商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

【質 問】 わが社の専務取締役が、自社の起死回生手段として近年手がけていた商品先物取引で大幅な損失を作ってしまったといって頭を抱えております。取締役がデリバティブ取引のようなリスクの高い取引を行い、会社に多額の損害をおよぼした場合、各取締役はどのような責任を負うのでしょうか。 【解 説】 1 はじめに デリバティブ取引とは、基礎となる商品(原資産)の変数の値(市場価値・指標)によ...
(福岡地判平成23年2月17日金融・商事判例1364号31頁、判例タイムズ1349号177頁)
1 事実の概要 訴外株式会社K(以下、K会社という。)は、元代表者B、その息子で現代表者のCおよびその親族が株式を所有する同族会社で、パチンコ店の経営等を目的として、従前は屋号「ニュー国際」(以下、NK店舗という。)、「田布施国際」(以下、TK店舗という。)、「ゆめ広場」(以下、YH店舗という。)等5店舗を経営してい...
(東京地判平成23年2月18日金融商事判例1363号48頁)
1 事実の概要 本件は、旧株式会社レックス・ホールディングス(以下、「旧レックス」といいます。)の株主であったXら(原告)が、Y1(被告会社)(事件当時は「株式会社AP8」。後に旧レックスを吸収合併して、商号を「株式会社レックス・ホールディングス」に変更しています。)による株式公開買付けおよび旧レックスによる全部取得条項付株式の取得によるMBOの実施...
【質 問】 当社は、株主総会が株主以外の第三者に撹乱(かくらん)されることを防止することを主な目的として、定款で株主が選任できる議決権行使の代理人の資格を当社の議決権のある他の株主1名に限定しています。 当社の定時株主総会に当たり、かねてより当社の経営方針に批判的な株主Xが、当社の株主ではない弁護士Aを代理人に選任し、株主総会の開催当日、弁護士AをXの代理人として出席させるとのことです。しかし、弁護士Aは当社の...
1.はじめに 「債務超過に陥った会社が合併などの組織再編行為の当事会社となることができるか?」という命題は、古くから論じられてきた古典的なテーマです。現在では、2005年の会社法の制定により、合併における消滅会社等が「帳簿上の債務超過」に陥り、いわゆる合併差損などが生じている場合、より具体的に言い換えますと、(ア)存続会社等が消滅会社等から承継する承継債務額が承継資産額を超えるときや、(イ)存続会社等が消滅会社等の株主に交付す...
(最高裁判所第三小法廷平成23・4・26決定〔破棄差戻し〕金融・商事判例1367号16頁・裁判所ウェブサイト掲載判例、 原審 東京高決平成22・10・19金融・商事判例1354号14頁・判例タイムズ1341号186頁、原々審 東京地決平成2
1 株式会社インテリジェンスと株式会社USENの株式交換の背景 本件は、 JASDAQ市場に平成12年4月26日~平成20年9月24日に上場していた、...
(a)最高裁平成23年4月19日決定(楽天対TBS株式買取価格決定申立事件) (b)最高裁平成23年4月26日決定(インテリジェンス株式買取価格決定申立事件)
1 はじめに 会社法は、1株1議決権の原則に基づく資本多数決によって株式会社の意思決定をすることを認める一方で、少数派株主の経済的利益を保護するために、一定の場合に、反対株主に株式買取請求権を認めて、株主の投資の回収を保証しています。反対株主の株式買取請求...
-「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」の紹介-
1. はじめに 民法は市民社会の枠組みを規律する基本法典です。民法の制定は明治29(1896)年(明治31(1898)年施行)ですが、ほとんどの規定は制定当時のまま存続しています。特に、売買・贈与等、市民生活にとって身近な債権関係の規定(民法第3編)は、平成16(2004)年に条文を現代語化した際に保証制度に関する部分的な見直しがされたに留まります。...
1 はじめに 平成21年12月30日、株式会社東京証券取引所(以下「東証」)は、有価証券上場規程等の一部改正を実施し、すべての上場会社に対し、「独立役員の確保」を求めるにいたりました(有価証券上場規程436条の2第1項)。すなわち、上場内国株券の発行者は、株主保護のため、「独立役員」を1名以上確保しなければならないというものでして、この場合の「株主保護」とは「一般株主の保護」であり、「独立役員」とは、一般株主と利益相反...
-福岡地判平成23年1月26日判例集未登載(福岡魚市場事件)
1.事実の概要 A社(株式会社福岡魚市場)は、農林水産大臣の許可の下、水産物およびその加工品の販売の受託、輸出入などを業としている株式会社です。また、B社(株式会社フクショク)はA社の100%子会社であり、食料品の購入、販売またはあっせん等を業としていましたが、事件当時は具体的には水産加工食品の開発・生産および水産総合食品の販売を行っていました。本件の被告であるY1は...