商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

【質問】 株式の仮装払込み形態として預合いと見せ金があると聞きます。また、最近株式の仮装払込みに関する会社法規定が新設されたとも聞きました。 近時の会社法改正を踏まえ、預合いと見せ金による会社設立の違いを、以下の設例に関連づけて、お教えください。 【設例】 A・B・Cの3名は文房具・画材・書籍販売を目的とする甲株式会社の設立を企画して発起人となり、原始定款上、設立に際して出資される財産の最低額...
一 はじめに わが国において、東京証券取引所から公表された「コーポレートガバナンス・コード 〜会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために〜」(以下、本稿においては「CGコード」とします)は、2015年6月から適用が開始されました。それ以降、東京証券取引所に上場している会社は、「コーポレートガバナンスに関する報告書」において、CGコードへの対応状況について開示を行うことが求められることになりま...
-監査役の第三者に対する責任-
1 はじめに 本稿では、会社法施行以来約10年間に現れた、監査役に関する判例・裁判例を取り上げて、検討を加えることにします。この間に現れた監査役に関する裁判例は、大別すると、 監査役の選任や権限に関するもの、監査役の会社に対する責任(会社法423条1項)に関するもの、および、監査役の第三者に対する責任(会社法429条1項)に関するものの3つに分けることが できます...
1. はじめに 急速に高齢化の進む日本では、社会情勢の変化に対応した相続制度の見直しの必要性が問題となっています。例えば、配偶者が死亡した場合に残された他方配偶者の生活に配慮すべきであるとする声もあります。これを規律する現行相続法制は、昭和55(1980)年の改正以降実質的見直しはされて来ませんでした。そこで、法務大臣が平成27年2月に相続法制の見直しについて諮問し、それを受けて法務省が相続制度の見直しについ...
1.事実の概要 Y株式会社(利害関係参加人・抗告人/相手方、ジュピターテレコム)は、平成22年6月当時、その発行する普通株式(以下「本件株式」)を大阪証券取引所JASDAQスタンダード市場に上場していましたが、A株式会社(住友商事)及びB株式会社(KDDI)が合計してY社の総株主の議決権の70%以上を直接又は間接に有していました。A社及びB社は、両社でY社の株式を全部保有することなどを計画し、平成24年10月24日、...
はじめに 近時、自動車の燃費データ不正問題などの大型の企業不祥事が相次いで発生するなか、不正防止のために企業を内部から監視し、その自浄作用を支える制度として、企業における内部通報制度の意義があらためて見直されています(注1)。 企業における内部通報制度の整備・運用が進むことは、組織の自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進に寄与し、企業自身の利益や企業価値の向上につながるのみならず、国民生活の安全・安心の向...
委員会設置会社から指名委員会等設置会社への名称変更とその現状
一 指名委員会等設置会社とは (1)指名委員会等設置会社への名称変更 平成26年法律第90号による改正が反映された指名委員会等設置会社(平成27年5月1日施行)は、平成14年法律第44号による「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(以下、「商法特例法」とします)(注1)において、「第四節 委員会等設置会社に関する特例」とし...
1 事実の概要 X1・X2およびX3(申立人・抗告人。以下、「X1ら」という。)は、被相続人A(女性)の長男Cの子であり、Y1およびY2(相手方。以下、「Y1ら」という。)はAの娘です。株式会社B(以下、「B社」という。)は、Aの父で同社初代社長のDが昭和24年に設立し、Aの夫であるEが2代目の社長となり、その後、EとAの長男Cが3代目社長となって経営を承継しました。B社は、天窓工事、板金工事、硝子工事その他...
1 事案の概要 1 平成21年3月末、Z株式会社(分譲マンションの企画・販売等を業とする上場会社)は、7億5000万円の債務超過に陥り、平成22年3月末迄に解消しなければ上場廃止になるおそれがありました。同年6月、Z社の取締役会は、A社に対する新株予約権の第三者割当発行を決議し、同年8月14日、この払込金として3000万円の振込みを受けました。 同月17日、Z社の代表取締役Pは、臨時取締役会に...
1 はじめに 近時、わが国では、株主総会制度の改革に関する議論が活発になされるようになってきています。2016年4月21日には、経済産業省の下に設置された「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」(座長:尾崎安央早稲田大学法学学術院教授)から報告書(以下、本稿では、この報告書を単に『報告書』とします)が公表され、併せて、同報告書の内容を受ける形で「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた...