商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

Ⅰはじめにわが国における職業的専門家用の賠償責任保険としては、医師賠償責任保険(1963年開始)、建築家賠償責任保険(1971年開始)、公認会計士賠償責任保険(1971年開始)、弁護士賠償責任保険(1976年開始)、税理士賠償責任保険(1987年開始)等があります。そして、税理...
1はじめに反対株主等(新株予約権者を含む)が株式等(新株予約権を含む)買取請求権を行使した際に、株主等と株式会社の間に株式等買取価格の協議が整わない場合には、裁判所に対して株式等買取価格決定の申立てをすることが認められていますが、この価格決定の際に生じる法定利息については、平成26年会社法改正によって仮払い制度に...
1.はじめに-働き方改革推進法の成立平成30(2018)年6月29日、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(注1)(平成30年法律第71号。本稿において「働き方改革推進法」といいます)が参議院本会議で可決成立し、同年7月6日公布されました。
第1はじめにビットコインに代表される仮想通貨は、インターネットで電子的に取引され、通貨的な機能を持つ財産的価値であり、近時、急速にその利用が広がっています。ある者が仮想通貨を現金と交換する...
「グリーンシート銘柄及びフェニックス銘柄に関する規則」が平成30年1月30日に改正され「フェニックス銘柄に関する規則」(同年4月1日施行)とされるとともに、同年3月31日をもってグリーンシート銘柄制度が廃止されました。こうした経緯及びグリーンシート銘柄制度に代わる非上場会社の株式等の流通取引について解説します。1...
1.はじめに急速に高齢化の進む日本では、社会情勢の変化に対応した相続制度の見直しの必要性が問題となっています。例えば、配偶者が死亡した場合に残された他方配偶者の生活に配慮すべきであるとする声もあります。これを規律する現行相続法制は、昭和55(1980)年の改正以降実質的見直しは...
1はじめに今年6月の株主総会シーズンも終了しましたが、定時株主総会を開催する多くの上場会社では、会社法に基づく計算書類・連結計算書類と事業報告(以下、まとめて「事業報告等」ともいいます。)を株主総会前に作成して、株主総会の2週間前までに招集通知とともに株主に提供し、株主総会の終了後に、金融商品取引法(以下、「金...
Ⅰはじめにこれまでわが国では、株主総会は物理的な会場を定めたうえ、その場所において行うことが当然のこととされてきました。株主総会の電子化・IT化という面では、これまで株主の個別の承諾を得ることを前提として、招集通知を電磁的方法によって発することができ(会社法299条3項等参照)、ま...
1はじめに取締役会を設置する株式会社は、現行法の下では、取締役会の設置を強制される会社(会社法327条1項1号~4号)(以下これを説明の便宜から「取締役会強制設置会社」という。)と、取締役会の設置を義務付けられていないものの定款の定めに基づき任意にこれを設置する会社(会社法326条2項)(以下これを説明の便宜上「...
1はじめに2017(平成29)年に改正された民法(以下、「改正民法」といいます)(注1)は、第3編第1章第7節を新たに設けて、「有価証券」について規定しています(520条の2以下)。有価証券は、従来から主として商法の分野で研究対象とされてきたものですが、これまで有価証券を定義する規定は、民法にも商法にもありません...