税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2026/10/19
新リース会計基準、令和9年4月から適用
設備や車両のほか、オフィスや店舗など幅広い資産に利用されるリースの会計処理が大きく変わる。企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」が令和9年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されるためである。最も大きく変わるのは借手の会計処理である。従来のファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分を廃止し、原則としてすべてのリースについて「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表に計上する。これまで賃借料として処理していたオフィスや店舗などの不動産賃貸借も対象となり得る。なお、短期リースや少額リースには簡便的な取扱いが認められている。対応が必要となるのは、主に金融商品取引法の適用会社等であり、中小企業は従来の会計処理を継続できるが、上場会社の連結子会社などは対応が必要となる場合がある。注意したいのが税務との「ズレ」である。法人税法第64条の2に規定するリース取引は、一定の中途解約不能性とフルペイアウトの要件を満たすものが対象となり、税務上は資産の売買があったものとして取り扱われる。所有権移転外リースにより取得したものとされる減価償却資産については、リース期間定額法により償却する。またこのリース資産については、圧縮記帳、特別償却、法人税法施行令第133条による10万円未満の少額減価償却資産の損金算入及び同第133条の2による一括償却資産の損金算入の適用がない。一方、法人税法上のリース取引に該当しない賃貸借取引については、令和7年度税制改正により法人税法第53条が設けられた。令和7年4月1日以後開始する事業年度では、契約に基づき支払うこととされている金額のうち、その事業年度に債務が確定した部分の金額を損金算入することとなる。新基準により会計上リースと識別される不動産賃貸借等であっても、法人税法第64条の2第3項に規定するリース取引に該当しなければ、税務上は賃貸借取引として取り扱われる。したがって、新基準適用後は、同じ契約について「会計上は使用権資産とリース負債を計上するが、法人税上は賃貸借として処理する」というケースが生じる。会計上計上した減価償却費等と税務上の損金算入額が一致しなければ、法人税申告書で申告調整が必要となる。この点が新基準対応における税務上の重要なポイントである。消費税についても会計処理だけで判断してはならない。税務上、資産の譲渡として取り扱われるリース取引では、原則としてリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間に課税仕入れがあったものとされる。一方、所有権移転外ファイナンス・リースについて賃借人が賃貸借処理をしている場合には、支払うべき日の属する課税期間ごとの分割控除も認められるが、新基準の適用会社は短期リース・少額リースの簡便的取扱いによる場合を除き賃貸借処理を行わない。実務上は一括控除が原則となる点に留意が必要である(注1)。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/10.htm?utm_source=chatgpt.com提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/10/19
リースバック後に取り壊した建物の帳簿価額は土地の取得価額か
土地とともに取得した建物を取り壊した場合、その建物の帳簿価額や取壊し費用が土地の取得価額となるかについては、2026/7/27の税金ワンポイントにおいて、所得税基本通達38-1と山形地裁令和3年3月9日判決を取り上げた。今回は、同じ論点が法人税で争われた東京地裁令和6年11月13日判決(税務訴訟資料274号・順号14040)(注1)を紹介する。本件は、ホテル経営会社が土地建物を約52億円で一括取得したというものである。ただし、入札の売却条件により、取得後1年3か月にわたり建物を売主にリースバックした後に取り壊し、跡地に新ホテルを建築した。会社は取壊し時の建物帳簿価額約16億4,600万円を固定資産除却損として損金算入したが、課税庁はこれを土地の取得価額に算入すべきものとして更正処分を行った。法人税では、法人税基本通達7-3-6が所基通38-1と同趣旨の取扱いを定めており、土地建物を取得後「おおむね1年以内」に建物の取壊しに着手するなど、当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合、取壊し時の建物帳簿価額と取壊し費用を土地の取得価額に算入するとしている。本件では実際に1年3か月にわたり建物を賃貸しており、一見するとこの取扱いから外れるようにも思われる。しかし、東京地裁は、取壊し目的の有無を判断する基準時は、売買契約締結時ではなく所有権移転時であるとした。