アウトライン審査事例

国税不服審判所が示した審査請求事件の裁決例は、正確な税務処理を行っていくうえで見落とせません。アウトライン審査事例では実務家の皆様にとって実用性の高い裁決事例を簡潔に紹介。併せて、参照条文も記載しておりますので、実務上の判断の一助としてお役立てください。

【裁決のポイント】法人税法上、人格のない社団等及び公益法人等は、法人税法施行令において収益事業として定められている34の事業を、継続して、事業場を設けて行う場合には、収益事業に該当し、申告が必要になる。かつて、マンション管理組合が行う組合員以外への駐車場貸付け、携帯電話中継アンテナ設置料等からの収益が、管理組合に帰属し収益事業となるのか、構成員(組合員)に帰属し...
【裁決のポイント】法人税法第34条《役員給与の損金不算入》第3項は、隠蔽し又は仮装経理した役員給与は、損金の額に算入しないと規定している。「事実を隠蔽し、又は仮装し」の同じ文言が重加算税の規定(国税通則法第68条第1項)にあり、重加算税を課すためには、納税者が故意に課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽、仮装行為を原因...
【裁決のポイント】調剤薬局が販売する薬品のうち、保険診療に使用する薬品は非課税売上げ、自由診療に使用する薬品や他の薬局へ融通して販売する薬品は課税売上となる。ドラッグストアで店内に調剤薬局を併設している店舗では、保険診療分の非課税売上げがあることは周知された実務である。本件の審査請求人は、ドラッグストア(調剤薬局併設)、ドラッグ単独店(調剤薬局なし)、調剤薬局を...
【裁決のポイント】貸倒れを「当該事業年度の損失の額」(法人税法第22条第3項)として当該事業年度の損金の額に算入するための具体的な取扱いは、法人税基本通達9-6-2《回収不能の金銭債権の貸倒れ》で「その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合」と定められている。審査請求人は、P経営のゴルフ会員権の取得金額を会員権勘定とし...
【裁決のポイント】消費税法基本通達5-1-2《対価を得て行われるの意義》は、消費税法第2条《定義》第1項第8号に規定する「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」とは、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に対して反対給付を受けることを明らかにしている。河川から取水する施設を有している審査請求人は、河川から直接取水する施設がない地方公共団体A及びB...
【裁決のポイント】ある支出が必要経費に該当するというためには、その支出をするに至った経緯、趣旨及び目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、客観的にみて、それが当該事業の業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な支出であることを要すると解されている。(所得税法第37条第1項)業務部分と私的な家事部分を区分することのできない一体の支出であれば、全体として家事関連費...
【裁決のポイント】重加算税の賦課決定処分の適法性が争われる事例に多い、「〇〇の行為は、納税者である審査請求人(法人)の隠ぺい又は仮装の行為と同視することができるか」が争点となったケースで、審査請求人の前代表者が顧問税理士及び税理士事務所事務員と共謀して資産の架空計上で減価償却費の損金算入という行為をしたのが本件である。審査請求人は、税理士に納税申告を一任しており...
【裁決のポイント】法人税法施行令第132条《資本的支出》は、内国法人が、修理、改良その他の名義を問わず、固定資産について支出する金額のうち、その支出により、その資産を取得した時に、通常の管理又は修理をするとして予測される使用可能期間を延ばす、または、資産価額を増加させる部分の金額については、修繕費でなく、資本的支出に該当し、損金の額に算入しない旨規定している。本...
【裁決のポイント】租税特別措置法第42条の6《中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》が適用される「機械及び装置」については、一台又は一基の取得価額(法人税法施行令第54条第1項各号の規定により計算した取得価額)が160万円以上のものとされている(租税特別措置法施行令第27条の6)。特別償却に代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理...
【裁決のポイント】日本標準産業分類の「バー・キャバレー、ナイトクラブ(主として洋酒や料理などを提供し、客に遊興飲食させる事業所をいう。)」に属する業種は、売上金額と酒類等の仕入金額とは強い相関関係が認められるとして、課税庁においては、取引先からの酒類等の仕入金額に倍率(酒屋仕入倍率)を掛けて算出した額を、売上金額として推計する方法が採られることがある。本件は、ス...