税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2026/04/27
決算賞与が当期の損金として認められる要件とは
決算期を迎え、業績が好調だった年には、従業員への還元を兼ねて決算賞与の支給を検討する会社は少なくない。しかし、その処理を誤ると、支給した賞与が当期の損金に算入できないという事態になりかねない。決算賞与は「支払う予定」で足りるものではなく、税務上の要件を満たすことが不可欠である。使用人賞与の損金算入時期は、原則として実際の支給日が属する事業年度であるが、一定の要件を満たす場合には未払計上による当期損金算入が認められる法人税法施行令72条の3)。実務上重要なのは、同条第2号に定めるいわゆる「通知基準」であり、各使用人ごとに支給額を具体的に通知し、その事業年度終了日の翌日から1か月以内に支払うこと、かつ当期に損金経理を行うことが求められる(注1)。この要件は形式的なものではなく、充足しない場合にはその時点で当期損金算入は否定される。また、「通知」が有効と認められるためには、期末時点で債務が確定していることが前提となる。例えば、「支給日に在職する者に限り支給する」といった条件がある場合には、支給日まで権利が確定しないため、事前通知は税務上の通知とは認められない(法人税法基本通達9-2-43)。この点は東京地裁平成24年7月5日判決(税資262号順号11987)(注2)においても確認されている。同判決は、期末までに個人別の支給額通知がなされておらず、かつ1か月以内の支払いもなかった事案につき、施行令の要件を充足しないとして損金算入を否認した。さらに、支給額の決定自体が事業年度終了後であったことから、期末時点で債務は成立していないとして、一般原則からも損金算入を認めなかった。したがって、実務では、期末までに個人別の支給額を確定し、その内容を書面等により客観的かつ個別に通知した上で、期末翌日から1か月以内に通知額どおり支払う体制を整備することが不可欠である。また、就業規則や賞与規程、個別通知書、社内決裁資料等を整合的に保存し、税務調査において説明可能な状態を確保しておく必要がある。なお、賞与に係る社会保険料の会社負担分については、賞与を支払った月の末日時点における従業員の在籍状況により納付義務が確定する仕組みである(法人税基本通達9-3-2)。したがって、決算期末に未払計上した賞与について翌期に支払う場合には、期末時点で当該保険料の債務は確定しておらず、未払計上しても当期の損金には算入されない。賞与本体とは異なる取扱いとなる点に留意が必要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5350.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2012/pdf/11987.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/20
非営利法人における収益事業課税
「NPO法人などの非営利団体は税金がかからない」と誤解されることがある。しかし、この理解は正確ではない。確かにNPO法人等は法人税法上、公益法人等として取り扱われるが、「非営利=非課税」ではない。法人税法は、公益法人等であっても「収益事業」を行う場合には、その部分について法人税を課すと定めている(法人税法4条)。収益事業とは、法人税法施行令5条1項に列挙された物品販売業、不動産貸付業、出版業など34業種について、継続して事業場を設けて営むものをいう。判断において重要なのは、「非営利」という事業の目的ではなく、「事業の実態」である。社会的意義の高い活動であっても、対価を得て継続的に行われる経済活動であれば、収益事業に該当し得る。この点を理解する上で参考となるのが、平成28年3月29日東京地裁判決税務訴訟資料第266号-57(順号12835)(注1)である。原告であるNPO法人は、建物貸付事業、ホテル運営、魚の養殖販売、地域情報誌の発行など複数の事業を展開していた。裁判所は、建物貸付事業については入居者との賃貸借契約に基づく家賃等収入を重視して不動産貸付業に当たるとし、地域情報誌の発行事業についても広告掲載料収入を得るフリーペーパーとして出版業に当たると判断した。他方、ホンモロコ事業については、帳簿上確認できる販売が農林業等として整理されることに加え、イベント販売も継続的な物品販売業と認めるに足りる立証を欠くとして、収益事業には当たらないとされた。このように、一つの法人が複数の事業を営む場合であっても、事業ごとに課税・非課税の判断が分かれることを明確に示した点に本判決の意義がある。実務上は、これらの判断を前提として、収益事業と非収益事業を区分した経理処理を徹底することが不可欠である。なお、公益法人については令和7年4月1日以後に開始する事業年度から新たな公益法人会計基準が適用されるとされており(施行後一定期間は特例的な取扱いあり)、収益事業に係る経理区分の重要性は今後さらに高まると考えられる。もっとも、当該会計基準の適用範囲については個別の法人類型ごとに確認を要する点に留意が必要である。以上のとおり、非営利法人であっても、その活動内容によっては課税関係が大きく異なる。名称や目的にとらわれず、事業の実態に即した判断を行うことが、適正な税務対応の前提となる。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2016/pdf/12835.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/13
