経営研究リポート

MJS税経システム研究所・経営システム研究会の顧問・客員研究員による中小・中堅企業の生産性向上、事業活性化など、経営に関する多彩な各種研究リポートを掲載しています。

うつ病と労災〜リスク対策〜1.増え続ける「心の病」最近、セクハラやパワハラ等職場のストレスから精神疾患を患い、最悪の事態では自殺にまで至ってしまうという事件を、よく耳にするようになりました。2007年10月にも、初めてパワハラによって発症したうつ病での自殺に労災認定がなされたばかりです。(平成19年10月15日東京地裁)経済・産業構造の急速な変化や、成果主義・能力主義といった人事労務管理手法の導入が進む中、管理する...
1.相続対策は必要だが中小企業の後継者が事業を引き継ぎやすくする「事業承継税制」が論議されている。相続税の負担軽減を柱とするもので、政府・与党は年末までに詳細を詰めたうえで来年の通常国会に提出、08年度税制改正で導入を目指す方針だと報じられている。中小企業の「相続対策」自体は必要だし、むしろ遅きに失したくらいである。だが、明らかにされている内容を見るかぎり、抜本的な中小企業対策にならないばかりか、体力の弱った企業をさらに苦境に追い込む可能性さえあると警告し...
本当にできるのか?〜飲酒運転での懲戒解雇〜「事故を起こさなくても飲酒運転が発覚しただけで懲戒解雇がありうる」そう答える企業が増えてきました。民間企業でも、飲酒運転に対する厳罰ルール化が浸透し始めています。刑法でも、飲酒運転で人を死傷させた者への罪が重くなったり、道路交通法でも飲酒やひき逃げに関する罰則が強化され、事故を発生させてしまえば、以前よりも厳しい社会的責任をとらされることになりました。企業での処分の厳罰化を煽るものは、2006年夏、幼児3人が死亡し...
1.政治団体と企業は違う自民党が大敗した先の参議院選挙でも争点となった「政治と金」の問題だが、今度は、民主党小沢一郎代表に関する不明朗な事態が表面化するなど、まだまだ広がりを見せそうな気配である。国の将来を左右するような重要案件、法案が目白押しの状況下、こうした問題には、1日も早くキチンとケリをつけてもらいたいものだ。論点のひとつが政治資金規正法の改正だ。監査をシッカリやるのは当然として、政治団体の収支報告を、すべ...
1.新総理に期待する“ポスト安倍”の新総理に福田康夫氏が決まった。豊かな経験も生かして、国の将来を過たぬよう指導力を発揮してもらいたい。小泉政権来の構造改革は、たしかに経済の活性化をもたらしたと思うが、一方で市場原理の導入や効率化一辺倒の政策によって、中小企業や労働者が切り捨てられたのも事実だ。最低限、すべての人がフツーに日常生活を送れるだけのインフラが、築かれた上での競争ならばいいのだが、現状ではその保証はない。...
1.「風」を吹かせたのは先に行われた参議院選挙で、政権を担う自民党は歴史的な敗北を喫し、同院では与野党逆転となった。年金問題や相次ぐ閣僚の不祥事、不適切発言への批判が予想を超えて野党第一党の民主党に流れた結果だが、従来磐石とされてきた地方・農村部での惨敗ぶりには、とりわけ驚かされた。自民党にとっては、論功行賞的な閣僚人事があだとなり、また地方戦略の不備を露呈した選挙だったといえるだろう。ところで新聞などは、この結果...
1.政治の混迷はつづく参議院選挙では年金問題が最大の争点になった。たしかに年金制度は重大な問題だが、憲法改正といった国の基本にかかわるテーマが後景に退いてしまったのは残念でならない。個人的には打つべき手を打てば、“消えた年金記録”は早期に「修復」できると思っている。政府は、解決のプロセスをもっと丁寧に、かつ、わかりやすく国民に説明すべきだったのではないだろうか。また、いたずらに不安、不信感を増幅するような報道に終始した、マスメディアにも責任があると思う。
1.仕組みだけではダメ安倍内閣の支持率が低迷している。年金問題、農水相の自殺といった問題が響いているのは事実だが、私にはそもそもの人事の失敗が、傷口を広げる結果になっているように思えて仕方ない。若いトップをベテランがサポートするという、本来あるべき組織になっていない。すなわち“火消し役”がいないために、あらゆる火の粉が、ストレートに首相の身に降りかかる構造になっているのではないか。適材適所、これが大切なのだ。企業に...
1.まだ残る「古さ」外国企業が日本に設立した子会社を通じて日本企業を買収することを可能にする「三角合併」(消滅会社の株主に対し、対価として存続会社の親会社の株式を交付する合併)の解禁にともなって、M&Aがにわかに注目されている。上場企業は外資による買収を恐れて、対応策に追われている。また、非上場の中小企業にとっても、大企業などによるM&Aは、昔と違って他人事ではなくなっている。ただ企業規模の拡大を追い求めるような、...
1.「必要悪」の内部告発不二家の一件がようやく収束に向かったと思ったら、電力会社の発電所「事故隠し」が発覚するなど、企業の不祥事が依然として後を絶たない。情けないことである。ところで、こうした企業不祥事は、社員などの内部告発によって明らかになっているケースが多い。この内部告発増加の背景には、04年に「公益通報者保護法」が制定され、告発者が組織のなかで不利益な扱いなどを受けることがないよう、守られるようになったこともあるだろう。