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2026/04/02
2026年3月にアクセス数の多かった記事のランキングを発表します。
税務調査対応と投資収益の認識
今回取り上げるのは、海外の投資商品(FX運用口座)から生じた利益の計上時期と、これに先立つ税務調査の違法性が争われた事案である(令和5年10月27日東京地裁判決・税務訴訟資料第273号順号13896)(注1)。納税者は海外の資産運用サービスを通じてFX等の取引を行い相当額の利益を得ていたが、これを申告していなかった。所轄税務署は調査の結果、所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を行い、納税者が取消しを求めたものである。 まず問題になったのは、調査手続きの違法性である。納税者は、事前通知が不十分であったこと、調査官が複数回にわたり電話をかけ、突然自宅を訪問したこと、体調不良を訴えたにもかかわらず書類提出を急かす発言をしたことなどを挙げ、憲法31条の法意に反する重大な違法があると主張した。 これに対し裁判所は、調査手続に瑕疵があったとしても、それが直ちに課税処分の取消事由となるものではないとの従来の枠組みを前提とした。そして、調査の手続が刑罰法規に触れ、公序良俗に反し、または社会通念上相当な限度を超えて濫用にわたるなど重大な違法を帯び、実質的に「何らの調査なしに更正処分をしたに等しい」と評価できる場合に限り、処分は違法になると判示した。この判断は手続上の不備が常に処分取消しに直結するわけではないことを改めて示すものである。
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事業所得と給与所得の区分ルール
所得税法上、事業所得(注1)とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性および有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。これに対し、給与所得(注2)とは、雇用契約等に基づき、使用者の指揮命令に服して提供する労務の対価として受け取る所得をいう。とりわけ、給与支払者との関係において、空間的・時間的な拘束を受けつつ、継続的または断続的に労務や役務の提供が行われ、その対価として支給されるものであるかどうかが重要な判断要素となる。 また、事業所得と給与所得の区分は、契約の形式や名称、あるいは当事者の主観的な認識のみによって決せられるものではない。あくまで、業務の実態に即した客観的判断が求められる点に留意すべきである。 例えば、弁護士が受け取る毎月定額の顧問料は、業務量の多寡によって金額が変動しないことから、一見すると給与のようにも見える。しかし、一般には給与所得ではなく、事業所得に該当する場合が多い。実際、弁護士が当該報酬を給与所得として申告したところ、事業所得に該当するとして否認された事例(最判昭和56年4月24日・民集35巻3号672頁)がある。
輸出免税の基本と実務
国外で消費される取引には課税しない仕組みを採用している。この考え方に基づき、消費税法7条1項は「本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け等」について消費税を免除する制度を設けている。これがいわゆる輸出免税(注1)である。輸出取引は課税売上に該当しつつ税額が免除されるため、対応する仕入税額控除を受けることができ、結果として仕入消費税の還付が生じる場合もある。この点から、輸出事業者にとって輸出免税は極めて重要な制度である。 ただし、この免税が適用されるためには、実体的要件と手続的要件の両方を満たす必要がある。実体的要件とは、取引が「輸出として行われる資産の譲渡等」に該当することである。つまり、資産の譲渡と輸出行為が一体として行われる取引でなければならないということである。手続的要件としては、輸出許可書等の税関長が証明する書類を保存することが求められており、これらの書類は課税期間末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要がある。
「一族の信用保持のため」と、同族会社に23億円余りの無利息、無期限、無担保貸付け。倒産の危機にはなかったとして、受け取るべき利息相当額に課税された事例(棄却)
【裁決のポイント】 同族会社の株主等が、無利息で会社に金銭を貸し付けた場合、金額、期間等の融資条件が会社に対する経営責任や社会通念上許容される好意的援助と評価できる範囲か、会社倒産により当該株主等が貸倒れや信用失墜により多額の損失を被ることを回避するためといった経済的合理性が必要である。 本件の審査請求人とその親族は、株式投資を目的とするA社(本件同族会社)、不動産売買等のB社、グループ内のC社の経営に関与している。審査請求人は保有するB社株式をA社に29億円余りで譲渡し、A社は銀行借入で代金を支払ったが、1年後に返済期限が到来すると、審査請求人は定期預金から23億円余りをA社に無利息、無期限、無担保で貸し付けた(本件貸付け)。A社から審査請求人に全額が弁済されたのは4年9か月後である。
宗教法人が寄附されたクラシックカー1台を売却。なお数十台所有中。今後も借入金返済のために売却する継続性が認められる等から、収益事業(物品販売業)と判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】 公益法人等については、収益事業を行う場合に限り、法人税を納める義務がある。収益事業とは、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの」をいう(法人税法第2条第13号)。宗教法人について、外形的に物品販売業の形態を有する事業が、収益事業に該当するかどうかは、内容が物品販売(蝋燭等)か喜捨等(お札やお守り等)か、また、その事業が民間企業と競合するものか否か等の観点を踏まえた上で、当該事業の目的、内容、態様等の諸事情を社会通念に照らして総合的に検討して判断される。 本件の審査請求人は寺院である。平成18年頃にAからクラシックカー等40台とその保管場所の建物を寄附され、遠方のため、それらの維持管理等をAに任せていた。Aは寄附時点で2億円の価格がついた車両(本件車両)を修復して海外に売却先を見つけ、平成30年に審査請求人は売却して(本件行為)、売却代金を残高30億円以上の借入金の一部返済に充てた。税務調査時の令和3年には所有車両は50台以上に増え、多くはナンバープレートがなく、高額な費用をかけて維持管理されている状態であった。
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免税事業者が課税事業者となる場合の棚卸資産の調整について
