商事法研究リポート


MJS税経システム研究所・商事法研究会の顧問・客員研究員による商事法関係の論説、重要判例研究や法律相談に関する各種リポートを掲載しています。

一 会社法改正法案提出までの経緯 会社法は、平成17(2005)年の制定以来、ほとんど改正のないまま10年近くを経過しました。この間の会社法務を取り巻く環境はかなり変化があったため、全体的な見直しをすべきことが主張されていました。また制定当時は十分に意識されていない形で会社法の抜け道を悪用するような事例も生じており、実務的には判例による対応がされていても、立法的な手当ての必要性が指摘されていました。平成22(...
-パーソナルデ-タ利活用の新しいルール-
【質 問】 最近、鉄道会社が自社で収集・保有するIC乗車券の利用者の乗降履歴などの情報を、データ分析会社に販売したところ、これが利用者の個人情報やプライバシー保護などの観点から問題となりました。現在、個人に関する情報であるパーソナルデータを含むビッグデータのビジネスへの利活用が世界的に注目を集めており、わが国の一部の企業などで既にビッグデータの利活用が行われていますが、...
東京地判平成24・9・10,東京高判平成24・11・28,最一決平成25・10・10資料版商事法務356号30頁以下
一 事実の概要 平成23年4月4日当時、X(原告・控訴人・上告人兼上告受理申立人)は、Y(〔共和証券株式会社〕被告・被控訴人・被上告人兼相手方)の株式17万8000株を有していたところ、同日、夫のA(梅原馨共和証券会長〔享年76歳〕)が死亡したことにより、遺言によってAの有していたY株式88万株...
4 譲渡制限株式の共同相続人に対する売渡請求を巡る問題点 (1) 譲渡制限株式の一般承継後の定款変更による売渡請求条項の追加 前述のように、会社が譲渡制限株式の売渡請求を一般承継株主に対して行うには、定款に会社がその請求を行うことができる旨の定めがあることが必要ですが、この定款規定の設定時期について会社法には特段の制限が置かれていません。そのため、譲渡制限株式の一般承継の発生後に会社が定款を変...
1 はじめに 株主が死亡すると、その保有していた株式は当該株主の一身専属財産ではないため、相続放棄が行われない限り、当該株式が相続人に一般承継されます(民法896条本文)。これは、当該株式が譲渡制限株式であっても異なりません。相続による株式の移転は、譲渡ではないため、相続人は「譲渡によって当該株式を取得する者」に該当しないからです。株主が合弁会社の合弁当事会社である場合において、当該合弁会社が公開会社でない会...
−大阪地判平成24年9月28日判時2169号104頁(三洋電機事件)
一 はじめに 会社により財務情報に関する不実の開示が行われた場合、課徴金納付命令の決定がなされたり、当該会社やその取締役等に対して、刑事責任または民事上の損害賠償請求が追及されることあり得ます。 そのような責任等が追及された事例をみてみますと、問題とされた財務情報の不実開示が、架空循環取引、売上の先行計上や棚卸資産の過大計上などによる...
-公開買付け後の組織再編に関する判例の動向-
1.はじめに 株主総会において、合併等の組織再編(合併、株式交換・株式移転および新設分割・吸収分割を総称して「組織再編」といいます。)が承認された場合、これに反対する株主は、会社に持株の買取りを請求して、会社から離脱することができます(会社785条1項等)。株式の買取価格について会社・反対株主間で協議が整わないときは、裁判所に対して買取価格の決定を申し立てることもできます(...
【質問】 Aが創業した同族会社である当社では、Aの死亡後に、ともにAの子であるB(代表取締役)およびC(取締役)の仲が悪いことが悩みの種です。最近、Cが取締役在任中に当社の従業員に退職を呼びかけ、退職後に別会社であるD社を設立し、当社の従業員を引き抜いて当社と同業種の事業を営もうとしていることがわかりました。このような取締役Cの行為には法的にどのような問題があるのでしょうか。また、当社は当該取締役や設立された別会社に...
東京高裁平成25年1月30日判決(金融・商事判例1414号8頁)
1 事案の概要 A会社(補助参加人)は、昭和42年6月23日に設立された毛髪製品の製造及び販売、毛髪育成指導及び美容業・理容業等を目的とする株式会社ですが、本件当時、定款をもって、株式を譲渡するには取締役会の承認を要する旨を定めていました。Y1(被告、被控訴人兼控訴人)は、平成12年4月から、A会社の代表取締役の地位にあり、平成14年3月31日当...
- 不正調査の新しい手法 -
【質 問】 当社においては、内部通報により、当社の営業部長が営業に関する機密情報を電子メールにより競争関係にある他社の営業担当者に送信して、その担当者から情報提供の対価を取得しているという不正行為の疑いが発覚しました。そこで、当社は、早速、社長の命令により、営業部長の当該不正行為に関する事実関係の調査に着手し、営業部長を含む関係者から事情聴取を開始するとともに、営業...