会計研究リポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

1.販売費および一般管理費の増減分析販売費および一般管理費の増減分析については、一般に、比較損益計算書の当期の金額と前期の金額とを比較すれば十分です。販売費および一般管理費増減分析表の例を示すと、次のとおりです。なお、販売費および一般管理費に、製品や商品の販売数量に比例して増減する費用の占める割合が多い場合には、売上総利益の増減分析で販売数量の変化が売上総利益の増減に与える影響を分析したのと同じように分析することもできます。
−実務指針[引当金]−今回のレポートでは、「公益法人会計基準に関する実務指針」(その2)における「引当金」についての実務上の会計処理を解説します。1.賞与引当金についてQ12:賞与引当金の計上基準はどのようなものですか。A:賞与は、支出時にのみその支払額を費用計上する(現金主義)のではなく、発生主義を適用し、期末時に翌期に支給する職員の賞与のうち、支給対象期間が当期に帰属する支給見込額について、当期の費用として引当計上する必要があります。〈算定方法〉
—ソフトウェア取引の収益の会計処理(その1)—1.はじめに—無形資産に関する会計基準等—現在、日本では、無形資産に関する統一的な会計基準はなく、無形資産に関する会計処理は、主に、以下の会計基準、実務指針、適用指針および実務対応報告において定められています(注1)。【無形資産に関する会計基準等】本レポートでは、無形...
−意思決定権限の配分(その1)−15.1意思決定権限の配分これまでの論議から、情報を意思決定に反映させる意義が明らかになりました。組織論的には、より良い決定をさせるには意思決定者と情報を結びつけなければならないという含意が得られます。「決定権(decisionrights)のある者を意思決定者である」と定義するならば(注1)、決定権と情報(知識)を併置(collocate)させるにはどのようなアプローチが考えられるでしょうか。1つは、決定権のある者に情報を...
−中小企業の外貨換算会計(2)−1.はじめに中小企業会計指針では、外貨建取引が発生した時の処理について、原則として、その取引が発生した時の為替相場による円換算額をもって記録されることが、規定されています(第75項)。そして例外的処理として、ヘッジ会計が認められています。今回は、中小企業会計指針のなかの「ヘッジ会計」にかかわる規定を取り上げることにします。ヘッジ会計につきましては、「外貨換算取引等会計処理基準」を中心にした外貨換算会計の解説のなかで説明しまし...
1.営業利益の増減分析当期の営業利益と前期の営業利益を比較し、売上高の増減と、売上原価、販売費および一般管理費の増減とが、営業利益の増減に与えた影響を分析するために、営業利益増減分析表を作成します。まず、比較損益計算書の売上高から営業利益までの諸項目について、前期と当期の間の差額を求めます。そして、その差額が営業利益の増加の原因となるか、営業利益の減少の原因となるかを分析し、営業利益の増加の原因となる差額は営業利益の欄の借方に、営業利益の減少の原因となる差...
−実務指針[特定資産]−今回のレポートでは、「公益法人会計基準に関する実務指針」(その2)における「特定資産」についての実務上の会計処理を解説します。貸借対照表の固定資産の部は、(1)基本財産(2)特定資産(3)その他固定資産に区分します。特定資産とは、「特定の目的のために使途、保有又は運用方法等に制約が存在する資産」であり、特定資産には、預金や有価証券等の金融資産のみならず、土地や建物等も含まれます。1.特定資産の勘定科目Q7:土地や建物等についても、独...
-中小企業の外貨換算会計(1)-1.はじめに前回まで、「外貨建取引等換算処理基準」(以下、外貨換算基準)をベースにして、外貨換算会計の内容を観てきました。今回からは、これまでの説明を踏まえながら、「中小企業の会計に関する指針」(以下、中小企業会計指針)のなかで規定されている外貨換算会計を取り上げることにします。中小企業会計指針は、その名称が示すとおり、一連の会計諸基準を中小企業の会計に実施するに際しての指針としての役割を有しています。したがって、外貨換算会...
−振替価格と原価配分(その5)−12.4原価配分(結合原価)製品別の原価配分が必要になる特殊なケースとして結合原価(jointcost)があります。原油から重油、軽油、灯油などの異種の製品が精製されるように、原材料のインプットから複数の製品が一定割合でアウトプットされる場合、それらを連産品(jointproducts)といいます。生産工程が製品別に分かれる分離点(split-offpoint)までに発生する原価が結合原価です。分離点以降に発生する原価は、分...
1.純利益の増減分析収益または費用の増加または減少が純利益の増減に与える影響を見るために、純利益増減分析表を作成します。まず、比較損益計算書の諸項目の前期と当期の間の差額を求めます。そして、その差額が純利益の増加の原因となるか、純利益の減少の原因となるかを分析し、純利益の増加の原因となる差額は純利益の欄の借方に、純利益の減少の原因となる差額は純利益の欄の貸方に記入します。収益の増加および費用の減少は純利益の増加の原因となります。また、収益の減少および費用の...