会計研究リポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

-バリュー・ドライバー(1)-
(1)バリュー・ドライバーとは何か株主価値の創造をめざす企業の目的は、将来EVAの流列の現在価値を最大にすることにあります。そのために、「①追加の資本投下を行わずに営業利益を増加させる、②追加の資本投下にかかる費用に十分見合う収益を生み出す事業に資本を投下する、③資本コストを上回る収益性を確保できない事業から投資を回収する」[フータウ&リトル]、といった方策がとられます。
-知的財産報告書の構成-
1.はじめに前回は、各企業がどの程度のページ数の知的財産報告書を作成しているかについて整理し、それらの開示の特徴についてまとめました。今回は、各企業の知的財産報告書がどのような構成で作成されているかについて整理します。2.知的財産報告書の構成各企業の知的財産報告書の構成のパターンとしては、3つあげられます。1つ目は、「知的財産情報開示指針」でとりあげられている10個の開示項目をそのまま(または、ほぼそのまま)目次として知的財産情報の開示を行っているというも...
今回の新公益法人会計基準のなかで、「平成16年改正基準」から修正した項目として、「基金」に関する会計基準があります。今月のレポートでは、この「基金」に係る会計基準について解説をします。1.基金とは「平成16年改正基準」では、「基金」に関する会計基準の規定は設定されていませんでした。それが新公益法人制度の「一般法人法第131条」において、一般社団法人に対して「基金」の設定が認められました。
-BSCの4つの視点(その3)-
1.内部業務プロセスの視点(1)内部業務プロセスの認識内部業務プロセスの視点では、株主と顧客を満足させるためにどの内部業務プロセスにおいて優れていることが必要であるかについての戦略目標および尺度などが記入されています。これによって、財務の視点および顧客の視点において達成すべき戦略目標に有用な内部業務プロセスを構築することができます。KaplanとNorton[2001]は、一般的な組織の価値連鎖の要素として、イノベーション、顧客管理、オペレーション、規制と...
-【論点8】四半期(中間)財務諸表開示に固有の遡及修正-
1.はじめに企業会計基準委員会ASBJが平成19年7月9日付けで公表した「過年度遡及修正に関する論点の整理」以下、論点整理)では、10の論点を示しています。今回は、そのうち論点8として取り上げられている「四半期(中間)財務諸表開示に固有の遡及修正」を取り上げて説明します。日本では、四半期(中間)財務諸表開示については、第2期以降ないしは後半期に会計方針の変更が行われた場合であっても、年度の財務諸表の場合と同様に遡及修正の適用を行うことはしません。しかし国際...
-ストック・オプション(8)-
(6)レバレッジド・ストック・オプション(その3)前述の定額方式に対し、定量方式はどうでしょうか。表8-1と表8-6は、ベンチマークと比較できるように株価の変動に関係なく毎年10,895株のオプションを付与するケースを表しています。表8-1初年度業績(株価上昇)と2年度以降に付与するストックオプションの関係
―知的財産報告書のページ数とその他 開示の特徴―
1.はじめに前回は、各企業の知的財産情報の開示状況について、その開示媒体(知的財産報告書単体での開示やアニュアルレポートなど他の開示媒体の中での開示)を整理しました。今回は、特に知的財産報告書単体での開示に焦点をあてて、各企業がどの程度のページ数の知的財産報告書を作成しているかについて、整理することにします。さらに、その他、開示の特徴について、まとめていきます。(注1)2.知的財産報告書のページ数各企業の知的財産報告書のページ数は、以下の図1のとおりとなり...
平成20年4月11日開催の、内閣府に設置された第34回公益認定等委員会において、「公益法人会計基準」および「公益法人会計基準の運用指針」が決定されました。これにより、新公益法人制度は、平成20年12月1日からの施行体制が整備されてきました。今回は、新公益法人会計基準のなかで「財産目録」の位置づけおよびその様式について解説をします。新公益法人制度の趣旨に対応した「財産目録の様式」に特徴が見られます。1.財産目録の位置づけ平成16年改正基準」では、会計基準にお...
-BSCの4つの視点(その2)-
1.顧客の視点(1)顧客価値の認識財務的に成功するためには、明らかに顧客に支持されていることが不可欠です。したがって、企業は常に顧客の視点から戦略の遂行を考えていかなければなりません。顧客の視点は、ターゲットにした顧客や市場セグメントに対して何をなすべきかを表しており、顧客満足、顧客維持、新規顧客の獲得、顧客別収益性、ターゲットにしたセグメントのシェアに関する尺度が含まれます。一方で、こういった尺度を向上させるために、たとえば定時配送や納期の短縮といったこ...
-【論点7】誤謬に係る過年度遡及修正-
1.はじめに企業会計基準委員会ASBJが平成19年7月9日付けで公表した「過年度遡及修正に関する論点の整理」以下、論点整理)では、10の論点を示しています。今回は、そのうち論点7として取り上げられている「誤謬に係る遡及修正」を取り上げて説明します。日本では、誤謬という概念は、意図的な不正とは区別されて、意図的ではない誤りを指すものとされていいます。しかし、国際的に見た場合、意図的であるか否かはあまり問題とされていません。またその取扱いについても国際的に相違...