商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

1 事実の概要 Y株式会社(被告、被控訴人)は、発行済株式総数3000株の特例有限会社です。Y会社の発行済株式の内1000株は訴外Aが所有していますが、残り2000株はX(原告、控訴人)と訴外Bの2名による持分2分の1ずつの準共有状態にあります(以下、この2000株の株式を本件準共有株式という。)。 Y会社では平成22年11月11日に臨時株主総会(以下、本件総会という。)が開催され、訴外Cを取締役に選...
一 はじめに 会社役員の報酬とは、役員が役務提供ないし職務執行の対価として、会社から提供される金銭その他の経済的利益のことをいいます。会社と役員との関係は委任に関する規定に従いますが(会330条)、委任契約は原則として無償です(民648条1項)。しかし、通常の場合、会社と役員との任用契約ないし委任契約においては明示的または黙示的に報酬支給の特約が付されています。もっとも黙示の特約を付するのではなく、慣習上、有...
一 はじめに 近時、株主提案権制度が注目を集めています。この背景には、株主提案権の行使事例の数に増加傾向がみられていることに加え(平成22年7月総会から平成23年6月総会までの間が27社31件であったのに対し、平成23年7月総会から平成24年6月総会まで間に行使された株主提案は、38社50件であったそうです(注1)。また、平成25年度についても、多少の減少はみられるものの、前年度とほぼ同様の数の提案権の行使例...
大阪地決平成25年1月31日金判1417号51頁
1 事案の概要 申立人X(株式会社スリーエイチ)が、定款に株式譲渡制限の定めのある相手方Y1(大成土地株式会社)に対し、Xが保有するY1の株式について譲渡承認および承認しない場合の指定買取人による買い取りを請求したところ、Y1は、譲渡を承認しない旨および自ら買い取るとともに、相手方Y2(吉本興業株式会社)を指定買取人に指定する旨を通知しました。その後Xは、Y1ら...
(名古屋地判平成24年8月13日・判時2176号65頁)
1 事実の概要 (1) Y1は昭和28年1月12日に設立された金物および建築材料の製造販売等を目的とする株式会社、Y2は昭和33年1月24日に設立された金物および建築材料の製造販売施工等を目的とする株式会社、Y3は同日に設立された土地建物の売買、管理等を目的とする株式会社、Y4は昭和46年12月1日に設立された損害保険代理業および生命保険の募集に...
1 はじめに (1) 事業承継のパターン 事業承継とは、経営と所有を現在の経営者から後継者に引き継ぐ行為です。中小同族会社の事業承継に際しては、誰を後継者にするのか、後継者に対してどのような方法で事業を承継させるのか、承継後の会社の経営体制をどのように見直すのかなど、検討すべき問題がいろいろあります。そして、その検討を踏まえて、事前に十分な準備をしておくことが大切です。中小同族会社における事業...
【質 問】 当社の株主総会において役員賞与の支給決議を行ったところ(第一決議)、これに反対する株主から、決議の手続に瑕疵があるとして、株主総会決議取消の訴えが提起されました。これに対して、当社は、前記訴訟を争うとともに、直ちに臨時株主総会を開催して、第一決議と同一内容の役員賞与支給議案について再決議を行い、有効に成立しました(第二決議)。なお、第二決議には、第一決議の取消判決が確定した場合にはさかのぼって効力...
(原審)東京地判平成23・4・14資料版商事328号64頁(一部却下、一部棄却〔控訴〕)(控訴審)東京高判平成23・9・27資料版商事333号39頁 (控訴棄却〔上告〕)
一 事実の概要 本件は、平成22年6月18日開催の上場会社Y(〔HOYA株式会社〕被告・被控訴人)の定時株主総会(以下、本件株主総会とします)における会社提案の可決決議(2件)及び株主X(原告・控訴人)提案の否決決議(15件)について...
【質問】 私は電気製品のメーカーである某上場企業の新米の監査役です。これまでは、長年にわたり技術畑で製品の開発・製造に従事してきました。したがって監査業務については知識が乏しいものですから、おうかがいいたします。 従来、わが国では監査役に対する損害賠償請求事件は少なく、その意味では監査役は安心していられたが、近年は企業不祥事が多発する中、監査役も損害賠償請求その他の責任追及の矢面に立たされるようになり、決して...
一 はじめに 株式会社では、規模の大小または公開会社と非公開会社の別にかかわらず、株主総会の設置が強制され(会社法326条1項)、定時株主総会(会社法296条1項)を開催し計算書類等の承認や役員の選任等の決議を行うことに加え、必要に応じて臨時株主総会(同条2項)を開催し所要の決議を行ったり、報告(会社法307条3項、359条3項、438条3項、439条、444条7項)を受けたりしなければならない場合もあります...