共同親権と税制の取扱い
令和8年4月1日から、離婚後の子の親権について「共同親権」を選択できる制度が施行された(注1)。この制度導入により税制や公的支援の取扱いが大きく変わるのではないかと懸念する声もある。しかし結論からいえば、日本の税制や社会保障制度は「親権の形式」ではなく、「所得」「生計関係」「監護の実態」などを基準に設計されているため、共同親権が導入されたことによって直ちに税務上の取扱いが変更されるわけではない。この制度は、令和6年法律第33号による民法等改正により創設されたものであり、離婚後の親権について父母双方を親権者とする選択肢を認めるものである。従来、日本では離婚時には父母のいずれか一方のみを親権者とする単独親権が採用されていたが、改正後は父母の協議または家庭裁判所の判断により、父母双方を親権者とすることが可能となった。ただし、虐待やDVのおそれがある場合など、共同親権が子の利益に反すると認められるときは単独親権とされるなど、子の利益を最優先とする枠組みは維持されている。この改正を踏まえ、税務上問題となるのが、離婚後の養育費や扶養控除(注2)の取扱いである。まず養育費については、子の生活費や教育費として通常必要と認められる範囲の金銭であれば、受け取った側に所得税は課されない。また、通常の生活費・教育費の範囲内で支払われるものは贈与税の課税対象ともならない(注3)。これらの取扱いは共同親権の有無によって変わるものではない。なお、養育費については、扶養義務者から生活費や教育費として通常必要と認められる範囲であれば贈与税の課税対象とはならないが、一括で多額の金銭を受け取る場合には、その金額が生活費・教育費として通常必要な範囲を超えると判断され、贈与税が課される可能性があるため注意が必要である。次に扶養控除である。所得税法上、扶養控除の対象となる扶養親族の要件としては、「納税者と生計を一にする」こと、および合計所得金額が一定額以下であること等が定められており、親権の有無は要件とはされていない。したがって、子の生活費や学費などを継続的に負担しており、実質的に生計を一にしていると認められる場合には、別居親であっても扶養控除の対象となり得る。ただし、一人の子を父母双方が同時に扶養控除の対象とすることはできないため、実務上はどちらが扶養控除を適用するかをあらかじめ整理しておく必要がある。さらに、公的支援制度の取扱いも基本的には同様である。例えば児童扶養手当は、法律上「児童を監護している者」を基準に支給対象者が判断され、所得制限も受給者本人の所得を基準として判定される仕組みである。また、障害児支援や特定疾病医療費助成などの医療費助成制度についても、世帯所得や医療保険単位を基準として自己負担上限が決定される制度設計となっている。<注釈>https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/06
青色事業専従者給与の適正額
青色事業専従者給与(注1)は個人事業主にとって強力な節税制度であるが、その給与額は「労務の対価として相当」と認められる範囲に限り必要経費に算入される。届出さえ提出していれば自由に金額を設定できるわけではなく、過大部分は必要経費不算入となる。実務上は、この「相当性」の立証が最大の論点となる。所得税法第57条第1項が定める必要経費算入要件は、以下の3つである。その年の3月15日まで(開業が後の場合は開業後2か月以内)に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、変更の都度「変更届出書」を遅滞なく提出していること。生計を一にする配偶者その他の親族(15歳以上)が、その年を通じて6か月超、専ら当該事業に従事していること(所得税法57条1項、所得税法施行令165条)。給与額が「労務の対価として相当と認められる金額」の範囲内であること。このうち1および2は確認が比較的容易であるのに対し、3は法律上明確な基準が定められておらず、税務調査や訴訟において争点となることが少なくない。「届出さえ出せばよい」という誤解が根強い中、その危険性を明確に示したのが令和4年12月9日長野地裁判決(税務訴訟資料第272号(順号13785))(注2)である。本件は、開業医が看護師資格を有する配偶者に年額1,800万円の専従者給与を支給したとして申告したのに対し、課税庁が推計計算により適正額を算出のうえ更正処分を行った事案である。当初月額20万円であった給与は、短期間に30万円、45万円、70万円、80万円、100万円と段階的に増額され、賞与を含め年額1,800万円に達していた。