商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

一 本稿の目的 本稿は、前回に引き続き平成23年12月14日に法務省民事局参事官室より公表された「会社法制の見直しに関する中間試案」(12月7日の第一次案の字句の修正等がされています。商事法務1952号等で見ることができます。以下、「中間試案」とします)の第4 組織再編における株式買取請求及び第5 組織再編等の差止請求を「会社法制の見直しに関する中間試案の補足説明」(以下、「補足説明」とします...
1 はじめに 平成23年12月7日、法制審議会会社法制部会がとりまとめた「会社法制の見直しに関する中間試案」(以下「中間試案」と記します)が公表されました。現行の会社法は平成17年に成立し、平成18年5月から施行されていますが、当初かなり当惑の目をもって学界や実務界で迎えられたこの会社法も、施行以来5年を超え、相当程度にわが国に定着してきた感がいたします。 しかし、企業統治のあり方に関し、経営者からの影響を受け...
1 本稿の目的 本稿では、平成23年12月7日に法務省民事局参事官室より公表された「会社法制の見直しに関する中間試案」(以下、「中間試案」とします)の第3 キャッシュ・アウトを「会社法制の見直しに関する中間試案の補足説明」(以下、「補足説明」とします)に基づいて解説します(ともに全文は総務省が運営するポータルサイトのe-Gov(イーガブ)でPDFの提供がされています)。平成24年1月31日までの意見募集がなされ...
【質 問】 当社は、電子部品や産業ロボット等の製造・販売等を業として営む非上場の株式会社(資本金2億円)ですが、定款には、「その発行する株式の譲渡による取得について会社の承認を要する」旨の定めがありません。また、また単元株式に関する定めも置かれていません。当社は種類株式発行会社でして、平成19年7月に資金繰り確保のため、当社の事業内容の将来性に注目してくれた中小企業ファンドA社とB社に対し、社債に類似した株主総会決議事...
1.はじめに 近年、消費者被害は社会経済の構造変化に伴って複雑化・多様化の傾向を見せている一方で、そうした消費者被害は、個々の消費者による個別の訴えによっては適切な救済を図ることが困難なものが少なくありません。そうした現状を踏まえ、内閣府や消費者庁等では、とくに消費者が集団的に被害を被った場合の救済に関して、従前から調査研究を行ってきていましたが、2010年9月、消費者庁において「集団的消費者被害救済制度研究会報告書(注1)(...
1.はじめに 国内外の経済環境がますます厳しさを増すなか、仕事や雇用への不安やストレスを感じ、心の健康(メンタルヘルス)を蝕み、精神疾患を患う労働者が増加しています。これまで以上にメンタルヘルス対策は企業が取り組むべき課題として重要性を増しています。企業として、メンタル不調に陥る労働者が発生した場合には速やかに適切な対応を取る必要がありますが、最近増えてきているのがメンタル不調を理由に休職する労働者への対応の問題です。 ...
1 はじめに 平成22年秋以降、銀行に勧誘されて契約締結した為替デリバティブ取引での支払いに窮して倒産する中小企業が急増していることを受けて、同年12月から金融庁が実態調査に乗り出しました。平成23年3月11日の金融庁の発表によると、平成16年度以降に販売された中小企業向け為替デリバティブ取引契約(米ドル/円)に関して、銀行(121行)に対し、平成22年9月30日時点における状況の聞取り調査を行った結果、1万9000社...
(東京地判平成23年1月26日・資料版商事324号70頁)
1 事実の概要 (1) Y会社(被告・株式会社インスタイル)は、平成18年4月27日に設立され、インターネットおよびモバイルなどコンピューターネットワークを利用した各種情報提供サービス業務等を目的とする取締役会設置会社です。その発行可能株式総数は5万株、発行済株式総数は6000株、資本金の額は3億円であり、定款に株式の譲渡につき、取締役会の承認...
1 特別利害関係人規定の趣旨と規定の変遷 会議において議事を進行し、議決をなす場合に、議題・議案によってはその会議体の構成員としての立場と個人的利害が対立する場合があります。その場合に周りへの配慮や公正な議決権の行使がなされなかったのではないかという他の者の懸念を払拭するためにこうした状況におかれた者(特別利害関係人)が審議や議決に参加しないという態度をとることができます。こうしたマナー的な対応が特別利害関係人の議決権...
【質 問】 わが社の専務取締役が、自社の起死回生手段として近年手がけていた商品先物取引で大幅な損失を作ってしまったといって頭を抱えております。取締役がデリバティブ取引のようなリスクの高い取引を行い、会社に多額の損害をおよぼした場合、各取締役はどのような責任を負うのでしょうか。 【解 説】 1 はじめに デリバティブ取引とは、基礎となる商品(原資産)の変数の値(市場価値・指標)によ...