会計研究リポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

−振替価格と原価配分(その5)−12.4原価配分(結合原価)製品別の原価配分が必要になる特殊なケースとして結合原価(jointcost)があります。原油から重油、軽油、灯油などの異種の製品が精製されるように、原材料のインプットから複数の製品が一定割合でアウトプットされる場合、それらを連産品(jointproducts)といいます。生産工程が製品別に分かれる分離点(split-offpoint)までに発生する原価が結合原価です。分離点以降に発生する原価は、分...
1.純利益の増減分析収益または費用の増加または減少が純利益の増減に与える影響を見るために、純利益増減分析表を作成します。まず、比較損益計算書の諸項目の前期と当期の間の差額を求めます。そして、その差額が純利益の増加の原因となるか、純利益の減少の原因となるかを分析し、純利益の増加の原因となる差額は純利益の欄の借方に、純利益の減少の原因となる差額は純利益の欄の貸方に記入します。収益の増加および費用の減少は純利益の増加の原因となります。また、収益の減少および費用の...
実務指針[指定正味財産と一般正味財産]平成18年4月13日付けで、日本公認会計士協会より、「公益法人会計基準に関する実務指針」(その2)が公表されました。これまでの新公益法人会計基準をめぐる動向について整理をしておくと、今日まで次のような経緯をたどっています。(1)平成16年10月14日公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議申合せ「公益法人会計基準の改正等について」公表新公益法人会計基準が公表され、平成18年4月1日以後開始される事業年度よりできる...
1.はじめにこれまで、外貨換算会計について、取引に係る換算方法、在外支店の財務諸表項目の換算方法、連結財務諸表の作成に際しての在外子会社の財務諸表の換算方法などを、みてまいりました。今回は、換算方法そのものではなく、外貨換算に関連して財務諸表への注記が求められる内容について、説明することにします。外貨換算会計に関連して、注記として求められる事項としては大きく2つあります。ともに、重要な会計方針としての注記です。1つは、外貨建の資産・負債の換算基準であり、い...
12.3原価配分(本社費・共通費)これまでは、利益センター相互間の財の移転問題を扱ってきました。今回は、他部門にサービスを提供するサービス部門が発生させたコストをどのように扱うべきかという問題を論議しましょう。本社、研究所、研修所、計算センターなどのサービス部門は、事業部の活動をサポートするためにさまざまなコスト(本社費、共通費)を発生させます。本社管理費、情報処理費、研究開発費、広告宣伝費などがあげられます。これらのコストはどの部門のために発生したかを直...
1.比率分析のメリットとデメリット経営分析における比率分析のメリットは、規模の異なる企業を分析するときに比較を容易にすることです。たとえば、総資本額が100億円で経常利益が9億円のA社と、総資本額が1億円で経常利益が1千万円のB社とを比較分析すると想定します。両社の総資本経常利益率を計算すると、A社が9%、B社が10%となります。総資本額の規模では100倍違うのですが、同じ百分率で総資本経常利益率を計算すると両社の業績に関する比較が容易になります。ただし、...
−公益法人制度改革関連法案の成立−I.公益法人制度改革関連法案の成立平成18年5月26日、参議院において、新しい公益法人制度改革に関連する3つの法案が可決成立をしました。今後、新制度の施行予定期日である平成20年4月1日に向け、新公益法人制度への移行が具体的に動き出すこととなりました。今回の改正は、社団法人・財団法人に対する抜本的な制度改革であり、これからの各方面での対応が注目されるところです。公益法人制度改革に関する3つの法案は次のとおりです。
平成18年4月中、中小企業会計関係で、次のような、いくつかの重要な動きがありました。1.「会計参与の行動指針」の公表(平成18年4月25日付け)2.「中小企業の会計に関する指針」の公表(平成18年4月28日付け)3.「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」の公表1.「会計参与の行動指針」の公表日本税理士会連合会及び日本公認会計士協会は、今回の新会社法において創設された「会計参与」の制度を円滑に導入し、発展させるために、平成18年2月24日...
12.2振替価格の実務的ルール振替価格は、これまで述べたように、理論的には機会原価によるべきです。しかし、これを正確に測定するのは容易ではないし、そのために多大なコストがかかります。また、その真の値は企業がおかれた状況に応じて刻々と変化するので、これを事前に確定しておくのは困難です。そのため、実務においては、機会原価の近似値として、測定がより容易な代替的な指標が用いられます。そのいくつかを説明しましょう。(1)市場価格既に述べたように、中間製品に市場が存在...
1.正味現在価値法と内部利益率法との比較(1)単一の投資プロジェクトの場合提案されている投資プロジェクト案が単一の場合、一般的な投資プロジェクトで正味キャッシュ・フローがすべてプラスであれば、正味現在価値法と内部利益率法のどちらを用いても投資プロジェクト案の採否については同じ結果になるといわれています。それは、正味現在価値と資本コストとの間に、資本コストが大きくなるにつれて正味現在価値が小さくなるという関係が賞味現在価値を求める(1)式より明らかであり、ま...