実務情報

平成17年度税制改正法案が成立したことに伴って各法律の改正政省令も公布されたが、その中で、本年度の企業関連税制の中で最も関心を集めている教育訓練税制の細目が明らかとなった。周知のとおり教育訓練税制は、過去2年分の教育訓練費の平均額よりも当期の教育訓練費が増加した場合に税額控除を認めるもの。税額控除額は、大企業が増加額の額の25%相当額、中小企業は増加割合に応じて最大で当期の教育訓練費の20%相当額とされ、いずれも当期の法人税額の10%相当額が上限となる。改...
マンション敷地の土壌汚染が問題となっているが、税務上は法人が所有している土地の土壌汚染対策費用は、原則として修繕費として取り扱うことが出来る一方で、その土地の価値が下落したことによる評価減の損金算入は殆ど認められる余地がないようだ。土壌汚染対策法では、有害物質によって汚染された土壌については、その所有者に浄化措置等を義務付けており、具体的には地方公共団体に届出を行って、その指導の下で浄化措置を実施しなければならないこととなる。この費用はきわめて高額となるケ...
国税庁はこのほど、昨年末のいわゆる興銀事件の最高裁判決で貸倒にかかる国側主張が認められなかったことを受けて、各国税局に貸倒にかかる事前確認窓口を設置し、金融機関の不良債権処理等に係わる貸倒の事前照会に応じる体制をとった。昨年の最高裁判決では、国側が法人税基本通達に定める「債務者の資産状況、支払能力等から見てその全額が回収できないことが明らかになった場合」に「明らかになった事業年度」に貸倒損失として損金算入を認める旨を主張した。これに対して、判決では、貸倒損...
会社法の現代化と関係法律の統廃合を行う改正会社法案が国会提案され、今国会での成立が確実となった。これによって税務上も法制面での手当てが行われることとなり、18年度改正で関係法律の整備等が行われることとなる。今回の会社法改正は、商法の会社編と商法特例法に関係法も加えて新たに「会社法」を制定するもので、これに伴って既存の会社についての経過措置を手当てした上で有限会社法が廃止される。会社法の改正項目の中で税務上も問題になると見られるのは、合同会社の創設、最低資本...
現在国会審議中の平成17年度改正法の中で、経営破たんによる上場廃止などで株式が無価値化した場合に、それによる損失を株式の譲渡損とみなす特例が創設されることになっている。現行法上は、経営破たん等で株式が無価値化しても、それによる損失を他の譲渡益等から控除することはできないことになっているが、今回の改正は、一定の条件の下で、その損失を株式の譲渡損失と同様に扱うもので、特定口座で管理されていた株式が対象となる。具体的には、特定口座に預け入れられていた上場株式が上...
キャッシュカードの情報を不正に入手して偽造カードを作成し、預金を引き出すいわゆるスキミングについて、国税庁は銀行等を経由して預金者に証明等が交付されていれば雑損控除の対象とすることを確認した。スキミングは、刑法上の被害者が銀行であるため、預金者が警察から盗難証明を出してもらうことができず、それが雑損控除の適用を受けるためのネックとなっていた。これに対して銀行では、警察に対して被害届出を行うとともにその証明を出してもらい、それを預金者に取り次ぐこととし、全国...
国税庁はこのほど、最高裁が贈与によって取得したゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費に名義書換料を加えることを認める旨の判決を行ったことを受けて、取得費が引き継がれる場合でも取得者が自己名義にするために支出した費用を取得費に含めることに取扱を変更した。相続や遺贈、贈与によって取得した財産は取得日及び取得費を引き継ぐこととされており、その財産を譲渡した場合には、取得後の事後的な費用を取得費に加算することは認められていなかった。このため、譲渡に際しては、原始取得価...
定率減税の縮減や民法組合による節税策の規制等を盛り込んだ平成17年度税制改正法案が国会提案されたが、「有限責任事業組合」いわゆる日本版LLP(LimitedLiabirityPartnership)制度を新たに創設する法案も提出され、税制改正法案では関連規定の整備も行われることとなっている。LLPはヨーロッパで発展してきた事業体であり、アメリカで活用されているLLCよりも法人性が薄く、日本における民法上の組合に近い組織形態とされている。このほど国会提案され...
最高裁判所はこのほど、贈与されたゴルフ会員権を譲渡した場合に、受贈者が負担した名義書換料を取得費に含める旨の判決を行った。一般に贈与や相続等によって取得した財産の取得価額は、贈与者の原始取得価額を引き継ぐこととされているが、今回の判決では取得に伴う付随費用を引継いだ取得価額に加算することが認められたもので、16年分確定申告にも影響するとして注目されている。この裁判は、父親からゴルフ会員権を贈与された原告が、そのゴルフ会員権を譲渡し、所得税の申告に際して父親...
国税庁は、このほど定期借地の一括前払賃料について、地主、借主とも期間の経過に応じて益金(収入)、損金(必要経費)とすることを認める旨確認した。これは、国土交通省からの個別照会に回答したもので、借地契約書等で定期借地に際して授受される一時金が権利金ではなく前払地代であることが明らかになっていれば、地主・借主とも一時金を期間按分して益金・損金に計上していくことを認めるとしている。定期借地の開始に際して授受される一時金は、それが権利金であれば、借主は全額を資産計...