しかし、各増額時点において業務内容や責任範囲の拡大を裏付ける客観的資料は存在せず、裁判所は、課税庁が地域の看護師給与水準等を基礎として推計計算により適正額を算出したことは合理的であると判断し、約800万円を適正給与相当額と認定した。本判決が示すのは、青色事業専従者給与においては形式的要件の充足だけでなく、給与水準の合理性を客観的資料により説明できることが不可欠であるという点である。特に給与額を増額する際には、職務内容や責任範囲の変化を説明できる資料を整備しておくことが重要である。職務分掌書、勤務時間の記録、同業他社の給与水準に関する資料などを保存しておくのが、過大給与否認リスクへの有効な備えとなる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2022/pdf/13785.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/03/23
輸出免税の基本と実務
国外で消費される取引には課税しない仕組みを採用している。この考え方に基づき、消費税法7条1項は「本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け等」について消費税を免除する制度を設けている。これがいわゆる輸出免税(注1)である。輸出取引は課税売上に該当しつつ税額が免除されるため、対応する仕入税額控除を受けることができ、結果として仕入消費税の還付が生じる場合もある。この点から、輸出事業者にとって輸出免税は極めて重要な制度である。ただし、この免税が適用されるためには、実体的要件と手続的要件の両方を満たす必要がある。実体的要件とは、取引が「輸出として行われる資産の譲渡等」に該当することである。つまり、資産の譲渡と輸出行為が一体として行われる取引でなければならないということである。手続的要件としては、輸出許可書等の税関長が証明する書類を保存することが求められており、これらの書類は課税期間末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要がある。実務上、しばしば見受けられる誤解に、「商品が最終的に海外に渡れば輸出免税になる」というものがあるが、消費税法上の輸出免税は、単に国外に持ち出された結果のみで判断されるものではない。重要なのは、当該資産の譲渡が輸出取引として国外への搬出と一体で行われているかという点である。この点を明確に示した裁判例として、いわゆる中古自動車輸出事件(大阪地裁平成21年12月3日判決)がある(注2)。本件では、中古自動車販売業者が国内の販売スペースにおいてロシア人船員らに中古車を販売し、その後、購入者が携帯品・別送品として国外に持ち出していた。事業者は国外で消費される取引であるとして輸出免税の適用を主張したが、裁判所はこれを認めなかった。判決は、当該取引は国内で自動車を譲渡した後に購入者が持ち出したにすぎず、「輸出として行われる資産の譲渡」には該当しないと判断した。また、輸出免税の適用には税関長の証明書類の保存が必要であり、これを欠く場合には同制度の適用は認められないとも判示している。実務においては、外国人や海外事業者との取引であっても、国内で取引が完結している場合には課税取引となる可能性がある。また、輸出取引であっても輸出許可書等の証明書類を保存していなければ免税の適用は受けられない。さらに、訪日外国人向けの免税制度である「輸出物品販売場(注3)」(消費税法8条)とは制度趣旨や適用要件が異なるため、両制度を混同しないことも重要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2009/pdf/11341.pdfhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/0523.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/03/16
税務調査対応と投資収益の認識
今回取り上げるのは、海外の投資商品(FX運用口座)から生じた利益の計上時期と、これに先立つ税務調査の違法性が争われた事案である(令和5年10月27日東京地裁判決・税務訴訟資料第273号順号13896)(注1)。納税者は海外の資産運用サービスを通じてFX等の取引を行い相当額の利益を得ていたが、これを申告していなかった。所轄税務署は調査の結果、所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を行い、納税者が取消しを求めたものである。まず問題になったのは、調査手続きの違法性である。納税者は、事前通知が不十分であったこと、調査官が複数回にわたり電話をかけ、突然自宅を訪問したこと、体調不良を訴えたにもかかわらず書類提出を急かす発言をしたことなどを挙げ、憲法31条の法意に反する重大な違法があると主張した。これに対し裁判所は、調査手続に瑕疵があったとしても、それが直ちに課税処分の取消事由となるものではないとの従来の枠組みを前提とした。そして、調査の手続が刑罰法規に触れ、公序良俗に反し、または社会通念上相当な限度を超えて濫用にわたるなど重大な違法を帯び、実質的に「何らの調査なしに更正処分をしたに等しい」と評価できる場合に限り、処分は違法になると判示した。