その上で、入札前から新築ホテルの収支計算や融資交渉を進め、解体費用の見積もりを行っていたこと、建物は築50年超で、アスベスト等が使用されている可能性を認識しながら調査をしておらず、既存建物を改装して利用することが現実的ではなかったこと、新築を前提とする新聞広告、事業計画書、融資契約、測量、設計提案募集が一貫していたことなどから、取得時における取壊し目的は明らかであると認定した。また、1年3ヶ月のリースバックについても、売主の移転までの利用を売却条件としたもので、いわば不動産取得に伴う「パッケージ」の一つにすぎないと評価した。つまり、取得後に実際に賃貸していたという事実だけでは、取得時における取壊し目的は否定されないということである。前回のコラムでも述べたが、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合、税務調査で確認されることが多い。重要なのは、取壊しの時期ではなく、取得時点の利用目的である。本判決から分かるのは、「おおむね1年」が絶対的な線引きではないということであり、実務への示唆が大きい。なお、本判決は控訴されている。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2024/pdf/14040.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/10/05
税務調査はどこから「違法」になるのか
9月から12月にかけては、税務調査が活発に実施される時期である。突然の調査予告に「なぜ自社が選ばれたのか」と不満を感じることもあるだろう。また、実際に調査が始まれば、調査の進め方や資料の提出要求、調査官の言動などに疑問や不満を抱くこともある。しかし、調査官が法令に基づいて行う質問検査については、納税者にはこれを受忍する義務がある。調査対象となったことに納得できない、あるいは調査官の態度が気に入らないという理由だけで、税務調査そのものを拒むことはできない。一方で、受忍義務があるからといって、調査官に無制限の調査権限が認められているわけではない。実際に調査方法が違法と判断された著名な裁判例が、いわゆる「北村事件」である。同事件では、納税者の不在中に、調査官が家族の明示の承諾を得ずに居住部分へ上がり、タンスやベッド下の引出しを検査して家族の下着まで取り出したほか、レジスターの現金有り高の確認や従業員のバッグの中の検査などが行われた。これらの調査行為について、大阪高裁平成10年3月19日判決では違法性が認められている。さらに、その後の京都地裁平成12年2月25日判決では、この調査について「任意調査として許容される限度を著しく逸脱した重大な違法行為」があったと判断されている。そして、課税庁がその後も十分な対応をしないまま帳簿書類の提示を求めたことなどを踏まえ、青色申告承認取消処分が取り消されている。これに対して、調査方法が争われたものの、課税処分の取り消しには至らなかった例が、大阪地裁令和3年10月28日判決(税務訴訟資料第271号・順号13623)(注1)である。この事件では、調査官が納税者の車両に同乗したこと、トイレに同行したこと、帳簿書類等を留め置いたことなどの適法性が争われた。しかし、裁判所は、車両への同乗やトイレへの同行について納税者の同意があったことなど、具体的な状況を踏まえて違法性を否定した。同判決は、仮に調査手続に違法があったとしても、そのことだけで直ちに課税処分が違法になるわけではないとする。その違法性が刑罰法令に触れたり、公序良俗に反する程度に至ったりするなど重大であり、その調査によって収集した資料を課税処分の資料として用いることができず、その結果、課税処分を維持できない場合には、課税処分が違法として取り消され得るとの考え方を示した。同事件ではそのような違法は認められず、納税者の請求は棄却され、判決は確定している。実務上、調査方法に疑問を感じた場合には、感情的に調査を拒否するのではなく、日時、場所、調査官の氏名、具体的な発言や行為、要求された資料、納税者が同意した範囲などを記録しておくことが重要である。適法性は、具体的な事実の積み重ねによって判断されるからである。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2021/pdf/13623.pdf?utm_source=chatgpt.com提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/09/28
アスベスト除去費用は雑損控除の対象になるか-「災害」の該当性
