経営研究リポート

MJS税経システム研究所・経営システム研究会の顧問・客員研究員による中小・中堅企業の生産性向上、事業活性化など、経営に関する多彩な各種研究リポートを掲載しています。

世界で一番やる気がないのは日本人(その1):『「見せかけの勤勉」の正体』(著:太田肇2010年PHP研究所)から大人が趣味やスポーツなどに、あれだけ熱中するのに、仕事となると“やる気”を出さない者が多いのはなぜか?それは、せっかくやる気の芽が出ても、それが育つのを妨げる障害(足かせ)があるからだと著者は語る。1.9割の日本人は“やる気”がない-意識調査の驚くべき数字日本人は「世界で一番やる気がない」というの...
会社分割とは、文字通り会社を複数に分ける法律的な行為で、会社が所有する事業の権利や義務、資産や負債・資本を分割させる制度です。2000年5月24日の「商法等の一部を改正する法律」として国会で可決し、2001年4月1日施行された、経営改善に係る事業再編の機動性の向上を目的とした立法といわれています。この会社分割制度が、前述のとおり事業再生手法として利用されるようになりました。経産省が力を注いだ「わが国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法...
適格退職年金廃止迫る退職金制度見直しの好機法人税法の規定により、平成14年4月に新規契約の取扱が停止された適格退職年金制度は、平成24年3月31日に10年間の経過措置期間が終了し実質的に廃止されます。適格退職年金は代表的な企業年金制度の一つであり、法人税法に定める一定の要件を満たすことによって、事業主が負担する掛金が全額損金として扱われ、社員側も掛金は給与所得ではなく受取時に課税される等税法上のメリットとともに、生命保険会社や信託銀行といった社外に退職金資...
1.金融緩和しかない菅改造内閣が船出した。民主党の代表選に圧勝した菅総理には、今度こそ“脱小沢”を鮮明にし、力強くクリーンな政治を実現してもらいたい。新内閣が第一に取り組むべき課題が、低迷する日本経済の建て直しであることは論を待たない。特に、急速に進んだ円高には、迅速な対応が必要だ。政府日銀が大胆な金融緩和策を実行し、資金の供給を増やすしかないと私は考える。このレポートで何度か述べてきたが、一口に経済政策と言っても、3年以内に達成を目指す緊急課題と、10年...
1.はじめに日本の対GDP総医療費は、OECD※の平均値を下回り、OECD加盟国31ヶ国※中22位となっています。さらに人口1,000人当たりの医師数も、OECD加盟国平均は3.1人ですが、日本は2.2人に留まっています。政府はこの数値をもとに現在、医療費および医師数の増加を目指しています。このような政府の政策の方向性を受けて、目標値であるOECD加盟国の最新の医療関連データを示し、考察したいと思います。
実効的なビジネスモデル再構築
1.ビジネスモデルの構築設計の概論実効的な経営計画を策定する必要に迫られている企業の多くは、これまで自社を食わせてきてくれたビジネスモデルが環境に適応できなくなっており、その改造、もしくは再構築に迫られている。全世界的な逆風の経済環境であっても、順調に二本足で立って、しっかり存続を確保して成長を見通している数少ない企業の多くが定着して行なっている作業である。多くの企業は順風の経済環境下で、このような本来の企業経営に於ける最も刺激的な活動を停止してしまってい...
組織はなぜ肥大するのか現代社会において官僚機構は、必然性の有無に関係なく、その規模を肥大させていくというもので、英国の社会学者パーキンソンによって提唱された。その著作、1957年発刊「パーキンソンの法則」(森永晴彦訳・1981年日本語訳刊)を紹介する。自らの企業を思い描きながら、是非お読みいただきたい。こんなことを聞いたことはありませんか。「仕事は、その完成のために使える時間を満たすまで延長される」(第一法則)「経費は、収入に見合うだけかかる」(第二法則)...
中小企業の事業再生について前回まで7回に分けて基礎編の解説をしてきました。以降は、早く事業再生のケース研究に入りたいところですが、その前に「会社分割制度」については再確認しておきたいと思います。ここから2回ほど、私的な事業再生における主力手法とされる「会社分割」について制度の仕組みや成立背景、活用手法等について解説します。爾後はケース研究を通じて再生実務の理解を深めたいと思います。1.改正産活法(2009年...
厚生労働省が毎年発表している「脳・心臓疾患および精神障害等に係る労災補償状況について」によれば、平成21年度のうつ病等の精神障害による労災申請数は前年比209人増の1,136件と過去最高を記録しました。業務上外に関係なく精神疾患の患者数そのものが増えているという背景もありますが、これまで労災認定に用いられてきた「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」に「ひどい嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」という項目が追加されたことも理由の一つと考えることが...
1.増税を言うべきときではない円高の進行を背景に、8月末、遂に日経平均株価が9,000円を割り込んだ。景気低迷の出口が見えない状況が続いている。このコーナーでも何度も述べているが、実効性のある経済成長戦略の構築こそが、今求められている政治の最大かつ喫緊の命題である。行きすぎた円高の解消をはじめ、対象療法的にやるべきことはもちろんあるが、日本経済が現在の苦境から逃れるためには、ある程度抜本的な「治療」が必要である。そうした観点から、私は税制の見直しを強く主張...