会計研究リポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

−戦略マネジメント・システムとしてのBSCその9−1.BSC導入事例から見たポイント(1)(1)トップの関与が必要BSCを導入するにあたって、まず不可欠なのは、組織のトップの関与です。BSCの導入は少なからず経営改革が伴うものですから、トップの了解がないと進めることができません。これらの事例は、リーダーシップあるいはスポンサーシップという言葉がキーワードになります。ある企業では、海外事業部を統括する日本人のトップがキャプランとノートンの英語のBSCに関する...
前回のレポートにおいて、文部科学省より省令として公表された「有価証券発行学校法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の内容についてその特徴を説明しました。今回は、この新規則が、わが国の学校法人の資金調達に及ぼす影響について若干、解説をしたいと思います。1.わが国私立学校法人の経営環境の現状わが国における私立学校法人の経営環境は、次第に厳しさを増しています。少子高齢社会の進展に伴い、わが国社会・経済の各方...
—知的財産情報開示指針(その3)—1.はじめに前回は、2004年1月に経済産業省より公表された「知的財産情報開示指針」(以下、「開示指針」といいます)で取り上げられている事項のうち、「企業の制約条件」および「開示の考え方(5原則)」について解説しました。今回は、「開示媒体」および「開示項目」について解説します。2.知的財産情報の開示媒体(注1)「開示指針」では、(1)情報開示の媒体、(2)制度開示との関係、および(3)開示への組織的取り組みについて、以下の...
-【論点5】会計上の見積りの変更に係る取扱い-1.はじめに企業会計基準委員会ASBJが平成19年7月9日付けで公表した「過年度遡及修正に関する論点の整理」(以下、論点整理)では、10の論点を示しています。その第5の論点として「会計上の見積りの変更に係る取扱い」を挙げています。今回は、この【論点5】を取り上げて説明することにします。この【論点5】では、「会計上の見積りの変更」は日本に限らず、国際財務報告基準においてもアメリカ基準においても、過年度の財務諸表を...
−ストック・オプション(2)−2.在来型ストック・オプション(続き)○株式報酬費用の会計処理ストック・オプションは、新株予約権(注1)を利用したものです。ここで、ストック・オプション(自社株購入権)とは、自社株オプションのうち、特に企業がその従業員等(役員を含む)に報酬として付与するものでした。ストック・オプションを付与し、これに応じて企業が従業員等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上し、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使ま...
−戦略マネジメント・システムとしてのBSCその8−1.BSCのメリットと限界(3)(1)BSCは即効薬ではない一方、BSCを導入しても、限界はあります。まず、BSCは、パソコンのソフトウェアのように、導入したら自動的に使えるというものではありません。むしろ、以前説明したように紙と鉛筆でも戦略マップやスコアカードの作成は可能ですが、その作成の段階でどれだけ「考える」かが重要です。いってみれば、BSCは即効薬でも万能薬でもない[長谷川,2004]ことを認識しな...
前回、学校法人が発行する学校債の有価証券指定について解説をしましたので、今回は、文部科学省により新たに設定された財務諸表規則について解説をします。新しい金融商品取引法が施行され、一定の要件に該当する学校債が、「有価証券」として指定されました。これにより、有価証券発行学校法人は、金融商品取引法に基づき、有価証券届出書等の書類を作成し、財務状況を開示しなければならないことになりました。現行では、「学校法人会計基準」があ...
—知的財産情報開示指針(その2)—1.はじめに前回は、2004年1月に経済産業省より公表された「知的財産情報開示指針」(以下、「開示指針」といいます)について、その公表の背景について説明しました。「開示指針」では、大きく分けて、「企業の制約条件」、「開示の考え方(5原則)」、「開示媒体」、「開示項目」、「今後の期待」、および「(参考資料)知的財産報告書例」が取りあげられています。今回は、これらのうち、「企業の制約条件」および「開示の考え方(5原則)」につい...
-【論点4】表示方法の変更に係る過年度遡及修正-1.はじめに企業会計基準委員会ASBJが平成19年7月9日付けで公表した「過年度遡及修正に関する論点の整理」(以下、論点整理)では、10の論点を示しています。その第4の論点として「【論点4】表示方法の変更に係る過年度遡及修正」を挙げています。今回は、この【論点4】を取り上げて説明することにします。この【論点4】では、「表示方法」の定義の問題や、表示方法の変更に伴う処理の問題、そして表示方法の変更に関する開示の...
−ストック・オプション−1.長期のインセンティブシステムこれまで金銭的な報酬による短期のインセンティブ・システムを議論してきましたが、今回より自社株をベースとする長期のインセンティブ・システムを議論していきます。長期のインセンティブ・システムとしては、譲渡制限付き株式(注1)、パフォーマンス・シェア・ユニット(注2)、ファントム・ストック(注3)等の付与制度がありますが、そのなかでも代表的なのがストック・オプションです。ストック・オプションとは、会社が特定...