この判断は手続上の不備が常に処分取消しに直結するわけではないことを改めて示すものである。調査の現場では、調査が不意打ち的に行われたことに対する不満や心理的負担から、調査の必要性や相当性を強く争いたくなる場面もある。しかし、調査手続きの瑕疵の主張のみによって処分が覆る可能性は限定的であることを踏まえて冷静に対応する姿勢が必要である。もちろん、調査官の言動が社会通念上相当な限度を超えていないかを観察し、調査の経緯を記録に残すことは重要である。次に、海外FX運用口座の利益をいつ雑所得の総収入金額に計上すべきかが争われた。所得税法36条1項は、収入金額はその年において収入すべき金額とすると定めており、判例・実務はこれをいわゆる権利確定主義として解している。納税者は、投資商品の償還期限は将来であり、日々の損益は確定していないと主張した。しかし、本件口座は、IDとパスワードにより随時ログインして取引履歴や損益状況を確認でき、償還期限前でも出金が可能な仕組みであった。裁判所は、このような実態を踏まえ、各取引日において収入の原因となる権利が確定していたとして、その年分の雑所得に算入すべきであると判断した。「まだ出金していないから申告は不要である」「投資期間が終わった後でまとめて申告すればよい」という理解は適切ではない。現在は確定申告期であり、海外の投資商品や暗号資産、各種オンライン取引を通じて利益を得ている場合には、権利が確定した時点で課税関係が生じることを前提に、申告義務の有無を慎重に確認し、期限内に適正な申告を行う必要がある。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2023/pdf/13896.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/03/09
免税事業者が課税事業者となる場合の棚卸資産の調整について
消費税の免税事業者が課税事業者となる場合、課税事業者になる以前に仕入れた棚卸資産の取扱いには注意が必要である。一定の要件を満たせば、免税期間中に仕入れた棚卸資産についても、課税事業者となった課税期間において仕入税額控除の対象とすることができる。確定申告の際に見落としが生じないよう、制度の内容を正確に把握しておきたい。免税事業者は消費税の申告納税義務が免除されているため、仕入時には消費税と本体価格を区分せず、税込金額をそのまま仕入原価として処理する。その結果、期末に在庫として残る棚卸資産は、消費税相当額を含んだまま計上されることとなる。その後、免税事業者から課税事業者に転換した後にこの棚卸資産を販売すると、売上に係る消費税は申告・納税の対象となる。しかし、対応する仕入について仕入税額控除が行われなければ、同一の取引に対して消費税を実質的に二重に負担することとなり、納税者に不合理な負担が生ずる。この不均衡を調整するため、消費税法第36条第1項では、免税事業者が課税事業者となった場合において、課税事業者となる日の前日に所有する棚卸資産については、免税期間中の課税仕入れであっても、当該課税期間における課税仕入れとみなす旨を規定している。これがいわゆる「棚卸資産に係る消費税額の調整」(注1)である。対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているものをいう。適用に当たっては、棚卸資産の品目、数量、取得価額等を記載した明細書を作成し、法定保存期間である7年間保存する必要がある。また、簡易課税制度を選択している場合には、原則としてこの調整は適用されない点にも留意が必要である。令和5年10月1日から開始された適格請求書等保存方式の下では、仕入税額控除の要件として適格請求書の保存が求められる。免税期間中の仕入についても控除の適用を受けるためには、請求書の保存状況を事前に確認しなくてはならない。適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れについては、経過措置として一定割合による控除が認められており、仕入時期に応じて80%または50%の控除割合(注・2026年税制改正予定)を適用する必要がある。なお、課税事業者が免税事業者となる場合には逆の調整が必要となる。免税事業者となる日の前日の属する課税期間において、期末棚卸資産に含まれる消費税相当額を仕入税額控除から差し引く調整を行わなければならない。これは、課税期間中に仕入税額控除の適用を受けながら、免税事業者となった後の売上については納税義務を負わないという不均衡を防ぐためのものである。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6491.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/03/02
事業所得と給与所得の区分ルール