住宅の解体時にアスベストが見つかった場合、除去作業のために予定外の出費が発生することがある。こうした費用について、所得税の雑損控除を適用することはできるか、考えを整理しておきたい。雑損控除は、居住者などが有する一定の資産について「災害又は盗難若しくは横領」による損失が生じた場合に認められる所得控除である。単に多額の金銭の負担をした、あるいは想定外の出費であったというだけでは足りず、法律上の「災害」等を原因とする損失であることが必要となる。「災害」は、所得税法2条1項27号で震災、風水害、火災その他政令で定める災害と定義され、施行令9条では、冷害、雪害、干害、落雷、噴火などの「自然現象の異変による災害」、鉱害や火薬類の爆発などの「人為による異常な災害」、害虫・害獣などの「生物による異常な災害」が列挙される。国税庁ホームぺージの解説(注1)でも、雑損控除の対象となる損害原因はこれらに盗難・横領を加えたものに限定されており、その範囲は広くない。では、建物にアスベストが使用されていたことは、「人為による異常な災害」といえるのだろうか。この点が争われた大阪地裁平成23年5月27日判決(注2)では、「人為による異常な災害」というためには、納税者の意思に基づかないことが客観的に明らかで、納税者が関与しない外部的要因を原因とするものであることが必要とされた。さらに、「異常」であるかどうかについては、納税者による予測・回避の可能性、被害の規模や程度、事象の突発性・偶発性などを総合的に考慮して判断すべきとの考え方が示されている。この考え方に照らすと、建築当時は適法に使用されていたアスベストが建物に含まれており、その後の規制強化によって解体時に除去費用が必要になったという事情は、火災や爆発のように外部から突発的に生じる「異常な災害」とは性質を異にする。建築時のアスベスト使用自体に法的な問題がなく、その後の規制強化もアスベストによる健康被害を防止するため一般的に課されたものである以上、これを特定の納税者に生じた異常な災害と評価することは難しい。なお、地震や火災等の災害によって建物が損壊し、その災害に伴って建物の取壊しや除去等が必要となった場合には、その支出について「災害関連支出」に該当するかを別途検討することになる。所得税法施行令206条も、災害により住宅等が滅失、損壊し、またはその価値が減少したことによる取壊し・除去等の支出を災害関連支出としている。したがって、通常の建物解体に伴って生じたアスベスト除去費用については、雑損控除の対象とすることは基本的に困難と考えられる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2011/pdf/11692.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/09/14
修正申告でマイホームを売った時の特例は使えるか
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、一定の要件の下で譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(注1)」がある。所有期間の長短を問わず適用できることから、実務上も利用頻度が高い特例である。しかし、この特例には申告手続上、見落としやすい注意点がある。既に確定申告を済ませている場合、その後の修正申告で3,000万円特別控除を新たに適用することはできないということである。租税特別措置法35条11項は、3,000万円特別控除について、その適用を受けようとする者の「その年分の確定申告書」に、特例の適用を受けようとする旨などの記載があり、かつ、譲渡所得の計算明細書等の添付がある場合に限り適用すると定めている。単に居住用財産を売却し、実体的な適用要件を満たしているだけでは足りず、確定申告書において特例の適用を求めることが必要なのである。ここで重要になるのが、期限後申告と修正申告の違いである。所得税法2条1項は、「確定申告書」(37号)、「期限後申告書」(38号)、「修正申告書」(39号)をそれぞれ別個の用語として定義しており、37号の確定申告書の定義には「当該申告書に係る期限後申告書を含む」と明記される一方、修正申告書はこの定義に含まれない。措法35条11項が要求する「確定申告書」への記載は、この所得税法上の定義に従って判断されることになる。その年分について確定申告を一切行っていなかった者が、法定申告期限後に初めて申告書を提出する場合、その申告は期限後申告書として「確定申告書」に該当する。したがって、この期限後申告において3,000万円特別控除の適用に必要な記載や書類添付を行えば、他の要件を満たす限り、申告期限を過ぎていることだけを理由に特例が否定されるものではない。一方、給与所得など総合課税の所得だけを確定申告し、分離課税となる不動産の譲渡所得を申告し忘れていた場合は事情が異なる。後日、譲渡所得を追加するために提出するものは修正申告書となるが、この修正申告書は所得税法上「確定申告書」には含まれない。そのため、この修正申告によって3,000万円特別控除を新たに適用することは認められない。なお、措法35条12項には、同条11項に定める記載や書類添付がなかった場合について、「やむを得ない事情」があると税務署長が認めるときの宥恕規定が置かれている。ただし、これは通常の申告漏れを広く救済するための規定ではない。どのような事情がこれに該当するかは個別の事実関係によって判断されるため、単なる失念などを前提として適用を期待することは避けるべきである。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/09/07
簡易課税移行時の事業区分ミスに要注意
インボイス制度導入に伴い、免税事業者から課税事業者になった小規模事業者を対象とする「2割特例」は、間もなく適用期限を迎える。特例終了後は、簡易課税制度へ移行する事業者も増えると考えられるが、その際に改めて注意したいのが「事業区分」である。簡易課税制度では、事業区分に応じたみなし仕入率(第1種90%〜第6種40%)を用いて仕入税額控除を計算する。このため、事業区分を誤れば、納付すべき消費税額も誤ることになる。特に注意したいのが、建設業・工事業である。「建設業だから第3種(仕入率70%)」と一律に判断できるとは限らない。建設業は原則として第3種事業に該当するが、製造業等に該当する事業であっても、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」は第4種事業(みなし仕入率60%)となる。消費税法基本通達13-2-7では、他人の原料、材料又は製品等に加工等を施し、その対価を受け取る役務の提供などがこれに該当するとされている。したがって、自己の負担で材料を調達して請け負う工事と、発注者等から材料の支給を受け、実質的に施工・加工の手間賃を受け取る取引とでは、事業区分が異なる場合がある。簡易課税の事業区分は、原則として課税資産の譲渡等ごとに判定するため、同一の事業者が第3種と第4種の双方に該当する取引を行っている場合には、売上げを適切に区分して把握することが重要である。もう一つ具体例として、歯科技工業を挙げたい。歯科技工所が「製造業」として第3種事業で申告したのに対し、税務署が「サービス業」として第5種事業に該当するとして更正処分を行い、争いとなった事案がある。名古屋地方裁判所令和3年3月1日判決(税務訴訟資料271号-30、順号13532)(注1)では、納税者側は、歯科技工所において補てつ物等を製作していることから「製造業」に当たると主張した。しかし裁判所は、日本標準産業分類において歯科技工所が「医療、福祉」に分類されていることや、歯科技工が歯科医療に密接に関連し、専門的知識・技能の提供に付加価値があることなどを踏まえ、第5種事業のサービス業に該当すると判断している。簡易課税の申告に当たっては、実際の契約内容、材料の負担者、請求内容、日本標準産業分類及び基本通達を改めて確認したい。第3種と第4種ではみなし仕入率に10ポイント、第3種と第5種では20ポイントの差があり、区分誤りによる税額への影響は決して小さくない。なお、令和8年度税制改正により、一定の個人事業者については令和9年分及び令和10年分について「3割特例」が設けられた。また、2割特例または3割特例から簡易課税へ移行する場合の届出期限についても特例が設けられている。適用関係は、法人・個人、課税期間等によって異なるため、移行時には併せて確認しておきたい。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2021/pdf/13532.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/08/24
発災直後に確認したい災害見舞金の税務
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生した。発生から1週間が経過し、被災した従業員や取引先へ見舞金を送りたいと考える事業者も多いだろう。ここで気になるのが「見舞金は損金(必要経費)になるのか」という点である。税務上の取扱いは、支給先と支給目的によって異なる。まず、被災した自社の従業員やその親族等に支給する災害見舞金品である。法人が一定の基準に従って支給するものは、福利厚生費として損金の額に算入できる(注1)。国税庁は、この「一定の基準」について、被災した全従業員に対し、被災の程度に応じて支給されるなど合理的な基準であること、かつ、支給額も受給者の社会的地位等に照らして社会通念上相当であることが必要としている。災害前から慶弔見舞金規程を設けていなかった場合でも、今回の災害を機に新たに定めた規程で差し支えない。個人事業主が従業員に同様の基準で支給する場合も、事業上の必要経費となる。受け取る従業員側では、心身または資産に加えられた損害について支払を受ける相当の見舞金は、所得税法第9条第1項第18号および所得税法施行令第30条第3号により非課税となる。例えば、住宅や家財の全壊、半壊、浸水など、損害の程度に応じた客観的な基準で支給額を定めていれば、通常は給与としての源泉徴収を要しない。従業員や役員の親族の被災を理由に支給する場合も、親族関係や被災程度に応じた基準があり、金額が社会通念上相当であれば、所得税基本通達9-23により非課税とされる。次に、被災した取引先に対する見舞金である。通常、取引先への金銭の贈答は交際費等に該当し得る。しかし、被災前の取引関係の維持または回復を目的として、取引先が通常の営業活動を再開するまでの復旧過程で支出する災害見舞金は、租税特別措置法関係通達61の4(1)-10の3により、交際費等に該当しない(注2)。これは単なる慰安や贈答ではなく、取引先の救済を通じて自社の事業上の損失を回避するための費用と考えられるためである。被災の程度や従来の取引状況を踏まえた相応の金額であれば、金額の多寡だけで取扱いが否定されるものではない。一方、取引先「法人そのもの」への復旧支援と、その法人の役員・従業員個人へ個別に支給する見舞金とは、税務上区別して扱う必要がある。後者は原則として交際費等に該当する(自社の専属下請先の役員・従業員に自社の基準で支給する場合を除く)。