商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

I .はじめに II .虚偽の情報開示に関する取締役の対第三者責任を定める会社法の規定 III .不法行為責任(商事法研究No.68掲載) IV.金融商品取引法 1.不実の情報開示に関する民事責任 平成16年改正前の証券取引法(以下、括弧内では単に「改正前証取」と引用する)には、不実の情報開示に関する民事責任規定として、目論見書の未交付等の違反者に対する損害賠償...
1.事実の概要 (1)Y会社(被告)は、海運航空貨物取扱業、通関業、国際複合一貫輸送取扱業、梱包取扱業等を業とする株式会社です。Y会社の発行可能株式総数は40万株であり、本件で問題となった株主総会時の発行済株式は13万株で、自己株式は1700株です。 X(原告)は、平成19年12月10日、Y会社の取締役に重任され、その任期は、平成21年の定時株主総会の終結の時までとされていました。また、XはY会社の株主(保有株式数2万...
〈質問〉 私は、資本金が3000万円のY1株式会社(以下、Y1会社といいます。)の株主です。同社は3月決算の会社であり、発行済株式総数が600株で、その内の300株を私が保有し、残りの300株は兄のY2が保有しています。Y1会社は定款で株式の譲渡による取得に付き会社の承認を要する旨の定めを置いており、機関設計は取締役が2名、監査役1名というものです。私は、監査役の立場にあります。取締役は、Y2とその妻Aであり、Y2が代表取締役...
Ⅰ.はじめに 一昨年来、有価証券報告書等の虚偽記載により、上場廃止となった会社やその代表者に対して、投資家が損害賠償を請求する事件が、注目を集めています。本年1月には、ライブドアの第三者割当増資を引き受けたフジテレビが、ライブドア事件で同社の株価が急落して損害を受けたとして損害賠償を求めていた訴訟において、ライブドアが310億円を支払うことで和解が成立し、訴訟が終結したと報じられました。また、従来から、粉飾決算をして...
(東京高決平20・9・12金判1301号28頁)原決定変更(旧Management Report 月刊商事法研究61号・原決定掲載)
1.事実 Y(株式会社レックス・ホールディングス)の歴史は複雑です。昭和62年に国土信販株式会社という不動産賃貸会社として設立され、平成8年に外食産業に進出、主事業が外食産業に移行したのに伴い、平成10年に株式会社レインズインターナショナルに商号変更、短期間に牛角ブランド...
Ⅰ.はじめに 平成9(1997)年6月、ソニーの定時株主総会は、当時38名いた取締役のうち代表取締役であった7名を残し、新たに3名の社外取締役を加えて、計10名という少人数の取締役会を発足させました。そして、それまで業務担当取締役あるいは使用人兼務取締役であった人たちからは「取締役」という肩書きがはずされ、退任した取締役以外の人たち18名は「執行役員」に選任されました。また新たに9名の執行役が加わり、取締役10名、執行役員34...
【質 問】 近時、証券会社や報道機関等の社員がインサイダー取引を行ったことによって刑事責任を追及されたとか、金融庁が課徴金納付命令の決定を下したといったニュースをよく耳にします。インサイダー取引については、抽象的には、内部情報を得られる地位にあった者が、その情報を不正に利用して株式の取引などを行い、不正に利益を得ることなんだろう、といった一応の理解はしておりますが、その詳細ついての理解はあまりできていないと思っておりま...
1.はじめに 2.事実上の主宰者概念の責任を認めた判例の概観と事実上の主宰者の認定要件 (商事法研究NO.65号) 3.事実上の主宰者概念の帰責法理としての特色と有用性 (1)事実上の主宰者概念の有用性 上記判例が、取締役の背後で経営をコントロールする支配株主等を事実上の主宰者と捉えて、これに取締役に準じた責任を負わせることについては、その法的アプローチとしての有用性を否定する見解が学...
2008/12/12 裁判員制度
-はじまる国民の司法参加-
はじめに ― はじまる裁判員制度 平成21年5月21日から裁判員制度がスタートします(注1)。 この制度は、国民を刑事裁判に参加させるためのこれまでの日本にはなかった新しい制度で、平成16年5月に成立しました(注2)。その後、5年間の周到な準備期間を経て施行されるに至ったものです(注3)。 裁判員制度のもとでは、一定の刑事事件で被告人を裁くときに、3人の裁判官に加えて、...
1.はじめに 会社法において株式会社の機関設計が、公開会社と公開会社でない会社(以下、「非公開会社」という)とで大きく区別され、とりわけ後者については大幅な柔軟化が図られましたが、それでも、すべての株式会社に共通の要件として、取締役の選任が義務づけられており(会社法326条1項)、取締役に会社業務執行権限が帰属する体制がとられています(会社法348条1項)。これにより、会社法は、会社業務執行に係る義務・責任の所在を明...