経営研究リポート

MJS税経システム研究所・経営システム研究会の顧問・客員研究員による中小・中堅企業の生産性向上、事業活性化など、経営に関する多彩な各種研究リポートを掲載しています。

月60時間以上の残業代引き上げ
月60時間以上の残業代引き上げ「労働基準法の一部を改正する法律案」が、平成20年12月5日、一部を修正して参議院で可決、成立しました。この法案は、「労働契約法案」「最低賃金法の一部を改正する法律案」とともに、平成19年3月に国会に提出されていたものです。「労働契約法案」「最低賃金法の一部を改正する法律案」は平成19年秋に成立、すでに施行されていますが、「労働基準法の一部を改正する法律案」はなかなか進みませんでした。本案は長時間労働を抑制し、労働者の健康を確...
1.2兆円では温まらない麻生内閣の「定額給付金」がついに国会で承認された。が、ハッキリいって、いまや国民の7割近くが「いらない」と表明している制度にどれほどの意味があるのだろうか。そもそも、2兆円規模の給付で現在の消費不況が底上げに向かうはずがない。日本人はキャッシュがあれば使うアメリカ人とはメンタリティが異なる。ただでさえ先の見えない経済状況下、「バラ撒かれた」お金の多くは貯蓄に回るだろう。前回も述べたが、危機を打開するために今やるべきは減税、なかんずく...
医療機関の原価計算作業工程前回のレポートで原価計算を導入する目的を決めて、院内にプロジェクトチームを発足させ、原価計算を実施することを院内に周知するというところまで述べた。今回は、実際の作業について述べる。まず始めに自院用の原価計算のロジック(ルール)を構築する。これはある程度決まった手法はあるが、医療機関毎に細かな点の運用が異なっているのでその点を考慮に入れて、対象とする医療機関に最も適したロジックを組み立てるということになる。さらに一度組み立てたロジッ...
「自己資金増減主義とキャッシュフロー計算書」
(1)キャッシュフロー前稿において、これまでの常識とされてきた損益管理では、経営環境の変化対応には不十分であると触れた。「利益が出ているかどうか?」が「儲かっている良い会社かどうか?」の単純で最も初歩的な判断要素だった。利益がでても、実際は儲かっていない会社があることは多くの人々が当たり前として知る事実である。しかし、では、「実際の儲け」について我々は突きつめて算出していると言えるだろうか?一般的には、キャッシュフロー計算書を見ればよいとされている。キャッ...
企業の採用内定取り消し
相次ぐ内定取り消し米国に端を発した金融危機や株価下落は、新卒の就職にも影を落しています。ここ数年は「売り手市場」とも言われていた就職戦線ですが、今春就職予定の学生の内定取り消しが9月頃から相次ぎました。業績悪化、業務縮小、倒産などが理由で、内定を取り消した企業の業種は不動産、ホテル、生保、IT、専門商社など多岐にわたっています。内定を取り消された学生は「他の会社を断って1社に決めていたのに」と大きなショックを受け、大学のキャリア支援担当や、就職支援会社、N...
1.倒産させてはいけない先日、麻生総理は総額23兆円規模の追加景気対策「生活防衛のための緊急対策」を発表した。財政政策として雇用対策(約1兆円)、政策減税(同)など、金融面では改正金融機能強化法に基づく政府資本参加枠の拡大(10兆円)などを骨子としたものだが、方向性としては悪くないと思う。問題はやり方とスピードだ。私の実感からしても、昨年10月以降、日本の景気は極端に悪化している。対応が遅れれば、中小企業の倒産に歯止めがかからない状況になるのではないかと危...
医療機関も原価計算が必要な時代に民間企業では、「自社製品の製造原価はいくらで、販管費が何円」というような会話は、社内で頻繁に交わされコスト削減目標などの各種数値目標の設定に利用されることが多い。社員もその数値目標が賞与などへの評価に連動しているので必死に努力することになる。一方、医療機関では施設単体での収支は、当然把握しているが、内科や整形外科などの診療科単位で収支はどうなのか?透析部門や3F西病棟などの部門単位で収支はどうなっているのか?など毎月きちんと...
「地域企業と地域金融おける資金の現状」
1.企業の資金について企業経営において、これまで損益が取りざたされてきた。「利益が出ているかどうか?」が「儲かっている良い会社かどうか?」の単純で最も初歩的な判断要素だった。この習慣の間違いを根本的に認める必要がある。利益は国が変われば会計ルールが変わるために変化する。ある年の某上場メガバンクの決算では、日本での発表は損益が黒字であるが、NY証券取引所での発表は損益が赤字であった。一体このメガバンクは良い会社なのかそうでないのか?それを判断するには財務を多...
ワークライフバランス
今年7月に内閣府が公表した「仕事と生活の調和に関する特別世論調査」によれば、「ワークライフバランス」について名前も内容も知っていると答えた人の割合はたったの9.8%。政府は2008年を「ワークライフバランス元年」としてPRしていますが、まだまだ浸透していないようです。ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」のことです。この概念自体は1990年代にアメリカで生まれ、ずいぶん前から提唱されていますが、何故今改めて注目を集めているのでしょうか。深刻な少子化問...
1.円高には知恵で勝負米国発の金融危機が日本経済にも影を落としている。消費は低迷し生産活動も鈍化、国を代表するような大企業がつぎつぎに、労働者の大幅な「首切り」を発表する事態となっている。しかし、私は日本の置かれた経済環境をもっと冷静にみるべきだと思う。今回の危機の根幹にある「サブプライム問題」では、わが国の金融機関などが負ったキズは、欧米のそれに比べ極めて浅い。株価が欧米市場を超える下落幅になるような状況は、不可思議としかいいようがないものだ。今の日本経...