消費税の免税事業者が課税事業者となる場合、課税事業者になる以前に仕入れた棚卸資産の取扱いには注意が必要である。一定の要件を満たせば、免税期間中に仕入れた棚卸資産についても、課税事業者となった課税期間において仕入税額控除の対象とすることができる。確定申告の際に見落としが生じないよう、制度の内容を正確に把握しておきたい。 免税事業者は消費税の申告納税義務が免除されているため、仕入時には消費税と本体価格を区分せず、税込金額をそのまま仕入原価として処理する。その結果、期末に在庫として残る棚卸資産は、消費税相当額を含んだまま計上されることとなる。 その後、免税事業者から課税事業者に転換した後にこの棚卸資産を販売すると、売上に係る消費税は申告・納税の対象となる。しかし、対応する仕入について仕入税額控除が行われなければ、同一の取引に対して消費税を実質的に二重に負担することとなり、納税者に不合理な負担が生ずる。 この不均衡を調整するため、消費税法第36条第1項では、免税事業者が課税事業者となった場合において、課税事業者となる日の前日に所有する棚卸資産については、免税期間中の課税仕入れであっても、当該課税期間における課税仕入れとみなす旨を規定している。これがいわゆる「棚卸資産に係る消費税額の調整」(注1)である。対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているものをいう。適用に当たっては、棚卸資産の品目、数量、取得価額等を記載した明細書を作成し、法定保存期間である7年間保存する必要がある。また、簡易課税制度を選択している場合には、原則としてこの調整は適用されない点にも留意が必要である。
これ、いま、誰のもの?滞納者のコレクションを保管していた審査請求人に引渡命令処分。事実関係から当該コレクションは滞納者に帰属すると判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】 国税徴収法第58条《第三者が占有する動産等の差押手続》は、滞納者の動産等で第三者が占有しているものは、その第三者が引渡しを拒むときは、差し押さえることができないが、滞納者が他に換価が容易で、滞納国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められるときに限り、国税局長は、その第三者に対し、期限を指定して、当該動産等の引渡しを命ずることができると規定している。 本件の滞納者はコレクターで、購入した物品を置くために審査請求人(同族会社に該当しない、第三者)を創業した。また滞納者は自分のコレクションを所有及び管理させるために資産管理会社B社を設立し、令和5年まで役員であったが、裁判所命令でB社の株式は共同管財人に移されて役員を解任された。それ以前の平成25年に、審査請求人は、B社と寄託契約を締結し、B社から滞納者のコレクションを寄託物として受領していた。その際、寄託物目録は作成されず、契約書上に所有者の定めもなかった。
生計を一にするとは
確定申告期になると、「この親族は扶養に入れられるのか」「医療費控除の対象となるのは誰の医療費か」といった相談が多く寄せられる。配偶者(特別)控除、扶養控除、特定親族特別控除、障害者控除、医療費控除などは、その適用にあたり「生計を一にする」ことが前提とされているためである。 「生計を一にする」ことについて、所得税法上に明文の定義規定は設けられていないが、一般には、同一の家計のもとで日常生活の資を共にしている状態をいうものと解されている。そして、所得税基本通達2-47(注1)が示すとおり、勤務や就学、療養等の都合により別居している場合であっても、余暇には起居を共にし、かつ、常に生活費、額資金、療養費等の送金が行われているときには「生計を一にする」ものとして取り扱われる。 例えば、地方在住の親が、都市部の大学に通う子に対して毎月継続的に仕送りを行い、学費や生活費の大部分を負担している場合、その子は親と別居していても生計を一にしている親族に該当し、所得要件等を満たせば扶養控除の対象となる。
事業所得と雑所得の区分ルール
令和4年度税制改正により、事業所得と雑所得の区分について「300万円」という金額基準が設けられた。これは所得税法に金額要件が明文化されたものではないが、所得税基本通達(注1)により、収入金額が概ね300万円以下の場合には、原則として雑所得と整理するという実務上の判断枠組みが示されたものである。もっとも、300万円という金額のみで機械的に区分されるのではなく、帳簿書類の保存や事業としての実態を踏まえ、総合的に判断される点が重要である。 事業所得と雑所得の最も大きな違いは、損益通算の可否にある。事業所得については、赤字が生じた場合、給与所得や不動産所得など他の所得と損益通算することが認められる。一方、雑所得については、他の所得との損益通算は一切認められていない。 事業所得についてのみ損益通算が認められているのは、所得税法及び同法施行令が想定する「事業」については、一定程度の安定した収益が期待できる活動であることを前提としているためである。仮に一時的に損失が生じたとしても、他の所得との損益通算をすることによって損失を分散し、その事業、そのなかでも特に生活の資となるような事業の継続を図る必要があるからである。他方、趣味的、余技・余業的色彩の強い所得については、そのような保護の必要性が乏しいことから、雑所得として損益通算を認めない取扱いとされている。
企業内の建築士の業務は何所得?「構造計算適合判定業務は建築士がリスクを負う、独立した第三者としての業務だから事業所得」の主張が認められず、雇用関係あり、給与所得と判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】 事業所得の「事業」とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務をいうところ、該当するか否かは、自己の計算と危険による企画遂行性の有無、費やした精神的、肉体的労力の程度、人的、物的設備の有無、資金の調達方法、安定した収入源などの状況を総合的に検討し、社会通念に照らして判断される。 審査請求人は建築士で、A社に取締役〇〇本部長として在籍し、週4日9時から17時半まで、A社において建築基準法の構造計算適合性判定業務を行うことで、収入(本件収入)を得た。社会保険料と交通費は自己負担であった。審査請求人は、本件収入は給与所得で確定申告及び修正申告をした後、事業所得であると更正の請求を行ったが、税務署は、建築士報酬とはいえないとして認めなかった。審査請求人は、構造計算適合性判定業務は、建築士として自己の計算と危険において独立して営まれた業務であると主張した。
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