商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

1.はじめに 会社分割制度については、近時、「濫用的会社分割」の問題が指摘されることが多くなっています。これは、会社法上の会社分割を関連規定に従って行いながら、分割会社債権者のうち会社分割後もなお分割会社に対して債務の履行を請求することのできる債権者(以下、残存債権者とも呼びます。)については会社分割における債権者保護手続きの対象とされていない点(会社法789条1項2号,810条1項2号)を逆手にとって、優良資産だけを会社分割...
【質 問】 当社(甲社)は、乙社からその子会社(A社)の全株式を買い受けることになり、株式譲渡契約を締結しました。 同契約においては、(1)「乙は、甲に対し、次の事項を表明、保証する」として、(a)「A社の財務諸表が完全かつ正確であり、一般に承認された会計原則に従って作成されたこと」、(b)「A社の一定時点の財務内容が前記貸借対照表記載のとおりであり、簿外債務等の存在しないこと」、(c)「本契約に至る前提として...
-「少数株主権等」の行使と個別株主通知を中心に-
1 はじめに 2 株券電子化会社における株主権の行使 3 個別株主通知をめぐる判例の動向 (商事法研究No.93に掲載) 4 個別株主通知の法的性質と権利行使のためにこれを具備すべき時期 (1)個別株主通知の法的性質 個別株主通知の法的性質をどのように解釈するかについては、つぎの2つの見解が考えられ...
【質 問】 私は現在店舗で商品の販売をしています。近年、インターネットをつうじた電子商取引がさかんに行われているようです。そこで、店舗で販売する商品をインターネットを通じて取引するにはどのような規制があるのでしょうか。また、どのような点に注意すべきでしょうか。 【回 答】 1.電子商取引契約の概要 電子商取引契約は、インターネットに代表されるネットワークシステムの発展でさまざまな場面で利...
-「少数株主権等」の行使と個別株主通知を中心に-
1 はじめに 2009年1月5日に株券の電子化(一斉移行)が実施されて、上場会社の株式は、すべて振替株式となりました。株券の電子化は、証券市場における統一的で発展的な証券決済システムを構築するべく進められてきた一連の法改正、および制度構築の集大成として実現されたものです。これにより、上場株式の株券はすべて無効となり、従来株券の存在を前提に構成されてきた諸制度は、...
1 会社法における株式価格の取扱い 2 譲渡制限株式の譲渡手続と売買価格の決定 (商事法研究 No.90に掲載) 3 反対株主の株式買取請求権 (商事法研究 No.91に掲載) 4 全部取得条項付種類株式の取得における価格決定請求 (1)全部取得条項付種類株式の取得価格決定の申立手続 株式会社は、株主総会の決議によってある...
(横浜地判平成21年10月16日判例時報2092号148頁)
1 事実の概要 本件は、株式譲渡制限会社の新株発行が、株主総会決議をへないで代表取締役が独断で行ったものとして無効と判断された、注目されるべき事案です。 Y株式会社(被告)は、株式・債券への投資コンサルティングを行う非公開会社です。Y社は、平成17年2月10日に設立されましたが、設立時の発行可能株式総数は800株、発行済株式総数は200株、資...
1.はじめに 近時、会社が不実の情報開示を行ったことにより、その会社の株式を購入した株主に株式価値の下落という形で 損害が発生し 、当該株主から発行会社に対して損害賠償が請求されるといったケースが多く見られるようになってきています。そのような 訴訟の中には、実際に賠償が認められる例も散見されるようになってきており、従前にはそのような例はほとんど見られてこなかった を考えますと、近時におけるこうし...
-全銀協「でんさいネット」システムを通じて-
【質 問】 わが社では代金の決済で約束手形を使ってきました。最近、約束手形ではなく、パソコンを使って約束手形と同じような決済ができるようになると聞きました。それはどのようなもので、どのような利点があるのか、教えてください。 また、私はパソコンが使えないのですが、パソコンが使えなくとも利用できるでしょうか。 【回 答】 1.約束手形による決済&#...
(東京地判平成22年9月6日金融・商事判例1352号43頁)
1 事実の概要 本件被告のY株式会社(以下、Yという)はインターネットを利用するシステムの開発・販売等を目的として平成元年5月12日に設立され、問題となった臨時株主総会の開催日の 平成21年6月25日当時、 発行済株式総数が6万1635株で、資本金は1億円でした。東証一部上場企業のA株式会社(以下、A会社という)は、平成15年10月、...