税金ワンポイント

税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。

移転価格の大型更正事案が相次いでいるが、東京地裁はこのほど、海外の子会社との間の低利融資に関して、実在の取引ではない想定取引を基にして独立企業間価格を算定した税務当局の処分を適法とする判断を示し、税務当局の採用した方法よりも合理的な方法があるかは納税者側に立証責任があるとした。移転価格における独立企業間価格の算定方法は、いわゆる基本3法を原則とし、それに準ずる方法あるいは準ずる方法と同等の方法等が認められている。争いになった事案は、日本の親会社がタイの子会...
国税庁はこのほど、平成19年1月1日以後の相続等から適用される財産評価基本通達の改正を公表した。この改正は、会社法の施行に関連する事項が殆どで、同庁では改正案を公表してパブリックコメントを募集していたが、当初の改正案どおりの改正内容となった。改正後の評価通達では、まず、類似業種比準方式と配当還元方式において「1株あたりの資本の金額を50円」に引きなおして計算することとされていたものを、「1株あたりの資本金等の額(法人税法の規定による)を50円」に引きなおし...
大阪国税局はこのほど、投資一任勘定による株式への投資に係る収益の所得区分について個別回答を行った。これは投資一任勘定を受ける証券会社からの照会に対するもので、顧客に対して支払われる一任勘定に係る収益は基本的には事業所得または雑所得に当たることが確認されている。この照会事例では、証券会社は投資一任勘定によって顧客から受け入れた資金を株式のみで運用し、顧客は運用益から固定報酬と成功報酬を差し引いた残額を受け取る仕組みであり、特定口座は使わずに顧客名義で売買し、...
地方への税源移譲に伴う所得税と住民税の税率見直しにより、所得税から控除しきれないローン控除税額を住民税から控除できることとされたが、その適用は平成19年度分(20年に課税)住民税からとされ、20年の確定申告時期等に申請を行うこととなる見通しである。税率見直しによって、所得税は19年分から5%〜40%までの6段階、住民税は19年度分から一律10%とされるが、調整措置として所得税から控除しきれないローン控除税額を住民税から控除できることとなる。控除は19年度分...
会社法の施行に伴い、18年度税制改正で各種の対応措置が取られたが、消費税関連では、いわゆる特例有限会社の持分の譲渡が株式の譲渡として扱われるほか、自己株の譲渡は、相対取引を除き非課税取引とみなされることとなるため注意が必要だ。会社法では有限会社制度が廃止されたが、経過措置によって有限会社のまま存続することを認められているのが特例有限会社である。消費税法の上では、旧有限会社の出資持分の譲渡は非課税取引に該当し、課税売上割合の計算上譲渡対価の全額が分母の「資産...
移転価格をめぐる大型更正事案が増加しているが、その一方で相手国との間の相互協議を伴う事前確認も大幅に増加していることが明らかとなった。これは、国税庁が公表した「相互協議を伴う事前確認の状況」いわゆるAPAレポートによるもので、平成17事務年度(17.7.1〜18.6.30)における相互協議の発生件数は92件、合意件数が65件となっている。事前確認は納税者が税務当局に対して独立企業間価格の算定について事前の確認を求めるもので、算定方法が合理的と認められれば移...
18年度改正で役員給与関係の規定が大幅に改正され、定時株主総会で増額改定された定期同額役員給与の改定差額を、期首に遡って一括支給した場合には損金算入が認められないこととなった。これに伴って、一部には、期末に臨時株主総会を開催して翌期首からの役員給与増額を決議するといった動きもあるが、ケースによっては否認される可能性もあり、十分に注意する必要がありそうだ。役員給与のうちの定期同額給与については、従来の役員報酬の改定と同様に、定時株主総会での決議をうけて、その...
国税庁はこのほど、来年1月からの源泉徴収票の電子交付に関するQ&Aを同庁のHPで公開した。源泉徴収票は、従来まで源泉徴収義務者が受給者に対して書面で交付しなければならないこととされていたが、18年度改正で電子データで交付することが可能となった。今回公表されたQ&Aは、電子交付に伴って生じそうな問題点について解説したもの。まず、電子交付するための要件として、①受給者に対して事前に電子交付の方法等を示して承諾を得ること、②映像及び書面への出力が可能であること、...
総務省と東京都等の各自治体は、いわゆる「駅ナカ」施設を有する駅のうち一定規模以上の駅敷地について固定資産税評価額の減額を廃止する方向を固めた。駅や線路敷地等については、固定資産税の課税標準の基礎となる土地(宅地)が特殊な形状であることや他に転用することが事実上不可能であること等に配慮して、その評価額を隣接する土地の評価額の3分の1に相当する価格とする特例が手当てされている。ただし、いわゆる駅ビルなどの商業施設を併設した「百貨店、店舗その他専ら鉄道または軌道...
東京高裁はこのほど、厚生年金基金の解散に伴って支払われた分配金について、その一部を退職所得とした地裁判決を破棄し、全額を一時所得と認定する国側勝訴の逆転判決を言い渡した。これは厚生年金基金が解散して年金受給者に支払われた残余財産分配金が一時所得か退職所得かで争われていたもので、一審である東京地裁は、分配金のうちいわゆる選択一時金に相当する部分の金額を退職所得とし、残りを一時所得とする判断を示していた。今回の高裁判決は、分配金が基金の解散という事実に起因して...