所得税法上、事業所得(注1)とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性および有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。これに対し、給与所得(注2)とは、雇用契約等に基づき、使用者の指揮命令に服して提供する労務の対価として受け取る所得をいう。とりわけ、給与支払者との関係において、空間的・時間的な拘束を受けつつ、継続的または断続的に労務や役務の提供が行われ、その対価として支給されるものであるかどうかが重要な判断要素となる。また、事業所得と給与所得の区分は、契約の形式や名称、あるいは当事者の主観的な認識のみによって決せられるものではない。あくまで、業務の実態に即した客観的判断が求められる点に留意すべきである。例えば、弁護士が受け取る毎月定額の顧問料は、業務量の多寡によって金額が変動しないことから、一見すると給与のようにも見える。しかし、一般には給与所得ではなく、事業所得に該当する場合が多い。実際、弁護士が当該報酬を給与所得として申告したところ、事業所得に該当するとして否認された事例(最判昭和56年4月24日・民集35巻3号672頁)がある。これとは逆に、事業所得として申告されたものが給与所得に該当すると判断された事例として、令和5年6月22日名古屋地方裁判所判決(税務訴訟資料第273号・順号13859)(注3)がある。本件では、医師が複数の医療機関から健康診断業務の対価として受け取った報酬について、勤務日時や場所が医療機関側によって指定されていたこと、業務遂行に必要な設備や備品が医療機関側で用意されていたこと、さらに医療事故に関する実質的な責任主体が医療機関側にあったことなどが重視され、給与所得に該当すると判断された。税務調査の場面では、納税者自身の所得区分が事業所得か給与所得かという点のみならず、その納税者に対して支払いを行う側の調査において、所得区分が問題とされるケースも少なくない。例えば、いわゆる一人親方について、事業所得として確定申告がなされていたものの、実態としては請負契約や業務委託契約に基づくものではなく、常用工として時間管理の下で支払われているとして、税務署が給与所得と認定するケースである。確かに、特段の仕事道具を必要とせず、材料の支給を受けて現場作業を行っているような場合には、給与所得に該当する可能性が高いといえる。また、税務署の立場からすれば、外注費を給与として認定することにより、消費税の課税仕入れを否認できる点で都合がよい側面もある。もっとも、現場の実情によっては、必ずしも継続的に仕事を確保できるとは限らず、たとえ高額な仕事道具を必要としない場合であっても、現場までの車両を自己負担で用意し、交通費の支給も受けられないといった事情が存在することも多い。また、他の事業者からの依頼に応じて業務を行うことに制限がないことや、近年ではインボイス発行事業者として登録するなど、対外的に事業者であることを示す行動を取るケースも見受けられる。事業所得と給与所得の区分は、個別具体的事情の総合判断によるものであり、単一の要素のみで結論が導かれるものではない。契約内容と実態との乖離がないかを慎重に検討し、判例や通達を踏まえた適切な対応が求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1400.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2023/pdf/13859.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/02/16
事業所得と雑所得の区分ルール
令和4年度税制改正により、事業所得と雑所得の区分について「300万円」という金額基準が設けられた。これは所得税法に金額要件が明文化されたものではないが、所得税基本通達(注1)により、収入金額が概ね300万円以下の場合には、原則として雑所得と整理するという実務上の判断枠組みが示されたものである。もっとも、300万円という金額のみで機械的に区分されるのではなく、帳簿書類の保存や事業としての実態を踏まえ、総合的に判断される点が重要である。事業所得と雑所得の最も大きな違いは、損益通算の可否にある。事業所得については、赤字が生じた場合、給与所得や不動産所得など他の所得と損益通算することが認められる。一方、雑所得については、他の所得との損益通算は一切認められていない。事業所得についてのみ損益通算が認められているのは、所得税法及び同法施行令が想定する「事業」については、一定程度の安定した収益が期待できる活動であることを前提としているためである。仮に一時的に損失が生じたとしても、他の所得との損益通算をすることによって損失を分散し、その事業、そのなかでも特に生活の資となるような事業の継続を図る必要があるからである。他方、趣味的、余技・余業的色彩の強い所得については、そのような保護の必要性が乏しいことから、雑所得として損益通算を認めない取扱いとされている。事業所得として認められるか否かは、営利性・継続性・反復性といった従来の要素に加え、自己の危険と計算による企画遂行性、人的・物的設備の有無、相当な労力の投下状況、社会的客観性、将来にわたる収益獲得可能性などを総合的に考慮して判断される。