商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

(東京高決平19・8・16資料版商事285号146頁)
1.本件事実とその法的背景 本件は、株式会社X(申立人・抗告人)が、会社法176条1項の規定に基づき、同社の株式を相続により承継したY1ら(相手方)に対して同社株式を同社に売渡すよう請求したが、同意を得られなかったため、会社法177条2項の規定に基づき、その売買価格の決定を裁判所に申立てたという事例です。 会社法下においては、株式会社は、相続その他の一般承継により当...
1.はじめに 会社法は、株式会社の取締役の利益相反取引を制限する規定を置いていますが、利益相反取引の制限は、旧法下においても、株式会社及び有限会社の取締役について規定されていましたし(旧商法265条、旧有限会社法30条)、多くの判例が蓄積されています。利益相反取引が制限される趣旨については、取締役がその地位を利用して、会社の犠牲において、自己又は第三者のために利益を享受することを防止するためであると一般に説明されてい...
-東京地判平成20・4・24時2003号10頁(西武鉄道・株主集団訴訟)-
1.はじめに 近時のわが国では、粉飾決算その他虚偽の情報開示によって損害を被った投資家が、発行者やその関係者に対して損害賠償を請求する事例が多くみられるようになってきています。本件も、そうした事案の一つであり、西武鉄道が長年に渡って行ってきた有価証券報告書等の虚偽記載によって平成16年に上場廃止となったことにより、投資家が損害を被ったとして損害賠償を請求...
<質問 2> 当社は、急速な規模の拡大等により企業内部のインセンティブ構造が複雑化し、企業理念などもおろそかになり、それに伴う弊害も生じてきております。そこで、経営機構を単純化し、企業理念が徹底するよう思い切った経営改革をしなければ、企業不祥事等を起こし、かえって企業を衰退・破綻に追い込む結果となることが懸念されます。そこで、一旦は、企業成長の鈍化を伴うとしても、思い切った経営改革を円滑に進めるため、投資家の...
<質問 1> 当社は、事業の再編成を進めており、私が事業統括本部長をしている部門の売却を予定しております。しかし、経営の仕方如何によっては十分に採算をとることが可能であり、部下も十分な意欲があります。そこで、現在の会社から経営権を譲り受け、部下ともども分離独立したいと考えています。MBOと呼ばれる方法を教えてください。 また、私は現在の会社で取締役を兼任しています。他の取締役もMBOに賛同してくれるよ...
Ⅰ.はじめに 資本主義社会とは、企業が弱肉強食の自由競争を展開する経済社会でして、各企業においては、互いに他社に劣った自社の弱点部分を、本来は独自の努力によって補完・向上させ、勝利者を目指さなければならないはずです。しかし、猛スピードで科学技術等が発展している現代社会においては、企業としても悠長に研究開発等に係わってばかりもおられず、ストレートに他社の技術力・ノウハウ等を買い取ったり、一方的にこれをわが物にしようと試みる場合も...
(東京高等裁判所平成20年6月12日決定)
1.事実の概要 本件は、Y株式会社(以下、「Y会社」という。)(債務者、相手方)の株主である株式会社X(以下、「X会社」という。)(債権者、抗告人)が、Y会社に対し、Y会社の株主総会でX会社側が行う株主提案について賛同者を募る委任状勧誘を行うため、Y会社の平成20年3月末日現在の株主名簿および実質株主名簿(以下、併せて「本件株主名簿」という。)に記載されている株主の氏名・名称...
(東京地決平19・12・19金判1283号22頁)
1.事実 Y(株式会社レックス・ホールディングス)は、昭和62年に設立された国土信販株式会社という不動産賃貸会社を前身としますが、平成8年に外食産業に進出後、平成10年には株式会社レインズインターナショナルに商号変更し、その後短期間に牛角ブランドで知られる焼肉FCチェーンを日本一の規模に押し上げた他、種々の外食ブランドFCを展開する急成長を遂げ、平成12年12月には株式を店頭銘...
〈質問〉 弊社は、定款で発行するすべての株式の内容として、譲渡による株式の取得につき会社の承認が必要である旨を定めており、株主数が10名の株式会社です。 さて、会社法では、株主全員の同意があれば、招集手続きを省略して株主総会を開催できるそうですが、その場合どのようにすれば良いですか。また、株主総会の招集手続きが省略された場合は招集通知がないことになりますが、そうすると株主に対して会議の目的である事項を知らせる必要はある...
-保有株式数等の権利行使要件を中心に-
5.議決権を有する株主が行使できる少数株主権 会社法は、前述のように、少数株主権の一部について、議決権の有無にかかわらず行使できるものとする一方で、残りの少数株主権については、議決権の一定割合以上または一定数以上の議決権を有する株主が行使できるものとして、平成13年商法改正以来の扱いを踏襲しています。具体的には、株主総会招集権(会297条)、株主提案権(会303条・305条)およ...