商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

Ⅰはじめに企業は、当然のことながら、適法かつ適正な方法で営利活動を展開し、利益を出資者に配分しなければならず、経営者にはこれについての法的なあるいは道義的な責任が負わされています。このことに関し、近時はコーポレート・ガバナンス論が盛んに議論されています...
1はじめに-「電通事件」の衝撃(1)「電通事件」とは長時間労働等の過重労働による労働者の心身の健康被害が問題とされるようになって久しいですが、近時、新入社員が長時間...
-監査役の会社に対する責任- 
1はじめに2監査役の第三者に対する責任(以上、
− コーポレート・ガバナンス・システム報告書を参考に —
1はじめに2016年7月、経済産業省は「CGS研究会」(コーポレート・ガバナンス・システム研究会:座長神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)を立ち上げ、コーポレート・ガバナンスの構築・運用のあり方に関する取組みについて検討を行ってきました。その後、同研究会は2017年3月10日に「CGS研究会報告書実効的なガ...
個人データの第三者提供の際の個人情報取扱事業者の 確認・記録義務について
1.はじめに平成27年9月3日、個人情報の保護に関する法律(注1)(以下「個人情報保護法」といいます)が改正され、同年9月9日公布されました(注2)。個人情報保護法は、平成15年5月に制定され、平成17年4月に全面施行されて以来約10年間大幅な改正がありませんでした。しかし、制定後の情報通信技術(ICT)の飛躍...
―譲渡制限付株式報酬―
1はじめにわが国の株式会社(特に上場株式会社)の取締役報酬は、従来、固定報酬の割合が相対的に高く、中長期の業績向上に向けたインセンティブ効果を十分に発揮していないとの指摘があること(注1)は、周知の通りです。そこで、201...
監査役会設置会社及び監査等委員会設置会社における指名委員会及び報酬委員会に相当する任意の諮問委員会の設置
一はじめに前々稿(注1)で、上場会社に社外取締役の選任を促すことを目的とする平成26年法律第90号による会社法327条の2(注2)及びそれに伴う会社法施行規則124条2項(注3)の規定並びに独立社外取締役の選定を求める東京証券取引所の有価証券上場規程(注4)等の圧力により、社外取締役を置かない監査役会設置会社の...
【質問】株式の仮装払込み形態として預合いと見せ金があると聞きます。また、最近株式の仮装払込みに関する会社法規定が新設されたとも聞きました。近時の会社法改正を踏まえ、預合いと見せ金による会社設立の違いを、以下の設例に関連づけ...
一はじめにわが国において、東京証券取引所から公表された「コーポレートガバナンス・コード〜会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために〜」(以下、本稿においては「CGコード」とします)は、2015年6月から適用が開始されました。それ以降、東京証券取引所に上場している会社は、「コーポレートガバナンスに関する...
-監査役の第三者に対する責任-
1はじめに本稿では、会社法施行以来約10年間に現れた、監査役に関する判例・裁判例を取り上げて、検討を加えることにします。この間に現れた監査役に関する裁判例は、大別すると、監査役の選任や権限に関するもの、監査役の会社に対する責任(会社法423条1項)に関するもの、および、監査役の第三者に対する責任(会社法429条...