特に、投機性・射幸性の高い活動については、取引規模が大きく、多額の資金を投入していたとしても、事業所得とは認められない可能性が高い点に注意が必要である。この点について、岡山地裁平成21年2月17日判決(注2)では、重要な判断が示されている。本件は、有価証券先物取引を行っていた納税者が、当該取引から生じた損失は事業所得の損失であるとして、不動産所得等との損益通算を求め、更正の請求を行った事案である。納税者は、多額の資金を用いて年間数百億円規模の取引を継続的に行い、専用のディーリングルームを設置し、1日の大半を取引に費やしていた。しかし裁判所は、先物取引の投機性の高さ、長期的に見た収益の不安定性、当該取引が生活の主たる資とは評価できない点などを重視し、当該所得は事業所得ではなく雑所得に該当すると判断している。併せて、事業所得にのみ損益通算が認められる理由は、安定した収益が期待できる事業の継続を保護する点にあることを判示している。確定申告実務においては、本業が別にある場合の副業について、収入が300万円以下であれば原則として雑所得となることを前提に検討する必要がある。特に、ネットオークションやアフィリエイト収入などについては、継続性や事業性の程度を慎重に見極めたい。また、帳簿書類を適切に作成・保存しているか、事業として社会的に認識し得る客観性があるかといった点も含め、形式ではなく実態に即した総合判断が求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdfhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2009/pdf/11143.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/02/09
生計を一にするとは
確定申告期になると、「この親族は扶養に入れられるのか」「医療費控除の対象となるのは誰の医療費か」といった相談が多く寄せられる。配偶者(特別)控除、扶養控除、特定親族特別控除、障害者控除、医療費控除などは、その適用にあたり「生計を一にする」ことが前提とされているためである。「生計を一にする」ことについて、所得税法上に明文の定義規定は設けられていないが、一般には、同一の家計のもとで日常生活の資を共にしている状態をいうものと解されている。そして、所得税基本通達2-47(注1)が示すとおり、勤務や就学、療養等の都合により別居している場合であっても、余暇には起居を共にし、かつ、常に生活費、額資金、療養費等の送金が行われているときには「生計を一にする」ものとして取り扱われる。例えば、地方在住の親が、都市部の大学に通う子に対して毎月継続的に仕送りを行い、学費や生活費の大部分を負担している場合、その子は親と別居していても生計を一にしている親族に該当し、所得要件等を満たせば扶養控除の対象となる。特に近年、実務上の留意点として挙げられるのが、国外居住親族に係る扶養控除等の適用(注2)である。留学中の子や海外に居住する親族を扶養控除の対象とする場合には、親族関係書類及び送金関係書類等の提出(または提示)が求められる。ここでいう「送金」とは、単に海外の大学に対して授業料を直接支払ったといった事実では足りず、生活費または教育費に充てるため、為替取引等により扶養親族本人に送金したことが明らかな書類を要する。また、複数の国外居住扶養親族に対して代表者一人にまとめて送金した場合には、その送金関係書類を全員分として取り扱うことはできず、各人に対する送金の事実が個別に確認できることが必要である。離婚後、別居する子に対して養育費を支払っている場合に、「生計を一にしているのはどちらの親か」が父母間で問題となるケースも少なくない。たとえ親子が別居したとしても、同居親の収入が少なく、別居親の養育費によって生活費の大部分が賄われているような場合には、「生計を一にしている」ものとして取り扱われる。しかし、所得税基本通達2-47が示すとおり、常に送金が行われていることが前提であり、一時的に金銭を渡すにとどまる場合には、贈与として扱われる可能性がある。また、送金の内容が生活費、学資金、療養費等に該当することが必要であり、慰謝料など性質の異なる金銭が含まれている場合には、慎重な判断を要する。医療費控除との関係では、別居している親族であっても、生計を一にしていると認められれば、実際に医療費を負担した者が控除の適用を受けることができる。例えば、郷里で一人暮らしをする母親が、子からの仕送りにより生活している場合には、両者は生計を一にしているものとされ、子が負担した医療費は医療費控除の対象となる。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01/07.htm#a-05https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/kokugai/index.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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