令和8年度税制改正により、中小企業者等に係る少額減価償却資産の特例は、従来の30万円未満から40万円未満へと引き上げられ、令和8年4月1日以後に取得等をし、事業の用に供した資産について適用される。今回の改正の要点は次の4点である。取得価額基準を40万円未満へ引き上げ。適用対象法人から常時使用する従業員数が400人を超える法人を除外(従来は500人超)適用期限を令和11年3月31日まで3年間延長年間300万円の上限など他の要件は変更なし改正の適用に当たっては、「事業年度の開始日」ではなく「資産の取得日」を基準とする点が重要である。したがって、例えば12月決算法人においては、令和8年1月1日から同年3月31日の取得分には30万円基準、同年4月1日以後の取得分には40万円基準が適用され、同一事業年度内で2つの異なる基準が混在することとなる。実務上は、固定資産台帳における取得日の正確な記録に加え、請求書・納品書・使用開始日との整合性を確保することが不可欠である。取得価額の判定においても留意が必要である。取得価額は本体価格に限らず、設置費用や搬送費等の付随費用を含めた総額で判断する。税抜経理方式を採用している場合は税抜額、税込経理方式(免税事業者を含む)では税込額で判定する。また、機能上、一体として使用される資産については合算して判定する必要があり、例えばデスクトップPCの本体とモニターのように単独では機能しない構成要素は一体として取り扱うことになる。年間300万円の上限管理については、個々の資産の取得価額を積み上げて判定する。例えば1台38万円のPCを8台取得した場合(合計304万円)、本特例の適用対象となるのは7台分266万円分に限られ、残る1台は通常の減価償却の対象となる。また、一括償却資産(10万円以上20万円未満)との選択に当たっては、償却資産税の取扱いの違いも重要である。本特例の適用資産は償却資産税の申告対象となるのに対し、一括償却資産は申告不要とされている。そのため、利益が安定している事業年度においては、あえて一括償却を選択するという判断も実務上合理的である。本特例は利益の大きい事業年度に適用することで節税効果が最大化される一方、赤字事業年度では効果が限定的となる。手続面では、確定申告書に別表16(7)を添付することが適用要件とされており、添付漏れや記載不備は特例の否認につながるおそれがある。固定資産台帳との整合性を確保した上で、適切な申告実務を行うことが重要である。提供:株式会社日本ビジネスプラン
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