商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

1はじめに2会社法上の罰則規制の変遷3会社法上の罰則規制の概要4会社法上の罰則の体系(以上36号)5刑罰を科すべき行為(1)取締役等の特別背任罪(以上37号)(2)会社財産を危うくする罪(以上38号)(3)虚偽文書行使等の罪(以上39号)(4)預合い(一)総説①預合いに対する禁止規定の整備株式会社の発起人・取締役・監査役・高級使用人等が、株式の発行に係る払込みを仮装するため預合いを行ったときは、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処されます(会社法9...
当社は、資本金1億円、年商1億5千万円の板金塗装を専門とする株式会社(東京都)です。発行済株式(一株5万円)の全部を親族だけで所有していますので、定款には株式の譲渡制限の定めは設けていません。父(86歳)が社長、私(60歳)が専務(営業担当)、私の妻が監査役、母が取締役(経理担当)です。持株比率は、父80%、私10%、母10%です。株券を発行しています。昨年新しい設備に取り替えるため、父所有の株式50%を担保に差し入れ、銀行から800万円の融資を受けました...
1組織再編行為・事業譲渡等に関する会社法の規定のしかた2事業譲渡等(以上、38号)3会社分割(1)会社分割の定義と種類会社分割は平成12年の商法改正において創設された制度であり、吸収分割と新設分割の2種類があります。会社法は、会社分割自体については定義規定を置いていませんが、吸収分割について、「株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。」と定義し(会社法2条29号)、新設分割については、「一又...
1はじめに2会社法上の罰則規制の変遷3会社法上の罰則規制の概要4会社法上の罰則の体系(以上36号)5刑罰を科すべき行為(1)取締役等の特別背任罪(以上37号)(2)会社財産を危うくする罪(以上38号)(3)虚偽文書行使等の罪(一)総説株式会社の発起人・取締役・監査役・高級使用人等が、株式、新株予約権、社債または新株予約権付社債を引き受ける者の募集をするに当たり、会社の事業その他の事項に関する説明を記載した資料もしくは当該募集の広告その他の当該募集に関する文...
≪質問1≫新会社法では、監査役設置会社の場合、役員賞与は報酬に含まれ、株主総会の決議を経て経費処分として処理されることになりましたが、会計参与を設置したとき、会計参与についても同様の処理で賞与を支給することができますか。≪質問2≫役員の退職慰労金は通常の報酬の場合と異なり、議案には具体的金額を記載せずに、株主総会の決議で取締役会一任あるいは監査役一任をとりつけるのが一般的ですが、この決議を有効とするには、具体的にどのような措置をとらなければなりませんか。≪...
1組織再編行為・事業譲渡等に関する会社法の規定のしかた組織変更や合併・会社分割などの組織再編行為は複数の類型の会社に関係しますが、平成17年改正前の商法では、基本的には、合名会社・合資会社・株式会社・有限会社のそれぞれの種類ごとに規定が置かれていました。会社法では、このような規定の仕方を改めて、2条に各組織再編行為の定義規定(26号~32号)を置くとともに、「第5編組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転」として、第2編の株式会社や第3編の持分会社と...
1はじめに2会社法上の罰則規制の変遷3会社法上の罰則規制の概要4会社法上の罰則の体系(以上36号)5刑罰を科すべき行為(1)取締役等の特別背任罪(以上37号)(2)会社財産を危うくする罪(一)総説発起人、取締役、会計参与、監査役、執行役、支配人、その他の株式会社の役員または高級使用人、検査役等が、会社法963条1項~5項に定める事項を行った場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処されます(会社法963条)。この場合にも、(1)(三)④で述べた...
5刑罰を科すべき行為それではまず、刑罰を科すべき行為を順次説明してゆくことにしましょう。(1)取締役等の特別背任罪(一)総説発起人、取締役、会計参与、監査役、執行役、支配人、その他の株式会社の役員または高級使用人、検査役等が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処されます(会社法960条)。この規定は、刑法247...
Iはじめにカネボウ粉飾決算事件で中央青山監査法人の公認会計士が逮捕されるとともに、同法人自体も処分を受け、7月1日より上場企業等に対する監査業務を2ヶ月間停止させられていることは、世間周知のとおりです。また、6月30日には、金融庁傘下の組織で監査法人を監視する公認会計士・監査審査会が、金融庁に対して、あずさ、新日本、中央青山、トーマツの4大監査法人に改善を命じるよう勧告する方針を固めたというマスコミ報道もありました。同監査審査会は、今秋以降、中規模監査法人...
1はじめに新株の発行は、会社成立後に行う資金調達手段の中の重要な一つです。この新株の発行に関して、会社法では実質的な内容に関する大幅な修正は行われていませんが、従来からすると大幅な規定の整理が行われており、このため、旧商法の規定に慣れ親しんだ方からすると、会社法の下でのルールは多少わかりづらくなっている面があるかと思われます。本稿では、こうした会社法における新株の発行等にかかる規制について、旧商法から変更があった点を中心に解説したいと思います。2「募集株式...