商事法研究リポート

MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

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2022/04/22 公益通報者保護法の改正と企業実務への影響

１．はじめに公益通報者保護法の改正公益通報者保護法（平成16年法律第122号）は、公益のために勤務先の不正を通報した者を保護し、公益通報を通じて、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の順守を実現することを目的とした法律であり、2006年4月1日に施行されました。そして、同法の附則第2条は、施行後5年を目途として施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じることを規定し...

2022/04/08 Board 3.0について

1はじめに近時、企業法務、とりわけコーポレートガバナンスに関する話題の中で、『Board3.0』という用語を目にすることが出てきました(注1)。詳細は下記で述べますが、Board3.0とは、近時、主要国を中心に導入されてきている、パートタイムの独立した立場の取締役によって支配された「モニタリング機能に焦点を当てた取締役会（いわゆる“monitoringboard”）...

2022/03/25 わが国における「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)が機関投資家及び投資対象企業に与える影響の考察

１母法である英スチュワードシップ・コード(StewardshipCode)の歴史1980年代後半から90年代前半に起きた企業不祥事の影響により(注1)、英国産業界は、企業の健全な経営環境の整備に取り組むべく、キャドバリー卿(SirAdrianCadbury)を委員長とした委員会を設置しました。このキャドバリー委員会(CommitteeonCorporateGover...

2022/03/18 コーポレートガバナンス・コードとサステナビリティ

１はじめにコーポレートガバナンス・コード（以下「CGコード」といいます）は、2015年に証券取引所の有価証券上場規程に採用されて以来、上場会社のガバナンスに強い影響を与えてきました。上場会社は、CGコードの基本原則・原則・補充原則について遵守を強制されるわけではなく、遵守しない場合はその理由の説明を求められるだけなのですが、機関投資家等の影響力もあって、その実質的な強制力は、かなり高いといえるでしょう。...

2022/03/11 定款による株主総会決議の要件加重とその限界 -東京高判令和3年4月22日を素材に-

〔要旨〕会社法では、役員選任・解任のための株主総会決議、定款変更や組織再編のための特別決議および株式の譲渡制限の導入等を目的とする定款変更のための特殊決議について、定款の定めで要件を加重することを認めています。これに対し、定款自治の問題として、役員選任・解任決議に一定数以上の株主の賛成を求める頭数要件を設定したり、株主総会決議の一部または全部について株主全員...

2022/02/25 代表取締役社長の解職と損害賠償請求の可否

１．はじめに代表取締役社長が突如取締役会で解職されることは、世間の注目を集めるケースです。有名なのは、1982（昭和57）年の三越の社長解職ですが（三越事件：東京地判平成2年4月20日判タ765号223頁）、代表取締役の解職はしばしば起こっています。ワンマン社長が会社に損害を与えているケースであれば解職は相当ということになるでしょうが、社長の地位をめぐる内紛のケースであれば解職が妥当とはいえないこともあ...

2022/02/18 改正労働施策総合推進法（パワハラ防止法）について

1パワハラ防止法の制定・施行パワーハラスメント(略してパワハラ)に関しては、かねてよりパワハラ防止法の法制化の必要性が指摘されていましたが、2019年5月に「改正労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が成立しました。この法律は略して「改正労働施策総合推進法」あるいは「パワハラ防止法」といわれていますが、大企業においては2020年6月から施行されており、中小企業で...

2022/02/04 取締役の利益相反取引など

株式会社の取締役は経営の中枢にいて、会社の業務について強い権限を有しています。そのため会社法は、取締役に対して、善管注意義務だけでなく、多くの義務を定めています。とくに取締役と会社の利害が対立するような場合には、取締役が自己の立場を利用して、もっぱら自己の利益を図り、会社の利益を犠牲にするような行為を行い、会社に多大の損害を及ぼすおそれがあります。今回はそのような行為のいく...

2022/01/21 実質的支配者リスト制度の創設（商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則の紹介）

サマリー令和4年1月31日から、登記所（法務局）において、株式会社等の実質的支配者に関する情報を記載した書面（以下、「実質的支配者リスト」といいます。）を保管し、その写しを交付する制度（以下、「実質的支配者リスト制度」といいます。）が施行されることになります。この制度は中小企業に深く関係することが予想されますので、当該制度の仕組みについて具体的な事務手続の流れを解説することを試みたいと思います。１．はじ...

2022/01/14 リーガルテックと弁護士法72条

１．はじめに－リーガルテックの進化と変貌を遂げる企業法務近時、企業の法務部門等において、AI等を活用したリーガルテック（LegalTech）が活用されるようになり、法務部門や法律事務所の業務に大きな変化をもたらしつつあります。リーガルテックとは、「法律（legal）と技術（technology）を組み合わせた造語であり、法律関係の様々な業務を効率化するために用いられるソフトウェア及びテクノロジーをいい、...

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