商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

<質問> わが社は、会社法が制定される以前に設立された有限会社です。会社法の制定によって株式会社と有限会社の規律が1つにまとめられたそうですが、わが社では特に株式会社に移行する手続をとりませんでした。 そのまま有限会社として存続した方がよいのか、存続した場合のメリットを教えてください。また、株式会社に移行する場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。 <回答>1.旧有限会社法の廃止(1)有限会社・株式会...
I.はじめに 平成18年に会社法が施行されるまで、商法が定めるわが国の会社は、株式会社・有限会社・合名会社・合資会社の4種でした(注1)。株式会社と有限会社の社員(社団構成員=出資者)はすべて有限責任社員であり、会社債権者の担保は会社財産ですので、これらの会社は物的会社とも呼ばれていました。 これに対し、合名会社と合資会社の構成員は、その全部または一部が無限責任社員であり、会社債権者の担保は彼らの個人的な信用...
2008/04/01 実質的に
1.事案の概要 X(本件原告)は、平成17年10月7日に有価証券の保有・運用等を目的として設立され、楽天株式会社(以下、楽天といいます)が発行済株式総数のすべてを保有する株式会社です。Y会社(本件被告;TBS)は放送法による一般放送事業およびその他放送事業等を目的として設立された株式会社で、東京証券取引所の市場第1部の上場会社です。平成19年7月3日現在、Y会社の資本金は548億円7476万円余、発行可能株式総数が4億株、発行...
2008/03/03 三角合併
1 はじめに 最近、日興コーディアルグループが、株式交換により、シティグループ・ジャパン・ホールディングス(以下、CJHということにします)の完全子会社化となりました。この株式交換では、日興コーディアルグループ1株に対してCJHが保有する米シティグループ・インク(CJHの親会社)の株式0.602株が割り当てられました(注1)。これが日本初の三角合併(厳密には三角株式交換)といわれています。 2006(平成18)...
1 はじめに 2 剰余金の配当の財源規制 3 剰余金の配当の手続規制 4 その他の規制 (1) 回数制限の撤廃 (2) 現物配当の許容 (3) 連結配当 (以上55号) 5 財源規制違反の剰余金配当─決算期 (1) 財源規制違反の剰余金配当に関する責任 前述したように、会社法...
はじめに 企業活動では、「ヒト」、「カネ」、「モノ」という3つの経営資源が用いられます(注1)。これらの中でも、これまでは「カネ」と「モノ」に目が奪われがちでしたが、最近の経済環境や雇用情勢を見ると、労働問題にスポットが当たる機会が増えており、企業活動における「ヒト」の問題を避けて通れない状況となっております。また、労働問題も、これまでのような組合と企業の間の集団的な問題もありますが、むしろ個々の労働者と企業間の問題、つまり個...
1.はじめに 旧商法では、会社は営利の目的をもって設立された社団法人と定義されていました(旧商法52条、54条1項)。それに対して、会社法では、「会社は、法人とする。」と規定されているだけで(会社法3条)、営利性も社団性もそのことを示す文言が条文上は消えてしまいました。しかし、立法担当官の説明によると、会社の株主や社員には、利益配当請求権と残余財産分配請求権が認められているのは明らかなので(会社法105条1項1号・2...
大阪地判平成17・5・27判タ1217号304頁 1.事実の概要 平成15年12月25日、株式会社である原告が、大阪法務局に対し、同月19日を原因日付とする発行済株式総数及び資本の額を変更する旨の登記申請(以下、本件登記申請といいます)を行い、その際、申請書の添付書類として、取締役会議事録の写し、株式申込書の写し、原告名義の普通預金口座の預金通帳の写し、及び「払込金保管証明書に関する申立書」を提出しました。この「払込金...
3.会社法における非公開会社の管理運営機構と運用上の問題点 (2)取締役による業務執行についての問題点 ア.取締役会非設置会社における業務の決定とその方法 非公開会社の業務執行体制のうち、取締役会の設置されない場合における非公開会社の業務執行について見ると、この種の会社において取締役が1人だけ選任されている場合は当該取締役の会社業務執行権と代表権が専属することになります。 これに対し、2人以上...
(東京地判平成19年5月23日金融・商事判例1268号22頁) 1.事案の概要 原告であるXは、商品取引所法上の商品取引員であった破産者A株式会社(以下、「A社」とする)の従業員Nらの勧誘により、平成11年11月から商品先物取引を開始しました。Xは、その後、Nらによる勧誘や関与の下で平成13年3月までの間に約10種類の商品にかかる先物取引を行いましたが、結果として合計1469万7100円の損失を生じさせることとなりまし...