見舞金は取引先から領収書を受け取りにくいことが想定される。実務上は、支給先、支給日、金額、被災状況、支給目的および決定過程を記録しておくことや帳簿書類に支出先の所在地、名称および支出年月日を記載することが重要である。また、金銭で支払う災害見舞金は消費税の課税対象外であり、支払側の課税仕入れにも、受取側の課税売上げにもならない(注3)。発災直後であっても、合理的な支給基準と最低限の記録を整えることが、迅速な支援と適切な税務処理の両立につながる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/higashinihon/hojin_shohi_gensenFAQ/answer13.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/higashinihon/hojin_shohi_gensenFAQ/answer07.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/higashinihon/hojin_shohi_gensenFAQ/answer12.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/08/17
リベートの税務
取引先から支払われるリベートが、会社ではなく役員や従業員個人に直接渡されることがある。このような場合、当該リベートが会社の収入なのか、それとも個人の収入なのかという帰属の問題が生じる。個人が受領して個人的に費消したというだけで直ちに個人の収入になるわけではなく、支払の経緯、算定方法、受領者の権限、会社の事業との関連性などを踏まえ、実質的に誰に帰属する収益であるかを判断する必要がある。この点を示したのが、大阪地方裁判所令和元年12月5日判決(注1)である。本件では、不動産会社が広告宣伝業務を委託していた取引先に支払った広告宣伝費の一定割合について、約30年にわたり、発注権限を有する担当者に対してバックリベートが現金で支払われ続けていた。受領者は当初専務、次いで営業部長という立場であったが、最終的にはその者が代表取締役に就任した後も支払いは継続された。会社は、代表者が個人的に受領し、経理担当者にも知らせず費消していたことなどを理由に、会社の収益ではないと主張した。しかし裁判所は、リベートが取引関係を円滑に維持する目的で長年継続的に支払われ、その金額も会社が負担した広告宣伝費を基準に算定されていたこと、受領者が発注権限を有する立場にあったことなどを重視し、法人に帰属すると判断した。受領者が会社に無断で個人的に費消していたという事実は、この結論を左右しないとされている。収益の計上時期については、実際に現金を受け取った日ではなく、収入すべき権利が確定した日の属する事業年度に益金算入することとなる。いわゆる権利確定主義である。本件では、会社から取引先への広告宣伝費の支払日に対応してリベート相当額が引き出されていたことから、遅くともその時点で受領権が確定していたと認定された。代表者がリベートを着服した場合、会社には損失が生じる一方、代表者に対する同額の損害賠償請求権も発生する。本件では、代表取締役が会社の業務に関して、その意思に基づいて行った行為であったことから、権限の濫用があったとしても会社の行為と評価された。そのため、会社にとって損害賠償請求権の存在および内容は明らかであり、リベート相当額の損失を損金算入すると同時に、同額の損害賠償請求権を同一事業年度の益金に算入すべきものとされた。したがって、本件では両者が所得計算上相殺され、「使い込まれたから会社の収入ではない」という主張は認められなかった。本件で特に注意すべき点は、リベートを帳簿に一切記載しなかった行為が、単なる計上漏れではなく、取引の一部を隠蔽して記載したものと評価されたことである。これにより、法人税法127条1項3号に基づく青色申告承認取消処分が適法とされた。実務では、リベートの名目や受取人だけで判断せず、取引条件との関係、算定根拠、発注権限、資金の流れを確認し、適切な時期に法人の収益として計上することが重要である。リベートの問題は、単なる仕訳の問題ではなく、会社の内部統制や役員管理にも直結する論点といえる。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2019/pdf/13352.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/08/10
重加算税における「特段の行動」とは何か
重加算税は、申告内容が誤っていたというだけで直ちに課されるものではない。国税通則法第68条第1項は、過少申告加算税が課される場合において、納税者が税額計算の基礎となる事実の全部又は一部を「隠蔽し、又は仮装し」、その隠蔽・仮装したところに基づいて申告書を提出したときに、重加算税を課すと定めている。単なる計算誤りや法令解釈の相違と、隠蔽・仮装を伴う過少申告とは区別されなければならない。この判断において重要なのが、最高裁判所第二小法廷平成7年4月28日判決で示された「特段の行動」という考え方である。同判決は、架空名義の利用や資料の隠匿といった積極的な工作が常になくても、納税者が当初から所得を過少に申告する意図を有し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をした場合には、賦課要件を満たし得ると判示した。もっとも、「過少申告するつもりであった」という内心だけで重加算税を課すことはできない。特段の行動とは、その意図が帳簿、証憑、資金管理、取引先とのやり取りなど客観的な行為に表れていることを求めるものである。国税庁の事務運営指針では、二重帳簿の作成、帳簿書類の破棄・改ざん、取引先との通謀、架空名義による資産の保有などが、隠蔽・仮装に該当する行為の例として挙げられている。一方、国税不服審判所平成27年7月1日裁決は、収支内訳書に根拠のない金額を記載した行為について、それは過少申告行為そのものであり、特段の行動があったとまでは認められないと判断した。この裁決からは、申告書等の記載が誤っていることと、その誤りに至る過程で隠蔽・仮装に当たる行動があったこととは、区別して検討すべきことが分かる。実務上は、申告書の記載だけを見るのではなく、申告に至るまでの一連の行為を確認する必要がある。原始資料が保存されていたか、帳簿が意図的に書き換えられていないか、除外した売上に対応する資金を別途管理していないか、税理士に虚偽の資料や説明を提供していないかなどを、総合的に検討すべきである。「特段の行動」は、重加算税の範囲を無限定に広げるための概念ではない。過少申告の意図が客観的な行動として表れ、それを隠蔽又は仮装と評価できるかを慎重に見極めるための判断枠組みである。行為の態様、帳簿・証憑の保存状況、資金の流れ、申告に至る経緯によって結論が個別に異なる点に、留意が必要である。https://www.kfs.go.jp/service/JP/100/02/index.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/08/03
退職金か賞与か
役員退職金は、法人税法上、役員給与の中でも例外的に損金算入が認められる性格を有する。これは、退職金が在任期間中の職務執行に対する功績や貢献に報いる「後払い」としての性質を持つためである。しかし、この取扱いが認められるのは、あくまでも役員が「退職した」という事実が存在する場合である。問題となるのは、役員が形式的には代表取締役を退任しながら、実質的には会社経営に関与し続けるケースである。このような場合、支給した金員が「退職金」や「退職慰労金」という名称であっても、法人税法上の退職給与には該当せず、役員給与として取り扱われ、損金算入が否認される可能性がある。この考え方は、法人税基本通達9-2-32にも示されている。同通達では、役員の分掌変更又は改選による再任等に際して支給した給与について、その役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合には、退職給与として取り扱うことができるとしている。具体例として、常勤役員が非常勤役員となった場合、取締役が監査役となった場合、分掌変更後の給与がおおむね50%以上減少した場合が挙げられている。しかし、これらはあくまでも例示であり、形式的な判定基準ではない。通達上も、非常勤役員や監査役となった場合であっても、実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている者は除かれている。また、給与が激減した場合についても、分掌変更後においてなお経営上主要な地位を占めている者は対象外とされている。したがって、報酬が半減したという事実だけで退職給与に該当するわけではなく、職務内容や経営への関与状況を含め、実態に即して判断する必要がある。この点が争われた裁判例が、東京地方裁判所平成29年1月12日判決(注1)である。本件では、代表取締役を退任して取締役兼相談役となった前社長に対し、退職慰労金約5,610万円が支給された。退任後、同人は毎日出社を続け、営業会議・合同会議の出席は取りやめたものの、代表者会議への出席は継続していた。また、会議の議事録や稟議書の「相談役」欄への押印を続け、必要に応じて助言を行っていたほか、取引銀行の担当者と単独で面談・交渉し、親会社との利害調整、後任社長への指導、従業員の賞与査定などにも関与していた。月額報酬は205万円から70万円へと約3分の1まで減額されていたが、裁判所は、このような実態から、会社の経営上主要な地位を占めていたと認定し、退職給与には該当しないと判断している。税務上の「退職」は、肩書や報酬額だけで判断されるものではないことをこの判決は示している。分掌変更に伴い退職慰労金を支給する場合には、経営への関与が実質的に終了していることを客観的に説明できるかを慎重に検討すべきである。退職給与として損金算入できるかを分けるのは、名称ではなく、退職の実態である。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2017/pdf/12952.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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