会計研究リポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

1.経営分析の体系収益性と安全性の視角から自社の経営分析をするための具体的な分析手法には、比率分析と実数分析があり、どちらも欠かすことはできないのは、これまで説明してきたとおりです。また、比率分析や実数分析で計算した数値が良いか悪いかを判断するためには、今年度のデータの分析だけではなく前年度との比較や数年間にわたるデータの比較をしたり、自社のデータだけではなく、他の企業や業界平均のデータとの比較をしなくてはなりません。さらに、分析結果の総合的な判断をするた...
今回は、前回に引き続き、会計参与の「責任」に関するQ&Aを解説します。Q12:中小企業における株主代表訴訟の可能性についてA:(1)株主代表訴訟とは、一般に、役員等の会社に対する責任の追及が問題となる場合において、他の取締役等や監査役が同僚を提訴することは必ずしも期待し難く、提訴を懈怠する可能性があるため、会社ひいては株主の利益を守...
—無形資産の分類と種類(その1)—1.はじめに今回は、「無形資産の分類と種類」について解説をしていきます。現在、日本においては、無形資産についての包括的な会計基準は存在しておりませんが、企業結合に係る会計基準と適用指針において、部分的に無形資産についての説明がされておりますので、それらの会計基準と適用指針を取り上げながら、「無形資産の分類と種類」について解説をしていくことにします。なお、企業結合に係る会計基準と適用指針としては、平成15年10月31日に企業...
-社債の評価:償却原価法による処理-1.はじめに前回、「金融商品に関する会計基準」(以下、金融商品会計基準)(平成18年8月11日)の公表により、改正された会計処理の重要な1つとして、貸借対照表上負債として計上される社債の評価があることを示しました。従来、社債はその債務額をもって評価され、債務額が発行価額を上回る場合(割引発行の場合)には、その差額は資産(繰延資産)として、また債務額が発行価額を下回る場合(打歩発行の場合)には、その差額は負債として処理され...
−EVAによる部門別業績管理(3)−1.部門管理者のインセンティブ・システム(続き)○ボーナス・プランとEVAインターバル報酬に連動させる業績指標はEVAの「絶対額」ではなく「改善額」でなければならないことは『株主価値会計』の所で述べました。絶対額は、当期の努力だけでなく過去の意思決定の影響を受けるということと、管理不能な投下資本簿価の影響を受けるということがその理由でした。また、(当期業績=前期実績+改善額)であり、過去に遡及する部分(前期実績)は前期ま...
1.経営分析のまとめこれまでに見てきた収益性と安全性といった分析の視角と、具体的な分析手法や分析手続の順序も含めて経営分析の体系をまとめると、次のとおりとなります。経営分析では、収益性と...
今回は、「会計参与の行動指針」に関するQ&A(3)として、「会計参与の責任」について解説をします。Q9:会計参与が会社に与えた損害とは。A:(1)会計参与が任務を怠り会社に与えた損害とは、たとえば、次のようなものがあり、それらを原因として会社に発生した損害をいいます。①正当な理由なく計算関係書類を作...
—ソフトウェア取引の収益の会計処理(その6)—1.はじめに今回は、前回に引き続き、企業会計基準委員会(ASBJ)より平成18年3月30日付けで公表された実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告」)について、解説をしていきます。「実務対応報告」で取り上げられている会計上の論点には、(1)ソフトウェア取引の収益認識、(2)ソフトウェア取引の複合取引および(3)ソフトウェア取引の収益の総額表示という3つが...
-経緯-1.はじめに企業会計審議会から平成11年1月に公表された「金融商品に係る会計基準」が、企業会計基準委員会により改正され、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」が平成18年8月に公表されました。そこで、金融商品に関わる会計処理のうち、今回の改正により変更された点について説明することにしたいと思います。今回は、改正の背景と重要な改正点の1つである社債の評価を取り上げて、説明することにします。2.適用時期改正された会計基準「金融商品に関する会計...
−EVAによる部門別業績管理(2)−1.部門管理者のインセンティブ・システム(続き)実際ボーナス=目標ボーナス+α(ΔEVA−EI)この式で表されるボーナス・プランは、経営者だけではなく部門管理者に対しても適用することができます。ただし、そこでは部門別EVAが対象となるので、NOPATと投下資本簿価だけでなく、資本コストも部門別に測定できることが前提条件となります。部門別の業績目標EI(expectedimprovement)は、どのように算出されるのでし...